サテライトオフィスとは?企業導入時の注意点やメリットについて解説 ~働き方とワークスペースのトレンド~
2021年6月28日 2023年1月10日
企業、従業員ともに満足する形態のオフィスとして、「自社オフィス ・ サテライトオフィス ・ 在宅勤務」を組み合わせた ハイブリッド型ワークがトレンドになってきていることをお話しました。今回はその中でも「サテライトオフィス」は、どのようなオフィス施設の形態があるのでしょうか。自社内にサテライトオフィスを設ける場合や、外部運営会社のサテライトオフィスを利用する場合についてのメリットやデメリット、また選ばれるポイントについてお話ししたいと思います。
1. サテライトオフィスがトレンドになっている理由って?
テレワーク導入により在宅勤務が増えた従業員の「集中できるワークスペースが欲しい」「快適なオフィス環境が欲しい」という悩みの解決策として、サテライトオフィスは今ワークスペースのトレンドになっています。
テレワーク導入の普及につれて従来型の自社オフィス(例えば本社、各支社など)に平日・毎日通勤するというスタイルは、今後、少なくなっていくと言われています。東京都が推進するテレワーク推進の調査(2020年9月)によれば、有効回答数のうち、テレワークの拡大もしくは継続を希望する企業が8割を超えており、企業が従業員のワークスタイルを重要視していることが伺えます。こうしてテレワークを導入している企業は、自社内をサテライトオフィス化したり自社以外のオフィスを新たに採用したり、またはその利用を継続することが今後も予想されています。
またサテライトオフィスを導入することにより自社オフィスを縮小しコスト軽減を図ることができる点も、トレンドになっている点のひとつといえるでしょう。テレワーク化が進み、どこでも仕事ができる環境が技術的に叶うことになった今、サテライトオフィスは企業から注目されているのです。
サテライトオフィスとは?
サテライトオフィスとは、一般的に本社などの自社オフィスから離れた場所にある比較的小規模なオフィスのことで、本社などを中心として衛星(サテライト)のように存在することからそのような呼び名になっています。サテライトオフィスは、今般の新しいワークスタイルやテレワークなどを反映した従業員の新しい柔軟な働き方を支えることを重要視し企業が用意するオフィスです。一方、同じように本社などから離れた場所に設置される支社や営業所は、事業拡大や営業所としての目的があり、サテライトオフィスとは趣旨・目的に違いがあります。
サテライトオフィスの意味・定義
✅ 本社などの自社から離れた場所にある比較的小規模なオフィスのこと
✅ テレワークなどの柔軟な働き方を重視したオフィスのこと
✅ 支社や営業所は事業拡大が目的であり、サテライトオフィスとは設置目的に違いがある
一言でサテライトオフィスと言っても、いくつかの種類に分類されます。主に都市型と地方型があります。
都市型のサテライトオフィスは、本社に出勤せずとも遠隔で業務を行える機能を用意したオフィスのことです。本社へ出向くことなく業務が遂行できますし、通勤費の削減にもなるでしょう。またBCP対策(事業継続対策)の観点からもオフィスの分散化機能を持たせることも可能なため、採用する企業が増えています。
地方型のサテライトオフィスは、テレワークの導入が進んでいる企業が取り入れることが多く、都市部の郊外や地方都市に設置され、自然の多い落ち着いた環境の中で従業員にリラックスして仕事をしてほしいという考えから用意されるものです。ワークライフバランスが保たれ働き手のパフォーマンス向上の期待ができます。まさに、どこでも仕事ができるテレワークならではのオフィスの在り方かもしれないですね。
都市型と地方型のサテライトオフィスのまとめ
✅ 都市型と地方型のサテライトオフィスがある
✅ 都市型サテライトオフィスは本社に出勤せずとも遠隔で業務を行える
✅ 地方型サテライトオフィスは、リラックスできる環境がありパフォーマンス向上が期待できる
サテライトオフィスを企業が導入するメリットとは?
次に、サテライトオフィスを導入するメリットについて考えてみましょう。
(1)自社オフィスの縮小によるコスト削減が可能
自社オフィスをサテライトオフィス化しオフィスを縮小したり、自社オフィスを縮小した上でいくつか小規模なサテライトオフィスを設けることによりコスト削減が可能です。従業員の全座席を用意する必要はないでしょう。出勤率を計算し、本当に必要な座席数だけ用意することでオフィスにかかる固定費を削減することは可能です。サテライトオフィスを設置する場所は、従業員の通勤費なども考慮したエリアに設置すればさらにコスト削減も叶です。ただし、上手くオフィス作りをしないと逆に費用がかかってしまう場合もあるため、十分な検討時間を設けることが大切です。
(2)通勤時間等の時間短縮による、従業員のパフォーマンス向上
サテライトオフィスを造ることで、各従業員達の通勤時間を短縮したり、営業職の場合は本社へいちいち戻る必要も不要となるため、今まで移動に使っていた時間を業務に充てたりプライベートな時間に充てることにより、従業員のパフォーマンス向上を狙えます。
(3)育児や介護による職離れ防止
育児や介護のため時短で勤務していたり仕事を諦めていた人材も、サテライトオフィスへの勤務であれば仕事を続けられる可能性があります。
(4)オフィス分散化によるBCP対策(事業継続計画)が可能
日頃よりサテライトオフィスを用意しておくことで、BCP対策(事業継続計画)が可能です。本社に集中しているリスクを分散化することで、災害などの緊急時短でもスムーズに事業を再開できるようリスク軽減を図ることができます。
サテライトオフィス導入時の注意点
サテライトオフィスを設ける場合は、従業員の衛生的な安心さ、通勤の便利さ、情報のセキュリティ面、コスト面、生産性の向上面などあらゆる角度から検討しなければなりません。サテライトオフィスをただ用意しただけでは、上手く機能させることはできません。たとえば、場所はあるけれども行ったら混んでいて使えなかったとか、自宅から遠いために結局使っていない従業員が多いとか。その他にも、遠隔で業務を行えるように、チャットなどのコミュニケーションツールの導入や、WEB会議ツール、承認決済ツールなどは事前準備されていることが前提となりますので注意が必要です。2. 企業独自にサテライトオフィスを用意する
企業独自でサテライトオフィスを造る場合は、本社事体を縮小しつつ一定の空間をサテライトオフィス化するパターンや、本社を縮小し、別途各エリアに小規模なオフィスを開設しサテライトオフィスとして利用するパターンなどがあります。
企業がサテライトオフィスを設置する場合は、働き方や業務内容に合わせ、各部門責任者や従業員の声を反映させたワークスペースを造るのが良いでしょう。
新しい働き方「ニューノーマル」なワークスペース
サテライトオフィスは、多様な働き方に適しています。テレワークももちろんですがABW型のワークスタイル、ハイブリッド型ワークもそのひとつです。ニューノーマルな働き方に適したワークスペースとして、サテライトオフィスを多くの企業が採用しています。
自社内サテライトオフィスのメリットとデメリット
自社内のサテライトオフィスは、その企業専用の施設となることが最大のメリットであり魅力です。従業員は安心して施設を利用することができますし、セキュリティ面も万全なものにできます。また従業員の意見をサテライトオフィス内の施設へ反映させることも容易く、まさに究極のワークスペースとなるでしょう。一方で、コスト面や運営管理や考慮する必要があります。また実際にサテライトオフィスを造る場合は、費用面もそうですが、設置するエリアや、どのぐらいの広さを確保すべきか、どのようなワークスペースが必要かなど、調査やシュミレーションする時間を十分とる必要もあります。工事も非常に時間を要します。試しに一度導入してみるなどと気軽に言えないため、躊躇する企業も多いのが現状です。
【メリット】
✅ 自社業務に合わせたワークスペースを造れる
✅ 従業員の意見や声を反映させやすい
✅ セキュリティが安心
【デメリット】
✅ 費用が高額になる場合がある
✅ 運営管理が懸念点になる場合がある
✅ 準備や工事に時間がかかるためすぐに導入できない
3.外部運営のサテライトオフィスを上手く活用する
ここで云う外部運営のサテライトオフィスというのは、レンタルオフィスやシェアオフィスなど外部運営されているオフィスをサテライトオフィスの用途で使うことを指します。
一般的にレンタルオフィスやシェアオフィスは、オフィスをシェアして使うものなので他社との共存ということになるわけですが、サードプレイスとして、またサテライトオフィスの用途目的で、注目されています。
サードプレイスで実現できるワークスタイル
先術した通り、自社でサテライトオフィスを用意しようとすると費用が高額になる場合がある点や、運営管理問題、即導入できないなどの懸念事項がありました。サードプレイスとしてレンタルオフィスやシェアオフィスなどの外部施設を利用するのは、いかがでしょうか。
もちろん自社オフィスに代わる場所となりますので、通勤時間の短縮が図れる主要ターミナル駅の近くのサテライトオフィスが採用され易いでしょう。
他社との共有施設の空間スペースしかないシェアオフィスもあるのですが、セキュリティの面や、グループでのコミュニケーションの充実、社内だけでのグループ打ち合わせのために、一定数の従業員が仕事をすることが出来るプライベート空間を併設するレンタルオフィスは非常に多くあります。共有施設は他社と共同で利用しコストを抑えつつ、自社専用で利用出来る執務室(個室)を契約することができるレンタルオフィスは、多くの企業から使い勝手の良さで選ばれています。
自社専用スペースとしての「執務室(個室)」があれば、会社付与のPC機材などの保管、重要書類、契約書の保管、営業資料の保管が可能です。一方で共有施設には会議室、オープンラウンジ、コワーキングエリア、カフェなどがありますので、気分転換スペースとしての利用やグループミーティングなども行え、施設としては十分ではないでしょうか。
コストパフォーマンスの最大化が可能
レンタルオフィス / シェアオフィス の利点としては、
✅ 内装工事やビジネスインフラを構築するコストのをかけず、すぐ利用することが可能
✅ 比較的契約期間も短く、会社の方針転換があった場合にも柔軟な対応をとることができる
✅ 会議室などの共有部分をシェアすることにより、一般の賃貸事務所よりも効率よく利用できる
などの複数のプラス事項がありますので、サテライトオフィスの用途してレンタルオフィスを検討する余地は十分にあるでしょう。
懸念事項「セキュリティ面」はどうする?
専有の執務室(個室)を契約することができるレンタルオフィスであれば、自社が専用で利用することができるオフィス空間があります。自社専用の執務室(個室)等で業務を行うことが出来るので、ビジネス情報の管理(重要書類・契約書の保管など)や個々の荷物、セキュリティ面でも安心です。入退室のログ情報をとれるレンタルオフィスを増えていますので、各運営会社に相談されることをお勧めします。4.まとめ
今回は、サテライトオフィスについて解説しました。多様な働き方が増えた今、オフィスも今までのような在り方ではなく、柔軟なワークスペースが必要となってきました。企業でニューノーマルな働き方に適したサテライトオフィスを用意するのもいいでしょうし、外部運営のレンタルオフィスやシェアオフィスなどを利用してみてもいいのではないでしょうか?従業員が求める快適なワークスペースを用意することで、パフォーマンス向上につながる、そんなオフィスを企業は今後も模索し続けるでしょう。