ニューノーマルな働き方とは?コロナ禍のオフィス活用術

2021年6月15日 2023年11月10日

コロナ禍によりテレワークが普及したことで、オフィスの在り方を改めて考えるようになりました。働く場所や時間の選択肢が増えていく中で、これからオフィスはどうなるのでしょうか。
初めての緊急事態宣言の発令後、特に準備などしていなかったのに否応なしに、そして強制的に「在宅勤務」が始まってしまった方も多かったのではないかと思います。業種や業務内容によりますが、オフィスに行かなくとも仕事が回せることが証明できてしまった今「本当にオフィスは必要なのか?」「オフィスのあり方とは?」という点について、今回は考えてみたいと思います。

【目次】
1. いま使っているそのオフィスって本当に必要!?
2. ハイブリッド型ワークで生産性を高める
3.これからのオフィスの在り方とは?
4.まとめ

コロナ禍により急速に在宅勤務が始まったことで、企業はオフィスに出社しなくても実際に業務がまわることが分かり、リモートワークの有用性を実績から知ることになりました。そうなると、当然ながら賃貸事務所の返却や、自社オフィスの面積縮小を検討し始めます。いま使っているオフィスは不要という判断ですね。ただし完全にオフィスをなくすことはないでしょう。実際に自社オフィスは縮小傾向にあると言われています。
一方従業員は、それぞれの自宅の環境(家族や物理的環境など)や仕事に集中出来ないなど、必ずしも自宅での勤務が好都合とは限りません。カフェなどで仕事をする者も当然出てきますが、プライベートな空間ではないためPCのセキュリティ情報漏えいの問題があったり、業務連絡や取引先とのウェブ会議が必須であるのに「ウェブ会議自体を禁止」している場所も少なくありません。また、カフェは仕事以外での目的での利用者も多く、集中できる環境とはいえないのではないでしょうか。会社への出勤には制限があり、とはいえ自宅では業務に集中出来ないという現実に直面している従業員は、自宅とは異なる「仕事ができる快適な環境」を希望しています。
自社オフィスは縮小され席がなく、自宅では集中できるワークスペースがない、従業員のそんな状況を打破するのにはどうしたら良いのでしょうか。

オフィスの利用価値は、やはり従業員が集中できるワークスペースと環境が備わっていることでしょう。
オフィス環境が従業員へ与える影響は大きいものがあります。とくに自社オフィスが縮小していく中で、従業員の帰属意識を高めリアルなコミュニティの場を感じられる空間は重要です。一人ひとりの意識レベルを上げ、モチベーションを高めるためにも、ある程度のオフィス空間は確保すべきでしょう。
しかしながら、自社オフィスを維持すればコスト面の問題にぶち当たります。そのため自社オフィスは必要最低限まで縮小しておき、必要なときに必要な面接を借りられるレンタルオフィスやシェアオフィスは便利です。契約期間も賃貸事務所と比べ短期的な契約が可能です。リスクもカットした上で、トータルコストをかなり削減できるでしょう。契約期間中の利用人数やそれに伴うオフィススペースの増減も対応可能なレンタルオフィスが多いので、『変動期』にはより便利に利用できます。

ワーカーが希望する快適なワークスペースとは一体どのようなものでしょう。先述した「集中できるワークスペース」もそのひとつですが「現代の働き方に合ったもの」や「働きがい」「コミュニケーション」「モチベーション」「創造性」「ラーニング」などのキーワードが多く聞かれます。
「あらゆる場所がワークスペースとなりえる」なんて話も聞きますが、事業内容や、業務内容、部署ごとに求めるオフィス像は異なるものです。実際に働いている従業員にアンケートをとったり、十分に意見を出し合い、最適なワークスペースを造るのが良いでしょう。経営層はオフィスを縮小したいがためにフリーアドレス型のデスクレイアウトを提案しがちですが、部署によっては固定席でなければ生産性が落ちてしまうことも。ワーカーにとっての最適なオフィスを用意することが、パフォーマンスや満足度に繋がることもあるのです。

「個」単体で作業する場合は、淡々と仕事がしたいので静かで集中できるオフィス空間を望む声が多いものです。特に一人でこもれるようなブース型の座席は、レンタルオフィス内でも人気が高く、埋まっていることが多いように思います。
逆に「チーム」で作業する場合は、ディスカッションしたり、プレゼンテーションをしたり、そういったミーティングやワークショップができる空間が必要となってきます。気軽に意見を出し合えるよう、敢えて音楽を流し「話しても良い雰囲気」を作ることも大切です。自宅からテレビ会議でミーティングに参加しただけでは感じられない、場の雰囲気や企業の風土は、リアルな空間でなければ体感できるものではありません。チーム力を高めるためには、リアルな場でひとつになって作業する時間も必要なのです。

これらの課題を解決するため企業が検討し始めているのが、ニューノーマルなワークスタイルです。
自社オフィスの面積を縮小し出社人数を制限しつつ、在宅勤務と組み合わせ、さらに複数のサテライトオフィス拠点(レンタルオフィスなど)を設け、オフィス利用が必要な従業員に利用してもらう「ハイブリッド型ワーク」の形です。
それぞれの企業により自社オフィスに求める席数、サテライトオフィス拠点に求める席数は異なりますが、少人数用から100席規模まで用意できるレンタルオフィスは多数あります。サテライトオフィスの用途としてレンタルオフィスを利用するのは、得策でしょう。またレンタルオフィスを利用することにより、会議室やウェブ会議システム、テレブースなど設備も充実した環境を従業員に提供することができるようになります。レンタルオフィスの共有設備をうまく活用すれば、サテライト拠点でも最小限のコストで最大限の生産効率を得られるでしょう。

働き手のパフォーマンスを上げるのに必要なことは様々ありますが「オフィス環境」を整えることはその一つでしょう。ビジネスをしていく上でその場面ごとに必要な空間があります。
個人業務をひたすら捌くようなワークスタイルの方は、集中できるワークスペースが必要でしょう。逆に、チーム単位で新しい事業を立ち上げたり、新たな取り組みやアイデアを出し合う部門の方は、ミーティングや意見を出し合えるようなオフィス空間が必要になります。
また、集中力を維持し続けるために、時々ブレイクタイムをとることもワーカーには必要です。オフィス内にリラックスできる空間があれば、いちいちカフェへ出向く必要もありません。またリフレッシュ空間は自然と人が集う空間になるでしょうから、コミュニケーションの促進も期待できます。

ワーカーのパフォーマンス向上のための空間造りのポイント

✅ オフィスの中に集中できるエリアがあること
✅ コミュニケーションが促進されるようなエリアがあること
✅ 一息つけるようなリフレッシュ空間があること

2010年頃から、オフィス内に「フリーアドレス」を設ける企業が増えました。常時オフィスにいないメンバーの席をいかに「効率よく減らせるか」という点に加え、同じ企業にいながらも出会うことのなかった従業員同士の偶発的な出会いの狙いもありました。
オフィスの一部がフリーアドレス席であればいいのかもしれませんが、全てフリーアドレス席になってしまうと従業員達はストレスを感じることがあるそうです。それは、出勤時の席をどうするか?という、業務に全く関係ない悩みを感じている従業員が多いのだそう。人気の隅っこの席はいつも埋まっているし、上司はたぶんあの席を好んで座っているから、では自分はここに座ろうかな、という具合に変な気を回してしまうのです。日本人ならではかもしれませんね。
この「フリーアドレス」に似たような特徴の「ABW(Activity based Working)」というワークスタイルは、日本では2020年頃から広まったように思います。コロナ禍の影響もあったかもしれません。「フリーアドレス」はオフィス内に固定の自席を持たず、その日ごとに自由に空いている席で仕事をするワークスタイルのことを指します。一方「ABW」は、時間も場所もワーカーが自由に選択でき、働く場所はオフィス内にとどまらないという点が大きな違いです。
次世代のオフィスの形は、ワーカーがより仕事に対して責任感をもった上で、自由な時間に自由な場所で仕事をする場面が増え、今以上に自社オフィスだけでなくオフィス外も「ワークスペース」となり得るでしょう。

先に述べた通り、今後は自由に仕事ができるワークスタイルが益々採用され、自社オフィスだけでなく様々な場所がオフィスとして使われることになるでしょう。

自社オフィスから離れた場所で仕事をする「テレワーク」は、在宅勤務やサテライトオフィスなどで業務を行う形態ですが、「ワーケーション」という言葉も耳にするようになりました。「ワーケーション」は、「ワーク」と「バケーション」の造語から来ており、働きながらもリゾート地などで休暇をとる過ごし方のことです。「ABW」の時間と場所にとらわれない働き方が、「ワーケーション」では休暇にまで割り込んできた印象もありますが、非日常の中で働くことでリラックスしながら働けるという利点があります。しかしながら、休暇と仕事のONOFFの切り替えがしにくいなどのネガティブな意見も多く、積極的に実施している企業はまだ少ないようです。

「ABW」のワークスタイルの良い点は、一人ひとり集中できるワークスペースで仕事をすることで、ワーカーのモチベーションや満足度を上げ、企業の生産性を高めることにあります。ただし、オフィス外のどこでも仕事をできるようにしてしまうと部下の管理が難しいとか、労務管理が難しいなどの問題があるため、企業内にコワーキングスペースなどの多様性のあるワークスペースを造る企業が増えています。フリーアドレス席はもちろんのこと、集中できるブース席や、リラックスできるカフェカウンター、ちょっとした打ち合わせに最適なラウンジスペースなどを用意し、コワーキングスペース化にすることで、新しい働き方に対応できるよう工夫しています。
オフィス作りは時間も費用もかかりますから、自社内にコワーキングスペースが作れない場合はレンタルオフィスやシェアオフィスを利用する企業も増えています。

「ウェルネスオフィス」は昨今重視する企業が増えている。「ウェルネスオフィス」とは、ワーカーの健康や快適性を重視した建物の使用や室内環境を整えた空間を目指し、その取り組みなどを評価するツールです。評価項目は「空間・内装」「音環境」「光環境」「熱・空気環境」「リフレッシュ」「運動」からなる『健康性・快適性』の項目と、「移動空間・コミュニケーション」「情報通信」からなる『利便性』の項目、「災害対応」「有害部室対策」「水質安全性」「セキュリティ」からなる『安全性』の項目などがあります。

ここ数年で働き方は大きく様変わりしました。それと同時に働く私たちの「働く場所」の概念も大きな変化がありました。
時代はより「自由な働き方」を求めて変化していくことでしょう。その時に必要なのは、その働く場所やワークスタイルが本当に働き手にとってベストなのかを見定めることです。働き手にとってベストであればパフォーマンスの向上が期待でき、企業にとっても生産性を高めることができるでしょう。
今後「自社オフィス」という考え方も変化し、「自社オフィス=コワーキングオフィス化」だったり「自社オフィス=レンタルオフィス」という流れは益々広がっていくと考えられています。
レンタルオフィスを活用した「ニューノーマルなワークスペース」は、今後も加速的に広がっていくでしょう。