ABWとは?フリーアドレスとの違い・メリット&デメリット・導入手順

2023年11月21日 2023年11月19日

近年の日本は、テレワークやフリーアドレスといった多様な働き方を採用する企業が増えています。ワークスタイルの種類として、「ABW」という単語を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ABWは多くのメリットがあり、日本企業も注目を集めている新しい働き方です。ビジネスパーソンはABWの概要や、どのようなメリットがあるかを理解しておきましょう。 今回はABWとは何かを解説した上で、ABWのメリット・デメリットと導入手順を紹介します。

【目次】
1. ABW(Activity Based Working)とは?
2. 企業がABWを導入するメリット4選&デメリット3選
3.【5STEP】ABWの導入手順
4.まとめ
ABW(Activity Based Working)とは?

ABW(Activity Based Working)とは、現在の仕事内容に合わせて、従業員が働く場所を自由に選択できる働き方です。ABWには「広義のABW」と「狭義のABW」があり、下記のように違いがあります。

広義のABWオフィス以外に自宅やカフェなども働く場所として選べる働き方
狭義のABWオフィス内でのみ働く場所を自由に選べる働き方

ABWとよく似ている用語に「フリーアドレス」があります。フリーアドレスとは、従業員が固定のデスクを持たず、好きなデスクを使用できるワークスタイルです。 ABWとフリーアドレスは、働く場所を選ぶ理由に大きな違いがあります。
フリーアドレスは、基本的に自分の働きやすい場所にあるデスクを選ぶだけに過ぎません。デスクの場所が重要であり、環境はあまり重視されていないと言えます。 一方でABWは、仕事内容に合わせて、より良い条件で働けることを重視します。デスクがある場所だけではなく、空間レイアウトも重要となるワークスタイルです。

ABWが注目される背景には、2019年に施行された働き方改革の考え方があります。 働き方改革により、企業は「多様で柔軟な働き方の実現」や「生産性向上」、「テレワーク推進」が求められるようになりました。従業員の働き方そのものを大きく変えて、企業の働き方改革を進める方法として、ABWが注目されています。 ABWを導入することにより、企業は多様で柔軟な働き方の実現や生産性向上が期待できます。テレワークや在宅勤務も選べる広義のABWを導入すれば、より多くのメリットも得られるでしょう。

ABWを導入するメリットデメリット

企業がABWを導入する場合、働き方改革の実現につながる多くのメリットと、新しいワークスタイル導入によるいくつかのデメリットがあります。自社にとってどのようなメリット・デメリットがあるかを把握し、導入すべきかどうかを検討しましょう。ABW導入の主なメリットとデメリットを紹介します。

ABWを導入したオフィスでは、従業員の働きやすさを重視して、デスク・個室・ミーティングスペース・カフェスペースなどが揃ったレイアウトをつくります。従業員は集中できる環境で働けるため、業務効率・生産性の向上が可能です。
また、働く場所を決めた後も従業員は1日中同じ場所にいるわけではなく、別の場所に移ったり、オフィス内を歩き回ったりもできます。従業員の感性を刺激することで、新たなアイデアの創出にも寄与できるでしょう。

広義のABWを導入する場合は、従業員は自宅を勤務場所にすることもできます。オフィスへの通勤にかかる時間が減り、従業員が自由に使える時間が増えるため、ワークライフバランスが整う点がメリットです。 従来のオフィスワークでは、通勤に時間がかかって自由な時間を確保できなかった従業員も、ABWを導入したオフィスであれば仕事と生活のメリハリをつけて働けます。自由な時間の確保は、仕事のモチベーション向上にもつながるでしょう。

従業員1人ひとりが特定のデスクで働く従来のオフィスワークでは、従業員に用意するデスク・座席などの備品購入が企業の負担となっていました。 もちろん、ABWを導入する場合も従業員が働くためのデスク・座席は用意しなければなりません。しかし、デスクは大型のテーブルを用意したり、座席として複数人掛けのソファを使ったりできます。 個別のデスク・座席を人数分用意するよりも、大型のテーブル・ソファを使用したほうが購入費用は安く済むため、コスト削減につながります。

ABWは従業員の働きやすさを重視したワークスタイルであり、採用・人材獲得において企業の魅力として発信できます。自分の能力が発揮できる場所で働きたい求職者から注目されるようになり、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。 また、働きやすいオフィスは企業への帰属意識を高め、従業員の離職を防ぐ効果も期待できます。優秀な人材の流出を防げる点もABWのメリットです。

ABWを導入すると従業員の働き方が多様化し、従来の勤怠管理システムではオフィス以外で働く従業員の就労状況を把握できないケースが出てきます。労務管理や従業員評価をきちんと行うには勤怠管理・評価制度を見直さなくてはなりません。 見直しによって新たなツールの導入が必要となった場合は、ツール導入の初期費用・運用費用がかかります。どのようなツールが必要になるかを調べ、ABW導入によるメリットと釣り合っているかを検討する必要があるでしょう。

ABWを導入しても従業員がいつも同じ席で働いたり、常にチームメンバーで集まっていたりと、ABW型の働き方が浸透しない可能性もあります。従業員が自発的に働く場所を選ぶようにならなければ、ABW導入によるメリットは得られません。 ABW型の働き方を浸透させるには、従業員にABW導入の経緯やオフィスの機能を説明し、メリットを理解してもらうことが大切です。自主性のない従業員がいる場合は、上司や同僚によるフォロー体制の構築も必要となります。

従業員がオフィス以外の場所でも働ける広義のABWでは、パソコン・スマートフォンの置き忘れや記憶媒体の紛失による情報漏洩リスクが高まります。企業の利益・信用を守るためにはセキュリティ体制を整えなくてはなりません。 例を挙げると、業務に使用する情報機器の持ち出しにルールを設定したり、情報セキュリティについて社員教育を行ったりする必要があります。インターネットで業務情報をやりとりする機会も増えるため、強度の高いネットワークセキュリティの導入も重要です。

ABWの導入手順

ABW導入によるワークスタイルの変更は、すべての従業員に影響します。導入に際してはプロジェクトチームを作り、下記に示す手順で計画的に行いましょう。

近年注目を集めている新しいオフィスの形であるフレキシブルオフィスにご興味のある方は、【フレキシブルオフィスとは?主な種類・活用メリット・成功ポイント】をご参照ください。

「企業が何のためにABWを導入するか」という導入目的を設定します。ABWを導入するメリットの中で自社が何を実現させたいかを考え、明確な目標を設定しましょう。導入目的はチーム内で共有します。

現在のオフィスについて、従業員から使用感や不満などの現状把握調査をするステップです。課題やニーズを洗い出した上で、解決につながるオフィス機能の検討をします。候補となる機能が多い場合は、優先度を付けて選ぶことが大切です。

オフィスに必要な機能が把握できたら、新しいオフィスのレイアウトを設計します。デスクやスペースの配置を決めるだけではなく、IT環境の整備も必要です。レイアウト設計はデザイナーなど専門家のサポートを受けることがおすすめです。

ABW導入によって多様化する働き方に対応できるよう、社内制度やルールの見直しを行います。広義のABWを導入する場合は情報機器の持ち出しについてもルールの明確化をしましょう。

新しいオフィスの完成後も、従業員にとって使いやすい空間となるように整備が必要です。設備の場所や動線を最適化することで、ABW導入の効果を高められます。 ABWオフィスの整備にはさまざまな設備・機材が必要になります。オフィス整備にかかる手間やコストを抑える手段として、レンタルオフィスの利用も検討してみてください。


ABWは、従業員が働く場所を自由に選べるワークスタイルです。働き方改革への対応として、ABWは近年注目を集めています。ABWの導入には、従業員の業務効率・生産性が向上し、ワークライフバランスが整うなどのメリットがあります。勤怠管理の見直しやセキュリティ体制の整備が必要となるデメリットもあるものの、従業員の多様な働き方を支援したい企業におすすめの方法です。
ABWの導入は紹介した5つのステップで行えます。必要に応じてレンタルオフィスの利用も検討し、従業員が快適に働けるABWオフィスを整備しましょう。

多様な働き方が浸透した今、従業員の働き方の改善や生産性向上を目的として、レンタルオフィスの活用が注目されています。国内全拠点のオフィスを利用できるサービスプランがついているレンタルオフィスも数多くあります。レンタルオフィスのクロスコープは、東京都内・仙台・福岡にあり、利便性が高く、コストパフォーマンスにも優れています。レンタルオフィスを探す際にはぜひ、クロスコープにご相談ください。