バーチャルオフィスは経費計上できる?利用すべき勘定科目はどれ?

2025年11月28日 2025年11月27日

バーチャルオフィスは経費計上できる?

バーチャルオフィスを利用している、あるいはこれから利用を検討している個人事業主や経理担当者の方の中には、「この費用は経費にできるのか?」「どの勘定科目に分類すべきか?」と迷う場面があるかもしれません。 本記事では、バーチャルオフィスの基本的な仕組みやサービス内容に加え、経費として計上できるかどうかの考え方、勘定科目の選び方、経費処理の注意点について、わかりやすく解説します。実務でよく使われる勘定科目の具体例や仕訳の考え方も紹介していますので、経理処理の判断をする際の参考にしてください。 なお、この記事で取り上げている内容は、一般的な会計・税務の考え方に基づいており、個別の状況によって適切な処理が異なる場合があります。実際の経理処理や申告に際しては、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

【目次】
1. バーチャルオフィスとは
2.バーチャルオフィスの利用料金は経費に計上可能
3.バーチャルオフィスを経費にする際の勘定科目
4.個人事業主がバーチャルオフィスを利用する場合の勘定科目
5.バーチャルオフィスを経費計上する際の注意点
6.まとめ

バーチャルオフィスとは、実際の執務スペースを持たず、住所や電話番号といったオフィス機能のみを提供するサービスです。
法人登記用の住所貸しや郵便物の受け取り・転送、電話対応の代行といった機能が主なサービスとして提供されています。自宅住所を公開したくないフリーランスや、小規模事業者が東京や大阪などの大都市圏の住所を使って信頼性やブランドイメージを高めたいときによく活用されます。
物理的なオフィススペースを持たずに事業を展開できるため、初期費用や維持費を抑えつつ、事業をスタートできる点も魅力です。

バーチャルオフィスの利用料金は、事業遂行に必要な支出として、必要経費に含められます。
法人税法・所得税法では「その支出が事業のために直接必要であること」が経費算入の要件とされています。バーチャルオフィスは、取引先との連絡先や法人登記の住所として利用されるため、十分に「事業のために必要な支出」と認められるのです。
経費に計上すれば所得金額がその分減るため、納税額の軽減につながります。会計上・税務上の処理を正しく行っておくことは、節税対策としても有効です。

レンタルオフィスで登記利用が可能か知りたい方は、『レンタルオフィスで法人登記できる?メリット・注意点を詳しく解説』をご参照ください。

バーチャルオフィスは経費計上できる?

バーチャルオフィスを経費にする際の勘定項目は、バーチャルオフィスの使い方によって異なる部分もあります。一般的な勘定科目の仕訳方法を紹介します。

バーチャルオフィスの月額基本料は、通常「支払手数料」として仕訳します。この科目は、各種手数料や業務委託、サービス利用料など、事務的・事業的なサービスに対する支払いに広く使われます。
「賃借料」や「地代家賃」との混同には注意が必要です。バーチャルオフィスはあくまでも住所や機能の提供に対するサービスであり、物理的なスペースの占有権が生じる「賃貸借契約」には該当しません。
例えば、レンタルオフィスやコワーキングスペースのように実際に入室して使用する場合には「地代家賃」とすることがありますが、バーチャルオフィスの場合には実際に入室するわけではないため、仕訳が異なります。

バーチャルオフィスでは、郵便物の転送、電話転送、電話秘書代行、会議室利用、事務代行など、多様なオプションサービスが用意されています。これらのサービスは内容によって適切な勘定科目を選ぶ必要があります。
なお、請求書に基本料金とオプション料金が分けずに記載されている場合には「支払手数料」としてまとめて処理しても問題ないでしょう。

郵便物の転送やFAX受信、クラウドサービス利用に関連した情報通信機能に関する費用は「通信費」として処理します。例えば、郵便物の転送サービスでは事業所に届いた書類や荷物を別の住所へ転送する作業が含まれますが、これは「通信・連絡」の一部と見なされるため、通信費に含めることが可能です。
同様に、FAX転送やバーチャルメールボックスなど、継続的に情報をやり取りする仕組みが含まれている場合は、通信インフラの維持に必要な費用と解釈できます。特に、外部とのコミュニケーションに欠かせない機能である場合は、通信費で処理できます。
判断に迷った際は、領収書や請求書に記載されているサービス内容を確認しましょう。複合的なサービスであっても、主な用途が情報通信関連であれば通信費でまとめられます。

バーチャルオフィスのオプションとしてよく利用されるのが、電話転送サービスや電話応対代行です。顧客や取引先からの電話をバーチャルオフィスが受信し、指定の番号へ転送したり、事務スタッフが応対して内容を記録・通知してくれるサービスが該当します。
これらの費用は、取引の連絡手段を維持するために必要な費用と考えられるため、「電話代」として経理処理が可能です。特に、音声による通話が中心となるサービスは、通信費よりも電話代で分類する方が実態に即した処理といえるでしょう。
なお、通信費と電話代は科目の性質が近いため、会計ソフトによってはまとめて処理するケースもありますが、支出の内訳が明確な場合は区分する方が帳簿が整理され、後の確認や説明がしやすくなります。

顧客や外部パートナーとの商談、打ち合わせ、面談などで会議室を利用した場合、その費用は「会議費」として処理できます。
会議費は、交際費や地代家賃などと混同されやすい科目ですが「業務に必要な会議や打ち合わせ」のために一時的に場所を確保した費用であれば、会議費として適切です。例えば、1時間2,000円で商談用に会議室を借りたようなケースが該当します。
重要なのは、プライベートな使用ではなく「業務上の必要性」が明確であることです。社内での打ち合わせよりも、顧客対応やビジネスパートナーとの連携を目的とした利用の方が、会議費であることを説明しやすくなります。

バーチャルオフィスの一部では、郵便物の仕分け・管理やスキャン、記帳代行、書類の転送準備など、定型的な業務を代行してくれるオプションサービスが提供されています。こうした業務を依頼している場合には「外注工賃」または「業務委託費」として経費処理するのが基本です。
外注工賃は、他人に実作業を委託した際の報酬に該当し、請負契約や業務委託契約に基づく支払いであれば、一般的にこの科目が適用されます。例えば、「毎月届く郵便物をPDF化してメール送付してもらう」といった作業が該当します。
契約形態や業務内容によっては「業務委託費」でも問題ありませんが、いずれにせよ「人の手を使った代行業務」であることが明確であれば、支払手数料や雑費よりも適切な分類だといえるでしょう。

バーチャルオフィスの利用に関連する支出の中には、「通信費」「支払手数料」「外注工賃」など、既存の勘定科目に明確に該当しない少額の支出が生じることもあります。こうした場合に利用されるのが「雑費」です。
例えば、月に1回しか発生しない細かなオプション利用料や、スポット的なサービス手数料、書類送付に必要な簡易な梱包費などが該当します。これらは金額が小さく、性質が限定的なため、雑費として処理しても問題はありません。
ただし、雑費はあくまで「一時的かつ少額」な支出の分類に留めるべきで、毎月定期的に発生する費用や金額の大きな支出に対しては、適切な科目へ見直す必要があります。帳簿の信頼性を保つうえでも、「何となく雑費で済ませる」処理は避けた方がよいでしょう。

バーチャルオフィスは経費計上できる?

個人事業主も、法人と同じようにバーチャルオフィスの利用料を必要経費として計上できます。基本的な考え方は法人と共通しており、「事業のために必要な支出であること」が前提です。したがって、登記住所として使用していなくても、取引先との連絡や請求書の発送、受け取りなどに利用している実態があれば、経費に計上できます。
勘定科目としては、法人と同様に「支払手数料」が基本です。その他、通信関連のサービスは「通信費」、郵便物管理などを外部に委託していれば「外注工賃」、会議室を使用すれば「会議費」など、用途に応じて適切に振り分けましょう。勘定科目に迷ったときは、継続的に使用できる科目を一度決めて、それを毎年使い続けると帳簿の一貫性を保てます。
ただし、個人事業主の場合は、家事関連費と事業経費の線引きがより厳密に求められる傾向があります。自宅と兼用している場合は「どこまでが事業用なのか」「なぜこのサービスが必要なのか」を説明できるよう、明確な利用目的や記録を残しておくと安心です。必要に応じて、青色申告決算書の備考欄や帳簿にメモを残すと、後の税務対応もスムーズに進められます。

バーチャルオフィスを経費計上する際には、注意しなければならないポイントもあります。どのような点に注意すべきなのか、解説します。

バーチャルオフィス関連の支出を経費として計上する際は、勘定科目の「継続性」が重要です。例えば、ある年は「支払手数料」で処理し、翌年から「雑費」や「通信費」に変更してしまうと、帳簿の信頼性が損なわれ、税務調査で不審に思われる可能性があります。
経理処理のルールは一貫性を持たせ、初期段階で決めた分類を継続することが、結果的にリスクを減らすポイントです。

同じバーチャルオフィスでも、利用目的や契約内容は事業者によって異なります。例えば「登記用の住所提供だけ」を目的にするのか、「電話代行や会議室利用も含めた営業支援サービス」まで使うのかで、最適な勘定科目は変わります。
パッケージ料金に複数サービスが含まれている場合でも、領収書の内訳や契約内容を確認し、自社の業務実態に即した科目を選びましょう。迷う場合は税理士に相談するのが確実です。

バーチャルオフィスを利用していても、実際の業務を自宅で行っているのであれば、自宅の家賃や光熱費、インターネット料金の一部を「事業用経費」として按分計上できます。
このとき、バーチャルオフィスの有無にかかわらず、作業実態が重視されます。例えば、仕事部屋が家全体の20%を占めていれば、家賃や電気代の20%を経費にすることが可能です。
ただし、面積比率や稼働時間など正当な根拠を記録しておかなければなりません。

法人の場合、登記された本店所在地が納税地となるため、バーチャルオフィスの住所を登記すれば、その場所が納税地になります。
個人事業主でもバーチャルオフィスを納税地として登録できますが、注意点があります。自宅住所を登録しないと、家賃や光熱費の按分経費が否認される恐れがあるため、自宅でも作業している場合は「自宅住所+バーチャルオフィス」を併用して登録しておくのが安心です。

開業届にバーチャルオフィスの住所を記載していない場合でも、経費計上は可能です。税務上は「事業のために実際に使っているかどうか」が重要視されるため、請求書や名刺にその住所を使用し、実態があることを示す証拠を残しておけば問題ありません。
開業後に利用を開始した場合は、契約開始日からの支出について計上できます。

会計処理においては、勘定科目の選定に絶対的なルールがあるわけではなく、「合理的かどうか」「継続性があるかどうか」が問われます。したがって、「通信費か支払手数料か」で迷う場合も、説明可能な根拠があればいずれでも問題ありません。
過度に心配する必要はなく、あくまでも実態と帳簿の整合性が重要です。ただし、意図的な虚偽や過少申告はペナルティ対象となるため、透明性のある記帳を行いましょう。

バーチャルオフィスの利用料は、事業運営上の必要経費として計上可能です。基本料金は「支払手数料」で処理するのが一般的ですが、オプションサービスの内容によっては「通信費」「電話代」「会議費」「外注工賃」など、用途に応じて適切な勘定科目を選ぶ必要があります。
また、個人事業主であっても法人と同様に経費処理が可能であり、実際に事業のために使用していることを示せるかどうかが重要な判断基準となります。勘定科目の分類には厳密な正解があるわけではなく、税務署が重視するのは「合理性」「継続性」「実態に基づいた処理」である点を忘れないようにしましょう。
不安な場合は専門家に相談しながら、自社の経理方針を早い段階で整えておくことが、後々のトラブル回避にもつながります。
また、クロスコープでは全国9拠点、法人登記可能な一等地の住所を利用できるバーチャルオフィスをご提供しています。個人事業主の方やこれから起業する方、副業で自宅住所を知られたくない方などにおすすめのオフィスのため、ぜひこの機会にご検討ください。

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