レンタルオフィスで法人登記できる?メリット・注意点を詳しく解説

2023年3月1日 2025年7月15日

会社を設立した場合は、法務局で法人登記を行う必要があります。登記申請書には本店がある場所を記載しなければなりませんが、レンタルオフィスを事務所にしている場合、法人登記することは可能なのでしょうか?
今回はレンタルオフィスの住所で法人登記を行うことが可能かどうか、レンタルオフィスの住所で法人登記するメリットや注意点について解説します。併せて、バーチャルオフィスとの比較やレンタルオフィスを選ぶ際のポイント、法人登記するために必要な準備なども記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
1. レンタルオフィスの住所で法人登記することは可能?
2.レンタルオフィスとバーチャルオフィスの比較
3.レンタルオフィスの住所で法人登記するメリット
4. レンタルオフィスの住所で法人登記するときの注意点
5.登記可能なレンタルオフィスを選ぶ際のポイント 6.レンタルオフィスで法人登記するために準備しておくこと 7.レンタルオフィス契約から法務局での法人登記までのステップ 8.まとめ

レンタルオフィスを借りて起業した場合、法人登記できるかどうかは重要な問題のひとつです。はたしてレンタルオフィスの住所で法人登記することは可能なのでしょうか。詳しく解説していきます。

法人登記の申請については商業登記法に定められていますが、本社所在地について「レンタルオフィス不可」という決まりはありません。つまり、法的にはレンタルオフィスの住所で法人登記をしても問題ないことになります。 実際、スタートアップ起業やベンチャー企業の中には、レンタルオフィスの住所で法人登記をしているところもあります。

レンタルオフィスの住所で法人登記すること自体に問題はありませんが、レンタルオフィスの中には、契約で法人登記を禁止しているところもあります。レンタルオフィスはその名の通り、業務で利用することを前提としたサービスなので法人登記NGというケースはまれではありますが、契約時に法人登記できるかどうかは必ず確認しておきましょう。

 レンタルオフィスの住所で法人登記

法人登記を検討する際、レンタルオフィスとバーチャルオフィスのどちらを選ぶかは重要な判断材料です。ここでは「登記のしやすさ」「信用力」「実務対応」という3つの観点から両者の違いを整理し、最適な選択肢を見極めるポイントを解説します。

レンタルオフィスは、原則として法人登記が可能です。使用承諾書の発行や個室の提供といった体制が整っており、法務局においてもスムーズに受理されるケースが多く見られます。契約内容に登記の可否が明記されていることも多く、事前確認がしやすい点もメリットです。
一方、バーチャルオフィスも登記自体は可能ですが、業種によっては適さない場合があります。また、法務局によっては補足資料の提出が求められるなど、手続きが煩雑になることもあるため、慎重な対応が必要です。

信用力の面では、レンタルオフィスが優位です。実際に利用可能な物理的な作業スペースがあるため、名刺やホームページに記載する住所としても信頼性が高く、顧客や取引先に対して良い印象を与えられます。加えて、銀行口座の開設や融資審査においてもプラスに働くケースが少なくありません。
一方で、バーチャルオフィスは物理的な作業スペースがないため、実態のある事業かどうかを疑われやすい傾向があります。銀行によっては住所がバーチャルオフィスであることを理由に法人口座の開設を断られることもあり、信用構築にやや不利と言えるでしょう。

レンタルオフィスには、デスクやチェア、Wi-Fi環境、会議室など業務に必要な設備が揃っており、法人登記後にすぐ事業をスタートできる環境が整っています。さらに、受付サービスや郵便物の受け取りなども利用できるため、起業初期の実務負担を大幅に軽減可能です。
対してバーチャルオフィスは、郵便物転送や電話取り次ぎといった最低限の事務機能は備えているものの、実際に作業を行うスペースは提供されません。実務を行える拠点が必要な業種の場合、スペースの確保が別途必要です。

レンタルオフィスの住所で法人登記すると、以下のようなメリットがあります。

貸事務所の賃料は人気エリアになるほど割高になるため、資本金が少ないベンチャー企業やスタートアップ企業は一等地に事務所を構えることのハードルが高くなってしまいます。レンタルオフィスなら、一般的な賃貸事務所より安い料金で利用できるため、一等地の住所で法人登記することも可能です。一等地に事務所を構えて名刺やWebサイトに記載すれば、社会的な信用やブランド力が高まり、ビジネスチャンスを掴みやすくなる可能性があります。
また、一等地はアクセスが良好なので、クライアントや顧客が来訪しやすいというメリットもあります。

賃貸事務所の場合、まっさらな状態で入居することになるため、デスクやチェア、キャビネットなどのオフィス家具を新調したり、インターネット回線を引いたりしなければなりません。法人登記を済ませても、実際に事業を開始するまでに設備を整える準備期間が必要となります。しかし、レンタルオフィスの場合は業務に必要なデスクやチェア、Wi-Fi環境などがあらかじめ完備されているケースがほとんどなので、法人登記後、スムーズに事業を始めることができます。
転居することになった場合も、オフィス家具はそのまま残していけるので、身軽に移転ができるところも利点です。

レンタルオフィスは一般的な賃貸事務所よりも月額料金が安いので、事務所にかかるランニングコスト(固定費)を抑えることができます。また、レンタルオフィスのほとんどは、敷金・礼金が不要です。 代わりに入会金や事務手数料などが必要ですが、賃料の数ヶ月分にあたる敷金や礼金に比べると負担が少ないため、初期費用を節減できます。

レンタルオフィスの中には、受付で電話や来客の取次ぎを行ったり、郵便物を受け取ったりするサービスをオプションで提供しているところもあります。起業したばかりのうちは人手が足りず、代表者が一人で何でもこなさなければならないケースが多いですが、レンタルオフィスのオプションサービスを上手に活用すれば、業務効率をアップさせることができるでしょう。


レンタルオフィスの住所で法人登記することには複数のメリットがある一方、気をつけなければならない点もあります。

多くのレンタルオフィスは法人登記を認めていますが、中には登記をオプション扱いにしているところもあります。その場合、別途オプション料金を支払わなければならないため、あらかじめ法人登記が有料かを確認するようにしましょう。 また、法人登記のオプション料金を月額料金や初期費用に含めているレンタルオフィスもありますので、レンタルオフィスを選ぶ際には料金の内訳をチェックして法人登記のオプションが含まれているかを確認するようにするとよいでしょう。

業種によっては、許認可を取得するにあたり、一定のオフィス要件を満たさなければならない場合があります。たとえば宅建業の免許を受けるには、本店について、物理的に宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、かつ社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが要件となります。[注1]
そのため、原則として以下のようなケースは事務所とすることは認められていません。

    1. 一般の戸建て住宅
    2. マンション等の集合住宅の一室
    3. ひとつの事務所を他の法人等と使用すること
    4. 仮設の事務所
レンタルオフィスは3のケースに該当しますが、以下のケースに当てはまる場合は許認可を受けることが可能です。
    ● 他の法人などとは別に出入口を設けており、他社を通ることなく出入りできること
    ● 他の法人との間に高さ180cm以上のパーテーションなど固定式の間仕切りがあり、相互に独立していること
専用の個室を借りられるレンタルオフィスなら、上記の要件を満たすことができますが、オープンスペースの場合は許認可を取得できない可能性がありますのであらかじめ注意しましょう。

[注1]東京都住宅政策本部「宅地建物取引業の免許のあらまし」
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/takken_menkyo02?23=

会社を設立する場合、私的な利用と区別するために法人口座を開設するのが一般的です。 レンタルオフィスの住所でも法人口座を開設することは可能ですが、近年は詐欺などの犯罪行為に悪用されないよう、口座開設の審査が厳格化しています。
そのため、法人口座の開設を検討している場合は、レンタルオフィスに法人口座の開設実績があるかどうかを事前に確認すると、スムーズに開設の手続きを進められるでしょう。

 レンタルオフィスで法人登記

法人登記を目的としてレンタルオフィスを選ぶ際には、確認しておくべきポイントがあります。ここでは、登記可能なレンタルオフィスを選ぶ際のポイントを解説します。

住所は、企業の信頼性を対外的に示す重要な情報です。たとえば、一等地やオフィス街に立地していれば、それだけで一定の信用力を持つと見なされやすくなります。また、Googleマップなどでオフィスが実在するかを確認することで、名義貸しのリスクも回避可能です。
さらに、同一住所に過剰な数の法人が登記されている場合、金融機関や取引先に「実態がないのでは」と疑念を抱かれる可能性があります。信頼を損なわないためにも、登記先の住所が他社と重複しすぎていないか事前に確認しておくことが大切です。

レンタルオフィスには、完全個室タイプやパーテーションで区切られた半個室、フリーデスク形式など、さまざまな形態があります。特に許認可が必要な業種では、独立した空間や専用出入口、十分なプライバシーの確保が求められることがあります。
そのため、登記だけでなく、将来的な事業拡張や対外的な審査にも対応できるオフィスを選ぶことが重要です。業務内容に適した静かな作業環境や、来客に対応できるスペースの有無も含めて、実際に見学したうえで判断するとよいでしょう。

レンタルオフィスは、物件だけでなく運営会社の信頼性・持続性も重要な判断材料です。万が一、突然の閉鎖や事業撤退があれば、急な住所変更を迫られ、法人登記のやり直しや取引先への通知など、多くの手間と費用が発生します。
そのため、契約前に運営会社の企業規模や創業年数、全国の拠点展開状況、ユーザーからの口コミ・評判などを入念にチェックしましょう。長期的な視点で安定的に利用できるかどうかを見極めておくことが、安心してビジネスを続けるために重要です。


レンタルオフィスで法人登記するために準備しておくこと

法人登記をスムーズに進めるためには、事前準備が欠かせません。ここでは、レンタルオフィスで法人登記するために準備しておくことを紹介します。

登記申請には、登記申請書、定款、印鑑届出書、払込証明書などの基本書類が必要です。加えて、レンタルオフィスの住所を本店所在地とする場合は、オフィス側から発行される「使用承諾書」の提出を求められることがあります。
特に株式会社の場合、定款は公証役場で認証を受ける必要があるため、その写しを添付する準備も必要です。書類の不備や記載漏れがあると申請が受理されない可能性があるため、細部まで注意して確認を行いましょう。

登記書類の作成には、会社名(商号)、本店所在地、資本金の額、決算期、事業目的などの基本情報が必要です。特に事業目的は登記後の事業拡大や許認可の取得に影響するため、幅を持たせて記載するのが一般的です。
また、代表取締役を含む役員の構成もこの段階で確定させておく必要があります。登記後の変更手続きは煩雑になるため、可能な限り設立前に詰めておくことが望ましいでしょう。

法人の印鑑には、会社実印(代表者印)、銀行印、角印の3種類があります。このうち、登記に必要となるのは会社実印です。印鑑登録は登記と同時に行われるため、申請前に確実に作成しておきましょう。
銀行印と角印についても後々の業務で頻繁に使うため、同時に作成しておくと効率的です。印影は一度登録すると変更が手間になるため、デザインにも配慮しビジネスにふさわしいものを選ぶと安心です。

資本金は、設立登記前に代表者の個人口座へ振り込む形で準備します。通帳の表紙と振込内容が記載されたページのコピーを取得し、「払込証明書」とともに提出します。
このとき、入金日や振込名義が不一致だと証明として認められない可能性があるため、通帳記載内容と証明書の内容を一致させなければなりません。資本金は1円から設定可能ですが、あまりに少額だと信用に影響を与えることもあるため、業種に応じて適切な金額を検討しましょう。

定款の作成方法には、電子定款と紙定款の2種類があります。電子定款は、印紙代4万円が不要となるため、コスト削減の観点からもおすすめです。
ただし、電子定款には専用ソフトや電子署名、電子証明書などの準備が必要となるため、初めて設立する方にとってはハードルが高い場合もあります。不安がある場合は、行政書士などの専門家に作成を依頼することで、スムーズに手続きを進められます。

法人登記は、本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。登記申請は持参・郵送・オンラインのいずれかの方法で提出できますが、対応している手続きの範囲は管轄法務局によって異なる場合があります。
また、登記完了後に取得する登記事項証明書や印鑑証明書も、登記した法務局で発行されます。これらをスムーズに取得するためにも、事前に所在地に対応した法務局を確認し、受付時間や必要書類の最新情報を調べておくと安心です。

法人登記の手続きは複数のステップで構成されます。それぞれの工程を理解しておくことで、スムーズな会社設立が可能です。ここでは、一般的な流れを具体的にご紹介します。

最初のステップは、法人登記に対応しているレンタルオフィスを選定することです。契約条件に「法人登記可」と明記されているかを確認し、必要に応じて登記実績や使用承諾書の発行可否についても問い合わせましょう。
また、許認可が必要な業種であれば、個室かどうか、出入口の独立性、オフィスの構造なども重要な判断材料になります。特に不動産業や建設業などでは、法的に一定のオフィス要件を満たさなければ許可が下りないことがあるため、見学や問い合わせによる事前確認を怠らないようにしてください。

オフィスを選定したら、次に契約の締結に進みます。契約時には本人確認書類や事業内容の説明資料の提出を求められる場合があります。契約書とともに、法人登記用の使用承諾書を受け取るのを忘れないようにしましょう。
契約後すぐに、登記書類や定款に記載する本店所在地としてレンタルオフィスの住所を利用することが可能となります。登記以外にも、今後の請求書や名刺、Webサイトなどへの住所表記にも関わるため、間違いのないように記載してください。

株式会社を設立する場合、定款の作成と公証役場での認証が必要です。定款は会社の基本的なルールを定める文書であり、本店所在地としてレンタルオフィスの住所を記載します。
電子定款を利用する場合は印紙代が不要となり、コストを削減できますが、専用のソフトや電子証明書が必要です。自身での対応が難しい場合は、行政書士などの専門家に依頼することでスムーズな手続きが可能になります。

定款認証後は、資本金の振込手続きを行います。代表者個人名義の銀行口座に資本金を入金し、その証拠として通帳の表紙と記帳ページのコピーを取得しましょう。これを基に「払込証明書」を作成し、登記書類に添付します。
資本金は1円でも設立可能です。しかし資本金の額は事業規模や信用に直結するため、実情に応じた金額設定が望まれます。特に金融機関との取引を想定している場合は、一定額以上の資本金があることで信頼性が高まることがあります

必要な書類一式を正確に作成します。主な書類としては、登記申請書、印鑑届出書、定款の認証済写し、払込証明書、役員の就任承諾書などがあります。
また、レンタルオフィスを本店所在地とする場合、使用承諾書の添付を求められることが多いため、契約時に取得しておくと安心です。書類の記載内容に誤りがあると受理されないため、すべての記入内容を念入りにチェックしておきましょう。

すべての書類が揃ったら、法人登記の申請を行います。申請は、登記所に持参する方法のほか、郵送やオンライン申請にも対応しています。
提出方法によって準備すべき書類や手順が若干異なるため、事前に管轄法務局の案内を確認しましょう。登記申請が完了し、法務局に受理された日が会社の設立日となります。

登記が完了した後は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)や印鑑証明書を取得します。これらの証明書は、銀行での法人口座開設や許認可申請、業務上の契約手続きなどで必要不可欠です。
証明書は法務局の窓口のほか、オンラインや郵送でも取得可能です。設立直後は手続きが集中しがちですので、必要数をまとめて取得しておくと、その後の業務がスムーズに進みます。

レンタルオフィスの住所を本社所在地にして法人登記を行うことは、法的に問題ありません。一般的な賃貸事務所に比べると、コストを抑えて一等地の住所で法人登記できる、登記後にスムーズに事業を開始できるなど、複数のメリットがあります。 ただ、登記にあたって別料金が発生するなど、業種によっては許認可を取得できない場合があるので、事前に契約内容をよく確認しておきましょう。
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