レンタルオフィスで法人登記できる?メリット・注意点を詳しく解説
2023年3月1日 2024年5月20日
会社を設立した場合は、法務局で法人登記を行う必要があります。登記申請書には本店がある場所を記載しなければなりませんが、レンタルオフィスを事務所にしている場合、法人登記することは可能なのでしょうか?
今回はレンタルオフィスの住所で法人登記を行うことが可能かどうか、レンタルオフィスの住所で法人登記するメリットや注意点について解説します。
1. レンタルオフィスの住所で法人登記することは可能?
レンタルオフィスを借りて起業した場合、法人登記できるかどうかは重要な問題のひとつです。はたしてレンタルオフィスの住所で法人登記することは可能なのでしょうか。詳しく解説していきます。
基本的にはレンタルオフィスの住所で法人登記できる
法人登記の申請については商業登記法に定められていますが、本社所在地について「レンタルオフィス不可」という決まりはありません。つまり、法的にはレンタルオフィスの住所で法人登記をしても問題ないことになります。 実際、スタートアップ起業やベンチャー企業の中には、レンタルオフィスの住所で法人登記をしているところもあります。
レンタルオフィスによっては法人登記できないケースもある
レンタルオフィスの住所で法人登記すること自体に問題はありませんが、レンタルオフィスのなかには、契約で法人登記を禁止しているところもあります。レンタルオフィスはその名の通り、業務で利用することを前提としたサービスなので法人登記NGというケースはまれではありますが、契約時に法人登記できるかどうかは必ず確認しておきましょう。
2.レンタルオフィスの住所で法人登記するメリット
レンタルオフィスの住所で法人登記すると、以下のようなメリットがあります。
一等地の住所で法人登記できる
貸事務所の賃料は人気エリアになるほど割高になるため、資本金が少ないベンチャー企業やスタートアップ企業は一等地に事務所を構えることのハードルが高くなってしまいます。レンタルオフィスなら、一般的な賃貸事務所より安い料金で利用できるため、一等地の住所で法人登記することも可能です。一等地に事務所を構えて名刺やWebサイトに記載すれば、社会的な信用やブランド力が高まり、ビジネスチャンスを掴みやすくなる可能性があります。
また、一等地はアクセスが良好なので、クライアントや顧客が来訪しやすいというメリットもあります。
法人登記後にスムーズに事業をスタートできる
賃貸事務所の場合、まっさらな状態で入居することになるため、デスクやチェア、キャビネットなどのオフィス家具を新調したり、インターネット回線を引いたりしなければなりません。法人登記を済ませても、実際に事業を開始するまでに設備を整える準備期間が必要となります。しかし、レンタルオフィスの場合は業務に必要なデスクやチェア、Wi-Fi環境などがあらかじめ完備されているケースがほとんどなので、法人登記後、スムーズに事業を始めることができます。
転居することになった場合も、オフィス家具はそのまま残していけるので、身軽に移転ができるところも利点です。
初期費用とランニングコストを節減できる
レンタルオフィスは一般的な賃貸事務所よりも月額料金が安いので、事務所にかかるランニングコスト(固定費)を抑えることができます。また、レンタルオフィスのほとんどは、敷金・礼金が不要です。 代わりに入会金や事務手数料などが必要ですが、賃料の数ヶ月分にあたる敷金や礼金に比べると負担が少ないため、初期費用を節減できます。
必要に応じてさまざまなサービスを利用できる
レンタルオフィスのなかには、受付で電話や来客の取次ぎを行ったり、郵便物を受け取ったりするサービスをオプションで提供しているところもあります。起業したばかりのうちは人手が足りず、代表者が一人で何でもこなさなければならないケースが多いですが、レンタルオフィスのオプションサービスを上手に活用すれば、業務効率アップさせることができるでしょう。
3. レンタルオフィスの住所で法人登記するときの注意点
レンタルオフィスの住所で法人登記することには複数のメリットがある一方、気をつけなければならない点もあります。
別料金が発生するケースもある
多くのレンタルオフィスは法人登記を認めていますが、中には登記をオプション扱いにしているところもあります。その場合、別途オプション料金を支払わなければならないため、あらかじめ法人登記が有料かを確認するようにしましょう。 法人登記のオプション料金を月額料金や初期費用に含めているレンタルオフィスもありますので、レンタルオフィスを選ぶ際には料金の内訳をチェックして法人登記のオプションが含まれているかを確認するようにするとよいでしょう。
業種によっては許認可を取得できない場合もある
業種によっては、許認可を取得するにあたり、一定のオフィス要件を満たさなければならない場合があります。たとえば宅建業の免許を受けるには、本店について、物理的に宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、かつ社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが要件となります。[注1]
そのため、原則として以下のようなケースは事務所とすることは認められていません。
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1. 一般の戸建て住宅
2. マンション等の集合住宅の一室
3. ひとつの事務所を他の法人等と使用すること
4. 仮設の事務所
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● 他の法人などとは別に出入口を設けており、他社を通ることなく出入りできること
● 他の法人との間に高さ180cm以上のパーテーションなど固定式の間仕切りがあり、相互に独立していること
[注1]東京都都市整備局「宅地建物取引業の免許のあらまし」
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/sinsei/takken_menkyo02.pdf
法人口座の開設実績があるか確認しておく
会社を設立する場合、私的な利用と区別するために法人口座を開設するのが一般的です。 レンタルオフィスの住所でも法人口座を開設することは可能ですが、近年は詐欺などの犯罪行為に悪用されないよう、口座開設の審査が厳格化しています。 法人口座の開設を検討している場合は、レンタルオフィスに法人口座の開設実績があるかどうかを事前に確認すると、スムーズに開設の手続きを進められるでしょう。
4. まとめ
レンタルオフィスの住所を本社所在地にして法人登記を行うことは、法的に問題ありません。一般的な賃貸事務所に比べると、コストを抑えて一等地の住所で法人登記できる、登記後にスムーズに事業を開始できるなど、複数のメリットがあります。 ただ、登記にあたって別料金が発生するなど、業種によっては許認可を取得できない場合があるので、事前に契約内容をよく確認しておきましょう。