オフィス回帰とは?離職リスクを低める「ハイブリッドワーク」も紹介

2023年9月20日 2023年9月15日

新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行した現在、テレワークからオフィスワークへと働き方を戻すオフィス回帰が注目を集めています。しかし、オフィス回帰にはメリットとデメリットの両面があるため、安易に決断を下すのは危険です。

そこで今回は、オフィス回帰の現状やメリット・デメリットを解説します。オフィス回帰について十分に理解を深められるため、アフターコロナにおける働き方として最善かどうかを判断できるようになるでしょう。

オフィス回帰とは、テレワークによってオフィス以外で働くようになった社員が再びオフィスワークへと戻ることです。 日本では、2020年4月の緊急事態宣言により、他者との接触を避けられるようにテレワークを導入する企業が増加しました。 解除後は再びオフィスに戻る社員もいましたが、2021年に二度目の緊急事態宣言が発令され、再度テレワークの動きが強まり、ビジネスパーソンたちは不安定な働き方を強いられることとなります。 このように、新型コロナウイルス感染症は働き方を大きく変化させた出来事であり、経営者、社員ともに働き方について見つめ直す大きなきっかけにもなったと言えるでしょう。 そして、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が2類から5類へと移行してからは、全国の企業でオフィス回帰の流れが強まっています。
しかし、テレワークの導入に伴い、新たなシステムの導入や社内のルール策定などを行っている企業もあるため、完璧に従来の働き方に戻すのが難しいという企業も少なくありません。

また、社員の間でも、オフィスワーク派とテレワーク派に意見が分かれることもあります。これらの問題から、企業は新たな働き方を求められているのが現状です。

下記の表は、東京都で調査されたテレワーク実施率のデータです。テレワーク実施率が分かることで、オフィス回帰の状況も見えてきます。

テレワーク実施率の推移

年月 テレワーク実施率 備考
2021年5月 64.8% コロナ期間中
2021年12月 56.4% コロナ期間中
2022年5月 56.7% コロナ期間中
2022年12月 52.4% コロナ期間中
2023年5月 44.0% アフターコロナへ

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた2021年のテレワーク実施率は、5月で64.8%、12月で56.4%と非常に高い割合となりました。それから徐々にテレワーク実施率が低下していき、2023年5月には44.0%と50%を下回る結果となっています。 このことから、アフターコロナに向けてオフィス回帰を行う企業は決して少なくないと言えるでしょう。

オフィス回帰は、経営者と社員それぞれの目線でメリット・デメリットがあります。アフターコロナ社会で働きやすい環境を整えるためには、経営者と社員の両方にメリットがなくてはなりません。 オフィス回帰によって社員が「コロナ禍以上に働きにくい」と感じれば、離職する可能性もあります。万が一優秀な社員が離職した場合、企業にとっては大きな痛手となるでしょう。
アフターコロナに向けてより良い労働環境を整えられるように、ここからは経営者側、社員側のオフィス回帰のメリット・デメリットを紹介します。

オフィス回帰における、経営者側のメリットとデメリットを順に見ていきましょう。

【経営者側】オフィス回帰をするメリット
  • 社員の仕事に対する姿勢を把握できる
  • 社員同士のコミュニケーションが活性化する
  • 企業文化が浸透しやすい
  • オフィス回帰によって社員が一堂に会するようになれば、社員の行動を把握しやすくなります。社員の仕事に向かう姿勢を確認できるため、正当な評価もしやすくなるでしょう。また、社員がオフィスに集まることで、社員同士のコミュニケーションが活性化したり企業理念や仕事の目標を共有しやすくなります。 これらは、チームワークの強化や生産性の向上に貢献し、業績アップにもつながるため、経営者としてもメリットが大きいです。

    【経営者側】オフィス回帰をするデメリット
  • オフィス拡張などで不動産コストがかかる
  • 経費の増大
  • 社員に窮屈な思いを強いる恐れがある
  • オフィス回帰で多くの社員が出社をするようになれば、仕事がしやすいようにオフィスを拡張するなどの対応が必要となります。工事をしたり新たなオフィスを構えたりなどで対処する場合、多額の不動産コストが発生するでしょう。 さらに、オフィスに社員が集まることで、電気代や水道代などさまざまな経費が増大する可能性も高いです。こうしたことから、オフィス回帰は費用面で大きなデメリットとなり得ます。 また、オフィス回帰によって自由な働き方ができなくなると、離職を検討する社員も出てくるでしょう。

    続いて、社員側のオフィス回帰に対するメリット・デメリットを確認していきましょう。

    【社員側】オフィス回帰をするメリット
  • 生産性の向上が期待できる
  • 社員同士のコミュニケーションが取りやすくなる
  • オンとオフの切り替えがしやすい
  • テレワークは、上司の目がないことによる緊張感の軽減、子どもが同じ空間にいることで仕事が進まないなどの理由から、生産性が低下するという問題があります。 しかし、オフィス回帰をすればオンとオフをスムーズに切り替えられるため、仕事に集中しやすくなり、生産性の向上が期待できるでしょう。 また、社員同士のコミュニケーションも取りやすくなります。プロジェクトをスムーズに進められたり、社員間で気軽な会話を楽しめたりといったメリットも得られるでしょう。

    【社員側】オフィス回帰をするデメリット
  • 通勤に対する負担が増す
  • 仕事と家庭のバランスが取りにくい
  • 多様な働き方が困難となる
  • オフィス回帰をすれば、社員は出社をしなければなりません。通勤に時間がかかる、満員電車に揺られなければならない、身だしなみを整えるのが面倒など、出社することに対して負担に感じる社員もいるでしょう。 また、仕事とプライベートを完全に切り離すことになるため、家庭との両立が難しくなります。テレワークであれば、隙間時間に家事を行ったり、子どもの休学・休園に対応できたりしますが、オフィス回帰をすればこれらへの対応が困難です。 自分の都合に合った働き方ができなくなるため、特に家庭を持つ社員にとっては大きなデメリットと言えるでしょう。

    テレワークという働き方が浸透したことにより、強制的なオフィス回帰は社員の離職リスクを高める可能性があると懸念されています。 従来は、「オフィス=人々が仕事をしに行く場所」という考えが主流でした。 しかし、新型コロナウイルス感染症によってテレワークが導入され、人々の働き方はオフィスだけではないことが分かり、自由な働き方を求めるビジネスパーソンも増えています。実際に、アフターコロナでもテレワークを希望する方は少なくありません。 特に、IT業界などでは自宅にインターネット環境があれば仕事ができるため、完全テレワークが可能です。時間をかけて出社する必要がなくなったり、人間関係の煩わしさを軽減できたりといったメリットから、「オフィス回帰になるなら転職を考える」という方もいます。 このように、テレワーク派の意向を無視して企業がオフィス回帰を決断した場合、転職を検討し始める社員が増加してしまうことを覚えておきましょう。

    社員によって、オフィスワークとテレワークのどちらがいいか意見が異なります。経営者が選択を誤れば、社員の離職率を高めてしまうおそれがあるため、最終的な決断ができずにいる企業も多いでしょう。 そこで、今注目されているのが新たな働き方である「ハイブリッドワーク」です。 すでに新型コロナウイルス感染症の影響で働き方が大きく変化してしまっているため、「元に戻す」のではなく「変化した働き方に合わせて労働環境を整える」という流れが強まっています。

    ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークの両方を実現可能とした働き方のことです。例えば、週2日はオフィスワーク、週3日はテレワークという風に、社員の希望に合わせて2つの働き方ができます。ハイブリッドワークを導入するメリットは、下記の通りです。

  • 生産性の向上
  • 社員のモチベーションアップ
  • 離職率の低下
  • 優秀な人材の確保
  • ハイブリッドワークの最大の魅力は、働きやすさです。社員の希望に沿った働き方ができるようになるため、仕事に対するモチベーションが上がり、同時に生産性の向上も期待できます。また、働きやすい環境が整うことで離職率の低下や優秀な人材の採用なども実現しやすくなるでしょう。 このように、ハイブリッドワークには多くのメリットがあることから、早急に導入を行った企業も多いです。例えば、Google・Amazon・NTT・Microsoftなど、世界的な大手企業がハイブリッドワークを導入しています。

    数々のメリットが期待できるハイブリッドワークですが、成功させるためには新たな働き方に対応できるだけの体制を整える必要があります。特に大きなポイントとなるのが、下記の2点です。

  • オフィス環境の整備
  • フレキシブルオフィスの活用
  • ハイブリッドワークを導入することで、オフィスに出社する社員も増加します。勤怠管理システムやセキュリティツールなど、オフィスで働けるように環境を整えましょう。 また、オフィスワーク社員が増えるとオフィスが手狭になってしまいます。社員が快適に働けるように、オフィス拡張・分散化が期待できるフレキシブルオフィスの活用も検討しましょう。

    オフィス回帰を望む経営者の方は、『アフターコロナのオフィスにおける変化と問題点|再開に向けた準備も』で詳しく説明をしていますのでご参照ください。

    オフィス回帰とは、テレワークから働き方をオフィスへと戻すことです。 アフターコロナでオフィス回帰の流れが強まっているものの、オフィス回帰にはデメリットもあります。そのため、企業の中にはオフィス回帰ではなく、オフィスワークとテレワークを掛け合わせたハイブリッドワークを導入している企業も多いです。 しかし、ハイブリッドワークを導入するのであれば、オフィス環境の整備やオフィス拡張・分散化など、労働環境における工夫が必要不可欠となります。

    ハイグレードビル内に開設している「CROSSCOOP(クロスコープ)」は、個室・会議室・Web会議室・ラウンジなどさまざまなスペースがあるため、オフィスワークを希望する社員も快適に働けるでしょう。フレキシブルオフィスの活用を検討している企業経営者の方は、ぜひCROSSCOOP(クロスコープ)にご相談ください。