緊急事態宣言解除後のオフィス再開、「生産性が向上するオフィス環境」とは?

2021年10月6日 2023年1月19日

2021年10月、数ヶ月に及んだ緊急事態宣言が全国的に解除となりました。コロナウィルス感染者増加のリバウンドを警戒しつつ、最低限の出社に抑えていた企業も本格的にオフィス通勤へ戻したり、オフィスワークと在宅勤務を組み合わせる働き方を採用する企業も多くいることでしょう。今回は、在宅勤務でのテレワーク疲れと仕事の生産性についてお話したいと思います。

働き方改革の導入やコロナウィルス感染拡大防止の観点から、オフィスの限定的な出社や、在宅勤務を推奨し、テレワーク、リモートワークを取り入れ、オフィスに出社しない勤務形態は急速に定着しました。
しかし、ここに来て「テレワークや在宅勤務の満足度が高い」「オフィス勤務よりもテレワークにより生産性が向上した」と考える人が減少しつつあるようです。これは、どのような理由からきているのでしょうか。

テレワーク・リモートワークの導入当初は、通勤時間やオフィスでの拘束時間から解放され、「ワークライフバランスを重視したより良い働き方」「時間効率が良くなる」等と期待されていました。実際にテレワークを導入し、賃貸事務所を解約し、経費削減や生産性アップが達成出来た企業もあるでしょう。
しかしながら、テレワーク・リモートワークの満足度の低下、生産性の効率化を改めてみたときにやはりオフィスに出社した方が効率よく働けるという日本人が多いように思います。欧米各国と比較しても、オフィスで行う仕事の方が、在宅勤務やテレワークで行う仕事より効率よく働けるという回答が多かったというデータも出ているようです。
日本の社会、文化によるところが大きいと思われますが、オフィスに出社することによって仕事とプライベートの切り替えが明確になり、それを好ましいと考えるワーカーが多いように思います。またウェブ会議やリモートチャットではなく、実際に人と会って話をするコミュニケーションの方が、仕事での「現場感」をより体感出来ることや、在宅勤務による「孤独感」を感じずに済むという意見のワーカーも一定数いることは無視できません。

緊急事態宣言の解除に伴って、段階的に出社日数を増加させる企業は増加しています。先述したように、オフィスワークや出勤するワークスタイルを好むワーカーがいくら多いと言っても、テレワークやリモートワーク勤務がなくなることはないでしょう。今後各企業は、
✅ テレワーク・リモートワークを活かしつつ、出社日を最小限に抑えたオフィス勤務を行う
✅ オフィスを縮小化し、サービスオフィスなど外部のワークスペースを利用し柔軟な働き方を追求していく
✅ 賃貸オフィス(自社オフィス)を利用継続し従業員をフル出勤に戻して事業を進めて行く
など、色々な選択肢の中から、各企業にとって効果的な働き方とワークスペースを選択していくことになるでしょう。働き方、働く場所の選択肢が増えたことは、企業、従業員にとって喜ばしいことだと思います。テレワーク・リモートワークから、オフィス回帰の方向に変化してきている過程は、今後も注目すべき点だと思います。

そもそも「生産性」とは、いかに少ない投資からより多くの付加価値を産み出すか?ということです。より少ないインプットからより多いアウトプットが得られるほど、より生産性が高いといえます。生産性には「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」などがありますが、本コラムでは「労働生産性」のことを指しています。一人当たりがどれだけ量をこなしたか、量を生産したかということや、どれだけ売上をあげたか、利益をだしたかということが企業における「生産性」の意味であり、企業は生産性向上を追求し続けることが役目といえるでしょう。

生産性向上には、ワーカーの個々の能力やそれぞれのチームワーク、またチームを引率するリーダーの力など「人材」が重要ですが、オフィス環境も大切なポイントのひとつです。今の時代ワーカーが求めているオフィス環境は、集中できるワークスペースや、オンラインミーティングができる環境、チームで対面でコミュニケーションがとれるスペースが欲しい、など多様なワークスペースを欲していることが伺えます。それは、多様な働き方が浸透したからでもあります。誰もが快適に働くためには、様々なワークスタイルに対応した、様々なワークスペースが必要なのです。

どの企業も模索中であると思われますが、これからのニューノーマルな働き方とはどのようなものになっていくでしょうか?

「ニューノーマル」という言葉はコロナ時代にできた新しい言葉ではなく、過去、世界的な金融危機となったリーマンショックの際に「一連の出来事の以前の状態には戻れず、新しい状態がノーマルになる」というような意味合いの言葉として用いられたようです。つまり、ニューノーマルな働き方というのは、以前の働き方には戻れないという意味合いを含んでいます。新時代の新しい働き方として定着し当たり前となったものは複数あります。これらの働き方は今後も、各企業が取り入れていくものと思われます。
【ポイント】
✅ テレワークによるどこでも働けるという場所からの開放
✅ 在宅勤務による時間効率の向上
✅ 対面商談ではなくオンライン商談の活用
✅ ハンコ文化の廃止
✅ 紙文化のオンライン化

アフターコロナ後も、テレワークやリモートワーク、在宅勤務などの働き方を採用する企業は多いでしょう。完全なる在宅勤務の一本化でなくとも、出勤とテレワークを組み合わせたハイブリッド型ワークは今後も引き続き継続される確率が高いです。理由は、テレワークなどの在宅勤務は移動時間の短縮などの効果を感じる一方で、出勤しなければできない仕事や、出勤したほうが捗る業務があると回答するワーカー達もいたからです。
そもそもテレワークは「生産性向上の手段として効率的である」と言われ、一部の業種からは選択されることが多かったのですが、実際にコロナ禍となり長期間の在宅勤務によりテレワーク疲れともいえるデメリットも見られます。例えば、外出がないため運動不足により不健康になったとか、新入社員の研修が上手くいかないだとか、若手の従業員が孤独感を感じているだとか、企業にとっては予測できなかった問題点が露わになりました。
このような問題点を回避するためには、やはり出勤とテレワークを組み合わせる働き方が一番ベストなのだと思います。 【ポイント】
✅ 在宅勤務は移動時間短縮による時間効率が良い
✅ 出勤したほうが仕事が捗る場合もある
✅ 長期間の在宅勤務はワーカー達にとってデメリットが生じる場合がある
✅ 両者のメリットを得るために、在宅勤務と出勤を組み合わせて柔軟に勤務してもらう

コロナ禍になり、はじめてソーシャルディスタンスという言葉を耳にしました。ソーシャルディスタンスとは人と人との間に一定の距離を保つことですが、これにより今まで対面で行ってきたことが出来なくなりました。例えば、店舗などの対面販売はオンラインショップへ変わり、顧客先へ訪問していた商談や会議はオンラインミーティングへ変わりました。オンライン化は急速に浸透しました。オンラインでできるのはやはり便利なものです。業種業態にも関わりますが、今後も対面での業務は減りオンライン化で行う業務はますます増え続けるでしょう。以前の古い手法での仕事のやり方から脱し、オンライン化スキルを身に着けていく必要があります。

テレワーク時代のワークスペース、については『ワークスタイルに合ったレンタルオフィスの活用法1 ~テレワーク時代のワークスペース~』で詳しく説明をしていますのでご参照ください。

緊急事態宣言後のオフィスのあり方、また生産性が向上するオフィス環境について話してきました。長く続く在宅勤務により、生産性が向上した企業や部門もあれば、オフィスへ出社したほうが業務が捗るといった発見もあったと思います。ワーカー達のテレワーク疲れなどの問題が浮き彫りとなったケースもあったでしょう。今後のニューノーマルな働き方をどのように対処していくか、各企業が選択を迫られています。