会社(法人)に固定電話は必要?メリット・導入の流れ・番号取得方法も

2023年9月15日 2023年9月14日

長らくビジネスの常識とされてきた固定電話は、時代の変化とともにその存在価値も変わってきました。スマートフォンが社用電話として通用する現代、法人用の固定電話をわざわざ導入する意味はあるのでしょうか。

法人だからといって、固定電話の導入は必須ではありません。しかし固定電話の持つメリットは大きく、特に法人の場合は基本的に導入しておくことがおすすめです。 当記事では、固定電話を導入するメリットや一般的な手続きの流れ、導入時の注意点を解説します。固定電話の導入に疑問を持っている方や導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

会社の設立において、固定電話の導入は必須ではありません。そのため、固定電話導入に必要性を感じられない方も一定数いるでしょう。確かに、スマートフォンがあれば十分と思える場面も多いものの、固定電話の導入には数多くのメリットが存在するのも事実です。

ここでは、法人が固定電話を導入することで得られる主なメリットを、4つ紹介します。

固定電話を持つ法人は、社会的信用度が高まります。ビジネスの基盤は信用です。取引先や顧客にとって、固定電話番号を確認できる会社は、拠点を定めて長期的に事業を運営するつもりがあると判断でき、安心して取引を進められます。

また、銀行融資の際や法人カードの作成時にも、固定電話の存在は信用の証として評価されるケースが少なくありません。固定電話は企業としての信頼を築く、大切な要素と言えるでしょう。

法人用の固定電話導入により、仕事とプライベートの明確な線引きが可能です。個人用携帯電話を仕事にも利用すれば、多少の経費削減にはなるでしょう。しかし、休日や時間外にも業務関連の電話に対応する機会が増えるなど、仕事とプライベートの境が曖昧になりやすく、精神的な負担がかかります。

固定電話を導入し仕事専用の番号を設定すれば、ビジネスに関する要件と私生活に関する連絡の住み分けが容易です。また、通話料金を経費に計上する際の手間も省けます。

固定電話を導入しておけば、取引先からFAXの使用を指定された場合にも、やり取りがスムーズに進みます。ペーパーレスが推奨される近年でも、ビジネス現場ではFAXが必要となるケースが少なくありません。インターネット上でFAXを送れるサービスもありますが、ランニングコストが高めです。

固定電話であれば、電話機をFAX機能つきの機器に差し替えるだけで良く、安価に導入・利用できます。

銀行口座開設時や各種登記などの事務手続きには、電話番号の提供が不可欠です。登録した番号を変更した際は、再度手続きを行わなければなりません。

固定電話の番号はオフィスの移転以外での変更が少ないため、書類提出や手続きなど変更対応の手間が大きく省けます。ただし、手続きそのものは携帯電話の番号でも可能です。携帯電話の番号を長期間変えない方にとっては、さほど大きなメリットとは言えないでしょう。

オフィス契約時の注意点については『レンタルオフィス契約時に押さえるべき施設・設備のポイントについて紹介!』で詳しく説明をしていますのでご参照ください。

固定電話の契約・利用開始までの一般的な流れは、以下の通りです。

【STEP1】サービスを選択する
    電話会社や提供プランによって、通話料金や基本料金が異なります。複数の電話会社から見積もりを取り、長期的な利用を見据えて自社に最適なサービスを選びましょう。

【STEP2】申し込み
    固定電話番号では、希望する番号に空きがあれば下4桁の並びを指定可能です。会社名やサービスに関連する語呂合わせの番号は、ブランドイメージを高める効果があります。使いやすく、覚えやすい番号を選んでください。

【STEP3】機器の用意
    法人用固定電話を機能させるには、主装置と電話機本体が必須です。主装置は外線・内線通話・同時受発信機能など、ビジネスフォンの基本機能を果たします。電話機本体は、留守番電話機能や保留機能など、業務に合わせた機能を持つものを選びましょう。

【STEP4】事前調査・工事
    固定電話の導入には工事が必要です。オフィスの環境に合わせて工事内容を決め、数十分~1日程度かけて電話回線の引き込みや主装置の設置などの作業を行います。ほとんどの会社で立ち合いが必要なため、事前に担当者を決めておきましょう。

以上が、固定電話の導入までの基本的な手順です。オフィスの状態や回線の種類によっても工事の要不要や必要な内容は異なるため、詳細は契約する業者に確認しましょう。


固定電話の導入に当たっては、以下の2点に注意が必要です。

●初期費用が発生する

固定電話の導入には、主装置代や電話機の代金に加えて工事費がかかります。特に主装置は、新品で20万〜30万円と高価な機器が一般的です。社員が増えた場合、電話機の増設費もかかります。


●電話応対業務に携わる人材を確保しなければならない

各席に固定電話が設置されると、担当外の電話の対応や取り次ぎ業務の発生率が上がり、作業の中断や伝達ミスによる生産性の低下が起こりかねません。また、外出時やリモートワーク中は固定電話への応対が難しくなります。円滑な業務遂行や機会損失防止のため、優先的に電話の応対をする人材の確保が必須です。


固定電話番号を取得する方法は、時代とともに多様化してきました。古くからあるNTTの加入電話だけでなく、現在ではさまざまなサービスが提供されており、それぞれに必要な費用や特徴が異なります。

ここでは、代表的な4サービスの概要と、どのような法人に向いているのかを解説します。

NTT加入電話は、従来から家庭やオフィスなどでよく利用されている電話回線です。銅線を使用して音声通信を行うアナログ信号のシステムで、停電時でも利用できます。NTT東日本やNTT西日本への申し込みにより、利用可能です。電話加入権(施設設置負担金)を購入せず利用する場合、使用料金が割高になります。

【利用に向く法人の特徴】
    ✅インターネット環境がオフィスにない
    ✅災害時にも電話を利用したい
    ✅電話をあまり使用しない

IP電話は、インターネットのブロードバンド回線を使用して通話を行います。アナログ電話に比べて初期費用が低く、月々の料金も基本料の数百円+オプション料のみ、3分当たりの通話料は7~8円と比較的安価です。ただ、電話番号は050から始まる番号のみとなり、一部の緊急やフリーダイヤルへの通話制限も存在します。

【利用に向く法人の特徴】
    ✅頻繁に電話を利用する場面がある
    ✅050の電話番号で支障ない
    ✅緊急ダイヤルやフリーダイヤルを使用しない

光IP電話は、光ファイバー回線を使用した高品質な電話サービスです。NTTの「ひかり電話」をはじめ多くのプロバイダが提供しており、特に音声の品質が高いのが特長です。市外局番から始まる番号や緊急通報も利用できます。ただし、インターネットが使えなくなると、電話も使用できなくなる点と、基本料金が比較的高めである点に注意が必要です。

【利用に向く法人の特徴】
    ✅電話の利用頻度が高い
    ✅市外局番から始まる電話番号が望ましい

クラウドPBXは、ビジネスフォンの機能をインターネット上に構築し、社内外の通話をクラウド上から提供するサービスです。専用の電話回線は不要で、スマートフォンやタブレットを端末として活用できます。 また、リモートワーク中やオフィス移転時にも、外部からの発着信が可能です。サービス会社により料金形態や設定が大きく異なるため、プラン内容は入念に確認しましょう。

【利用に向く法人の特徴】
    ✅リモートワークを行っている
    ✅オフィスの移転が頻繫

固定電話は、顧客や取引先からの信頼度向上や各種手続きの簡略化など、法人にとって多くのメリットをもたらします。一方で、初期・維持費用といったコストや応対業務に携わる人材の確保など、デメリットが生じる点も否めません。

固定電話の導入を検討する際、レンタルオフィス・バーチャルオフィスサービスも一考に値します。オフィスを所有していない、あるいはオフィスに固定電話を引けない法人でも、自社回線の取得や指定した電話への通話転送が可能です。 レンタルオフィス・バーチャルオフィスの詳細については、ぜひ「クロスコープ」までお問い合わせください。