オフィス分散化とは?サテライトオフィスを効率的に活用したウィズコロナ時代のオフィスのあり方

2021年7月26日 2023年1月13日

オフィスの分散化(分散型オフィス)を推し進める企業が増えています。ウィズコロナ時代の新しいオフィスのあり方として注目を集めている「オフィス分散化」とは、どの様なメリットがあるのでしょうか?デメリットとその解消方法も含め、解説していきます。

業種によって可能かどうかが分かれるところではありますが、在宅勤務・リモートワーク・リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッド型ワークなどの勤務形態を行うことができる企業では、所属する従業員全員分のデスクは不要となり、オフィススペースの縮小がかなり進んでいます。オフィス賃料は固定経費の中でも比重が大きいので、使わないオフィス経費を削減することは、コスト軽減を図る上で最も効果的な方法の一つと思われます。これからも加速度的にリモートワーク化は浸透し、オフィス縮小化は進んでいくでしょう。オフィス縮小化に伴い、オフィスの分散化も注目されています。オフィス分散化とは、どのようなものでしょうか?

コロナ渦におけるオフィス利用のキーワードとして、「オフィス分散化」という言葉が非常に多く露出しました。オフィスの分散化(または分散型オフィス)とは、今までのように本社や所属する勤務地に全員集まって仕事を行う集約型オフィスとは異なり、在宅勤務や、サテライトオフィスの利用など、多様な場所に分かれて仕事をすることができる形態のオフィスのことを言います。

✅ 集約型オフィスとは、従来のような本社など1か所に従業員らが集まるオフィス形態のこと
✅ 分散型オフィスとは、在宅勤務やサテライトオフィスなど複数のワークスペースに従業員が散らばっているオフィス形態のこと

オフィスの分散化は、例えば自宅での勤務、自宅近くのワークスペースを利用することが出来るので、結果的に時間・場所など個々の従業員にとってメリットのある柔軟な働き方が出来るようになります。
従業員の満足度やパフォーマンス向上にもつながるだけでなく、都市郊外や地方にいる有能な人材確保にもつながる可能性も十分あります。また、BCP対策(事業継続計画)の側面もあり、最近ではコロナ禍の緊急事態宣言が発令されたときに、オフィスが分散化されていたおかげでテレワークがスムーズに行えたという事実もあり、注目されているのです。

自社で幾つかの小規模なサテライトオフィスを立ち上げても良いでしょう。サテライトオフィスとは、本社などの自社オフィスから離れた場所にある小規模なオフィスのことで、働きやすさを重視したオフィスのことです。従業員の通勤しやすい場所を選定し、賃貸契約をし、オフィス環境を整えることは費用も時間もかかります。
しかし外部運営のサテライトオフィスを活用すれば、コストもそこそこで直ぐに使えるオフィス環境が整っていますので、おすすめです。

サテライトオフィスについては「サテライトオフィスとは?企業導入時の注意点やメリットについて解説 ~働き方とワークスペースのトレンド~」で詳しく説明をしていますのでご参照ください。

従業員が利用するサテライトオフィスも必ずしも全員分のデスクを用意する必要はありません。今やオフィスは入れ替わり使うものです。1日に出勤する人数のみのデスクを用意し、そのワークスペース(サテライトオフィス型の個室など)を確保すれば、効率的にオフィスを活用できるでしょう。
今まで集約型オフィスで100名が集まる本社に毎日通い、全員が同じ時間・同じ場所で勤務していましたが、在宅勤務やリモートワークを推進し、A地域から通う従業員が30名存在し、A地域内のサテライトオフィスを利用することになりました。A地域のサテライトオフィスは、多様な人数で利用出来る個室がありましたが、この企業は「30名用の個室」ではなく「10名用の個室」を選び利用することにしました。
なぜ30名用の個室を選ばなかったというと、A地域の社員30人全員がオフィスを利用することなく、週の数日に分散して出社し、多くても1日で10名程度が利用すればスペースとして足りていたからです。また、契約した個室以外にも会議室や個別ブースなど併設する共有施設がありましたので、自社専用で利用する個室としては「10名用の個室」で充分に足りました。このように1日の出社利用人数が使える「個室オフィス」を確保することによって、必要最低限のコストで足りる効率的なオフィス運用を行うことが出来ます。

【メリット】
✅ オフィス縮小化による賃料のコスト削減が可能
✅ 柔軟なワークスタイルが実現可能
サテライトオフィスの選び方については「サテライトオフィスの選び方について解説。企業と従業員がともに納得のいくワークスタイルを目指すには?」で詳しく説明をしていますのでご参照ください。
コミュニケーション不足により孤独感を感じることも

オフィス分散化に伴い社員同士で直接対面する機会が極端に少なくなり、コミュニケーション不足が懸念されています。また、うつ病の発生率も高くなったと言われています。確かに、リモートワークや在宅勤務普及により、一人や極少数人数での業務の進行は、上記のような弊害が生じる危険があります。完全リモートワーク体制にせずに、社内コミュニケーションがとれるような体制づくりが必要になります。最近では、実際の企業でも、リモートワークとのバランスを調整して、十分な社内コミュニケーションや連絡が取れるように出社日数を増加していっているそうです。

セキュリティや情報漏えいリスクの問題は?

次に、本社オフィスなどで管理していた情報や資料について、在宅勤務やサテライトオフィスを利用すると漏えいするのではないか、というセキュリティに関しての懸念があります。在宅勤務に関しては、VPN接続でのネット回線を利用したり、よりセキュリティの強い回線の利用・暗号化の強化などで、その懸念を解消する必要があります。サテライトオフィスに関しては、他社企業も共有で利用しますので、セキュリティの重視された個室の利用や、サテライトオフィスでのネット環境の確認、場合によっては自主回線の利用などで、セキュリティ強化を図る必要があります。

【デメリットとその対策】
✅ コミュニケーション不足に陥らないように、出社する勤務体系も残しておくこと
✅ セキュリティのかかる専用ワークスペースを確保し、リスクを回避すること
✅ インターネット環境においても、VPN回線を使う等対策をしておくこと

オフィス分散化は柔軟な働き方の実現が可能であることや、ウィズコロナ対策としても有効であることについて解説しました。長期間在宅勤務をし続けると、従業員のパフォーマンスやモチベーションの低下が心配です。またコミュニケーション不足により、チームワークの低下も懸念されています。こうしたことから、オフィスを分散化した上で従業員を入れ替わり出勤させるハイブリッド型ワークを取り入れるなど、新しいワークスタイルへの対応が求められています。