レンタルオフィスの契約形態|賃貸オフィスとの違い・契約の流れも

2024年7月29日

レンタルオフィスの利用を検討していて、「契約はどのように行うか」が気になる方は多いでしょう。 レンタルオフィスの契約形態は、一般的な賃貸オフィスとは異なります。レンタルオフィスを利用する際は、契約形態や契約の流れを理解しておくことが大切です。今回はレンタルオフィスの契約形態を、一般的な賃貸オフィスとの違いも交えつつ解説します。契約の流れも紹介するので、レンタルオフィスを検討中の方はぜひ参考にしてください。

レンタルオフィスの契約形態

一般的な賃貸オフィスを借りる際は、マンション・アパートといった居住用物件を借りる場合と同じく「不動産賃貸借契約」を締結します。
一方で、レンタルオフィスを借りる際は「サービス利用契約」または「施設利用契約」を結ぶことが基本です。 「サービス利用契約」や「施設利用契約」とは、オフィスとして利用できる物件を間借りして、契約期間が満了するときにそのまま返却するという契約形態です。契約にはオフィススペースだけでなく、受付サービスやインターネットなどの各種サービスも含まれていて、借主は各種サービスを利用できます。
レンタルオフィスは一般的な賃貸オフィスよりも物件を借りやすく、オフィス利用も柔軟に行える点が特徴です。



レンタルオフィスと賃貸オフィスの違い7項目!

レンタルオフィスと賃貸オフィスとでは、契約形態が異なる点により、借地借家法の適用や審査内容、利用スタイルといったさまざまなポイントでも違いが生じます。ここからは、レンタルオフィスと賃貸オフィスの違いとして7項目を挙げて、それぞれの項目でどのような違いがあるかを解説します。


借地借家法は、主に物件を借りた「借主」の権利を保護する法律です。借地借家法が適用される場合、借主が賃料を滞納しても、すぐ物件を追い出されることはありません。
不動産賃貸借契約を締結して物件を借りる賃貸オフィスは、基本的に借地借家法が適用されます。 対して、フロア内で仕切られたブースを借りるという形式のレンタルオフィスでは、借地借家法の適用対象とならないことがほとんどです。 しかし、借りるスペースの物理的形状によっては、レンタルオフィスであっても実質的に賃貸借契約に該当すると見なされて、借地借家法が適用されることもあります。たとえ不動産賃貸借契約以外の契約形態であっても、実質的には借地借家法が適用されるかどうかを確認しておくとよいでしょう。


賃貸オフィスは契約形態の性質上、契約前には複雑な入居審査をクリアする必要があります。 また、オフィススペースに十分な設備が揃っていないことがほとんどであるため、入居後には設備を購入・設置する必要があります。結果として、オフィスとして利用できるまでにはかなりの時間がかかるでしょう。
対して、レンタルオフィスは入居審査がシンプルで、早い場合には利用申請から入居までが数日で済むケースがあります。オフィス什器やインターネット、セキュリティなど必要な設備も整っているため、すぐにオフィスとして利用可能です。


賃貸オフィスの利用期間は、数年単位での年間契約になっていることが一般的です。年間契約は長期的な利用に沿った契約形態であり、中途解約を行うと違約金が発生するケースがあります。 対してレンタルオフィスでは、週単位の「ウィークリー契約」や月単位の「マンスリー契約」といった短期契約が可能です。賃貸オフィスよりも利用期間を柔軟に設定しやすく、ビジネスの必要性に合わせて短期的なオフィス利用ができます。 また一部のレンタルオフィスでは、「時間貸し」という単発スタイルでのオフィススペースの利用にも対応しています。


賃貸オフィスは初期費用として、敷金・礼金や仲介手数料・前共益費・火災保険料などがかかります。合計で家賃の約1年~1.5年分がかかると考えるとよいでしょう。
その他にもオフィス什器やOA機器を自前で用意する必要もあり、場合によっては内装工事も行うため、初期費用全体の負担は多額となります。一方、レンタルオフィスでは多額の敷金・礼金は必要ありません。敷金・礼金の目安は賃料の約2~3か月分であり、中には無料というケースもあります。
また、レンタルオフィスはオフィス什器やOA機器が最初から用意されていて、内装も整っているため、基本的に設備購入や工事の必要はありません。賃貸オフィスと比べて、借りるときの初期費用を大幅に抑えられます。


賃貸オフィスの月額費用は毎月の賃料が大部分を占めていて、その他に共益費・通信費・光熱費がかかります。賃料は建物の立地やスペースの広さに左右されるため一概には言えないものの、月額費用は安くても10万円以上はかかると考えたほうがよいでしょう。
一方、レンタルオフィスは賃料・通信費・光熱費とサービス料金が「月額利用料金」にひとまとめにされていて、利用区画やプランをもとに月額費用を算出する点が特徴です。
賃貸オフィスと同じ広さを借りる場合、レンタルオフィスでは月額費用がより高くなる傾向があります。しかし利用区画やプランの調整により、トータルでかかる費用を安く抑えることも可能です。


更新料とは、オフィスとして借りている物件の契約更新をする際にかかる費用です。契約更新を行うと契約期間が新しくなって、物件をより長い期間オフィスとして使い続けられます。 賃貸オフィスでは、契約更新をする際に更新料のかかるケースがほとんどです。更新料は賃料の約1か月分が相場となっています。 対してレンタルオフィスの場合、運営会社によっては更新料がかからない、かかっても少額で済むケースがほとんどです。更新料の額が安いサービスを選ぶと、オフィス利用による費用負担を抑えられるでしょう。


退去費用とは、契約を終了して借りていたオフィスを返却するときの原状回復にかかる費用です。退去費用として請求される費用項目は、基本的に利用開始時の契約内容に明記されています。
賃貸オフィスの退去費用では、費用項目としてクリーニング代・壁紙張り替え代・天井や床の修復代などが含まれます。物件の坪単価によって費用は変わるものの、約3万~10万円はかかると考えましょう。
一方でレンタルオフィスの場合は、退去費用としてクリーニング代のみを請求するケースが一般的です。賃貸オフィスよりも退去費用が安く済み、オフィススペースからの退去をスムーズに行えます。


【6STEP】レンタルオフィスを契約するまでの主な流れ

次に、レンタルオフィスの候補先探しから契約するまでの主な流れを、6つのステップに分けて解説します。 初めてオフィスを借りる方はもちろん、賃貸オフィスを利用した経験がある方もレンタルオフィスでは手順にいくつかの違いがあるため、流れを把握しましょう。


最初に、利用するレンタルオフィスの候補を探します。 レンタルオフィスの運営は、レンタルオフィス運営会社が行っています。運営会社のホームページを閲覧するなどして、エリア内で候補となる物件を探しましょう。
オフィススペースの内装・設備やサービス、プランなどは運営会社によって違いがあります。レンタルオフィス探しの段階では候補を1社に絞り込まず、気になる運営会社をいくつか候補に挙げることがおすすめです。

気になる運営会社がいくつか見つかったら、運営会社にメールや電話で問い合わせをします。空室状況を確認した上で、内覧の予約を行います。 内覧当日はオフィスの内装・設備だけでなく、建物の外観や立地、アクセス性のよさもチェックすることが大切です。気になる点があればメモを取っておき、担当者に尋ねましょう。 各社のレンタルオフィスを内覧した後は、「自社の利用目的に合っているか」「働きやすい環境か」などの点で比較して、候補を1社に絞り込みます。


レンタルオフィスの運営会社と契約内容や条件の確認を行います。希望するオフィススペース・契約期間・利用サービスなどを伝えて、見積りを取りましょう。 見積りにはレンタルオフィスの初期費用や月額費用、利用サービスによる追加費用の有無などが記載されています。見積りを詳細に確認して、問題がないかをよく確認してください。
不明点がある場合は担当者に尋ねて、納得のいく回答を得られてから次のステップに移るかを検討します。


入居審査・契約で必要となる各種書類を準備し、運営会社に提出します。 必要書類は契約者が個人か、法人かによって異なります。契約者が個人の場合の必要書類は、下記の通りです。

契約者が個人の場合
●身分証明書の写し(顔写真付き)
●住民票の写し
●印鑑証明書原本
●事業内容が分かる書類
●開業届の写し

契約者が法人である場合は、上記に加えて 「法人の印鑑証明書原本」「定款」と、開業届の写しの代わりに「登記簿謄本もしくは履歴事項全部証明」が必要です。必要書類について疑問がある場合は、運営会社の担当者に尋ねるとよいでしょう。


レンタルオフィスでは、契約の一環として入居審査が行われます。 入居審査は、提出書類をもとに運営会社が契約するかどうかを決めるための審査であり、具体的な審査基準は明らかにされません。審査期間は通常、数日~数週間程度です。
入居審査で問題がなかった場合は本契約となり、契約金の支払いに進みます。提示された契約金を指定の方法で支払えば、レンタルオフィスの利用契約は完了です。


運営会社との契約が完了したら、いよいよレンタルオフィスの利用開始です。 利用開始の際には現地で鍵の引き渡しが行われて、オフィス機能や利用サービスの最終確認としてオリエンテーションも実施されます。利用範囲や設備の使い方が分からないときは、オリエンテーションのタイミングで担当者に尋ねましょう。 また、前オフィスがある場合は、前オフィスから新オフィスへの移転作業が必要です。利用開始の数日前から前オフィスの引越し準備を進めておくと、スムーズなオフィス移転が行えます。


オフィス環境の改善について知りたい方は、『オフィス環境改善の重要性|改善すべきオフィスの特徴とアイデアも』をご参照ください。


レンタルオフィスが向いているケース

レンタルオフィスが向いているのは、下記のようなケースです。

●起業したばかりでオフィスにかかる費用を抑えたい

レンタルオフィスは初期費用が抑えられるため、起業したばかりで資金に余裕がないケースに向いています。駅近などの好立地な物件でも比較的安価な初期費用で入居可能です。オフィスにかかる費用を抑えることで、ビジネスにより多くの資金を充てられるようになり、起業の成功につなげられます。

●ビジネスに必要な設備が揃っているオフィスを借りたい

レンタルオフィスは最初から各種設備が揃っていて、基本的に設備の購入・設置をする必要がありません。入居後にすぐ仕事が始められる環境であり、ビジネスを素早く展開できます。

●オフィススペースだけでなく、付随サービスも利用したい

レンタルオフィスにはオフィススペースのほかに、受付サービスや秘書代行、カフェ併設などのサービスが付随するところもあります。快適に仕事ができる付随サービスも利用したい方にレンタルオフィスは向いています。

●事業所以外にも仕事ができる環境を用意したい

すでに事業所を持っている方の中には、「事業所とは別の場所でスタッフが作業できるオフィスを用意したい」と考えるケースもあるでしょう。
レンタルオフィスの中には、必要最低限の広さに留められたオフィスや、共通の空間を利用するコワーキングスペースを用意しているところもあります。事業所以外にも仕事ができる環境を比較的安価に用意したい方におすすめです。


下記のようなケースでは、レンタルオフィスではなく賃貸オフィスが向いています。

●起業時の社会的信用を高めたい

賃貸オフィスを利用する際は複雑な入居審査があり、賃貸オフィスに入居していると審査に通過したことを対外的に示せます。資金調達先である金融機関や、ビジネス相手の取引先からの社会的信用を高めたいケースでは、賃貸オフィスが向いているでしょう。

●オフィスのレイアウトを自分たちで決めたい

賃貸オフィスは、入居時にオフィス什器の購入・設置や内装工事を行う必要があります。入居時に手間がかかるデメリットはあるものの、反面でオフィスのレイアウトを自分たちで決められる点はメリットです。 事業内容に合った内装や、業務で使い勝手のいいオフィスレイアウトを作ることができ、オフィスの自由度が高いと言えます。


レンタルオフィスの契約形態は「サービス利用契約」または「施設利用契約」です。
賃貸オフィスと比較して、レンタルオフィスにはすぐ利用しやすい、初期投資や更新料・退去費用が安いというメリットがあります。レンタルオフィスが気になる方は、紹介した契約の流れや向いているケースを参考に、自社に合っているかを検討しましょう。

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