SOHOとは?オフィスとの違いやメリット・デメリットを徹底解説!

2023年6月20日

近年、働き方の多様化が進む中で、自宅とオフィスを一体化したSOHO物件の注目度が高まっています。SOHO物件に興味がある方の中には、自分にはSOHO物件が適しているのか、それとも他の選択肢を考えるべきなのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。

当記事では、SOHO物件の概要と賃貸オフィスや賃貸物件との違い、利用するメリット・デメリットを解説します。自分のライフスタイルや業務内容に最適で快適な働き方を探している方は、ぜひ参考にしてください。


SOHOとは、小規模オフィスまたは自宅を事業の拠点として使用する形態を指す言葉です。

「Small Office Home Office」の頭文字を取った言葉であり、小規模ビジネスやフリーランスなど自由な働き方を望む人々にとって、新たな選択肢の1つとして人気が高まっています。

SOHOを具現化する「SOHO物件」は、生活空間とオフィス空間が一体となった住宅型の物件であり、一般的な賃貸オフィスや賃貸物件とは異なる特性を持っています。

SOHO物件は、主に自宅とオフィスを兼用したいと考える個人事業主やフリーランスにとって、適した物件と言えます。対して、賃貸オフィスはビジネス向けのスペース利用、賃貸物件は生活空間としての使用が主な目的です。

SOHO物件・賃貸オフィス・賃貸物件の大まかな差は、下表の通りとなります。

SOHO物件 賃貸オフィス 賃貸物件
契約形態 住宅・事業両用の契約 事業専用の契約 住宅専用の契約
看板・表札 一部制限あり 自由(物件や規約による) 制限あり
法人登記 可能(物件や規約による) 可能 不可能
人の出入り 商談等での出入り可(規約による) 商談等での出入り自由 商談等での出入り制限あり
家賃への税金 開業届を出すと経費控除可 経費控除可 開業届を出せば一部経費控除可
宿泊・居住 可能 原則不可能 可能

各物件の利用シーンや要件に応じて、適切に選ぶことが重要です。

尚、物件やその管理者の規約によっては、上記の表の一部が異なる場合もあります。条件の詳細は、必ず物件ごとに確認してください。


SOHO物件の利用には、多くの魅力的なメリットが存在します。自宅と職場が一体化することで、日々の生活と仕事のコントロールがしやすくなったり、さまざまなコストを削減できたりといった恩恵が受けられるでしょう。

ここでは、 SOHO物件を利用する主なメリットを3つ解説します。

SOHO物件を利用するメリットの1つは、通勤が不要になる点です。自宅と職場が同じ場所にあるため、わざわざ通勤時間を設ける必要がありません。 通勤にかかるストレスが減り、その分の時間を他の有意義な活動に充てられるのは大きな魅力です。平均的な通勤時間が1日1時間で月22日働く場合と、1か月で約22時間もの時間が節約できます。

それだけの時間があれば、仕事の効率を上げるための学習をしたり、自己啓発に投資したりできるでしょう。また、趣味や家族との時間、健康管理など、仕事以外に日常生活を充実させる時間を確保することもできます。さらに、月に1万円の通勤費がかかっていた場合、年間で12万円もの交通費が削減できる点も魅力的です。

SOHO物件の利点の1つとして、賃貸オフィスに比べて初期段階での経済的負担を軽減できることが挙げられます。賃貸オフィスの場合、家賃・敷金・礼金以外にも保証金(賃料の半年~10か月分程度が一般的)やオフィス設備の導入費、移転費用などさまざまな初期費用が必要です。

対してSOHO物件は、生活空間と仕事場が一体となっているため、オフィス専用の設備や家具の購入費用を大幅に節約できます。また、賃貸オフィスと比べて賃料が安めで、保証金はなく敷金・礼金(賃料の1~2か月分程度が一般的)のみで済むケースが大半です。さらに、持ち家や今借りている家がそのままオフィスとして利用できる場合、移転費用も発生しません。

SOHO物件を利用すると、自由な時間管理が可能となることもメリットと言えます。賃貸オフィスでは開館時間が決まっており、夜中や土日祝日は出入りできないケースも珍しくありません。一方、SOHO物件で働く場合は、そのような時間制約が大幅に緩和されます。

また、リモートワークなどとは異なり、勤務時間の自由な設定が可能です。選ぶ仕事にもよりますが、ある程度自分の生活スタイルに合わせた仕事の進め方ができるようになります。

例えば、朝型の人は早朝に一仕事を終わらせたり、夜型の人は深夜に仕事をしたりすることも可能です。また、急な用事が入った際も、スケジュールの柔軟な調整が容易となります。家庭の事情で働ける時間に制限があっても、仕事と両立しやすくなるでしょう。

SOHO物件の利用によって多くのメリットが得られる反面、デメリットの存在も忘れてはなりません。SOHO物件は、その物件の特性から問題なく利用できる業種・業務が限られたり、仕事とプライベートの切り替えがしにくかったりするためです。

ここでは、SOHO物件を選ぶデメリットを2つ解説します。

SOHO物件を利用する上でのデメリットの1つとして、適した業種や業務が限定的であるという点が挙げられます。SOHO物件は住宅としての利用が主であるため、騒音や振動、悪臭など、近隣に迷惑をかける可能性のある業種・業務は制限されるケースが大半です。

向いている業種 ● IT関連業種(プログラミング・デザインなど)
● 翻訳・ライティング
● コンサルティング
向いていない業種 ● 製造業
● 飲食業
● 音楽スタジオ

IT関連業種や翻訳・ライティング、コンサルティングなど、パソコン1台で仕事が完結し、騒音などの問題が少ない業種がSOHO物件には向いています。一方で、製造業や飲食業、音楽スタジオなどは、物流や設備、騒音など近隣への影響が大きいため、SOHO物件には向いていません。

SOHO物件を利用する際の課題として、仕事とプライベートの切り替えが難しくなる点が挙げられるでしょう。例えば、以下のような問題が起こり得ます。

● 通勤に使っていた時間を仕事に充てることで、オーバーワークになりやすい
● 家事やプライベートの連絡などにより、仕事の中断や乱れが生じやすい
● 仕事の時間とプライベートの時間の明確な区別がつけにくい
● 仕事のストレスが家庭生活に影響を与えたり、反対に家庭の問題が仕事に悪影響を及ぼしたりする

これらを解決するには、自分なりのルールを設けて、仕事時間と休息時間を明確に分けることが重要です。また、作業スペースをしっかりと区分けし、家族との共有スペースと仕事場を明確に分けることも有効な手段です。仕事とプライベートのメリハリをつける自己管理能力の高さは、SOHO物件を上手に利用するために必須と言えます。

SOHO物件の利用にはメリットが多い一方で、デメリットも確かに存在します。自己管理能力が求められることや、業種が限られてしまうことなど、SOHO物件で働くことに不安を感じる方もいるでしょう。そのような方におすすめなのが「レンタルオフィス」です。

レンタルオフィスは、オフィススペースを借りる形式の物件であり、下記のようにSOHO物件のデメリットを補う特徴をもっています。

● 業種に制限が少ない
● プライベート空間と仕事場を切り分けられる
● 高品質のオフィス設備がそろっている
● 必要に応じてオフィスサイズを選択できる

レンタルオフィスは、「自由に働きたいけど、SOHO物件の制約に不安がある」という方、またはSOHO物件での働き方に合わないと感じた方にぴったりの選択肢と言えます。自分のライフスタイルやビジネススタイルに最適なオフィス選びを行い、より効率的な働き方を実現しましょう。

まとめ

通勤が不要で、初期費用を抑えることが可能なSOHO物件には、時間の自由度が高いという大きなメリットがあります。しかしその一方で、自己管理能力が求められ、特定の業種・業務に限られるという制約もあり、不便さを感じるケースも珍しくありません。

SOHO物件に不安を抱く方や、より広範な業種で活動したい方には、レンタルオフィスという選択肢もおすすめです。働き方は1つではありません。自身のライフスタイルや業務内容、管理能力と照らし合わせながら、最適な選択をしてください。