セットアップオフィスの利用
2023年3月10日 2023年5月19日
4月は、新入社員がメンバーに加わったり、採用や新年度のスタートなど、何かと「スタート」となる時期ですね。4月から新たなスタートを切るべくオフィスを探す企業が多いので、新オフィスを検討する時期として忙しい日々が3月末まで続いています。
オフィスを移転する理由としては、人数増加により手狭になった、機能的な使い勝手のよいオフィスに変更したい、通勤の際のアクセスのよさ又はお取引先の近くにオフィスの場所を移転したい、など様々な理由があると思います。新天地のオフィスに大きな期待が膨らむ一方で、特にコスト面が大きな負担となります。
コスト面の負担を解決してくれるオフィス選びとして最近注目を浴びているのが、居抜きオフィスやセットアップオフィスです。リモートワークやテレワークを多くの企業が取り入れた結果、実際にオフィスに出社して業務を行うことが激減してしまい、オフィスを手放す企業が増加しました。オフィス規模も多岐に亘り、不動産会社では専用のサイトがいくつも開設されています。
オフィス機能に優れた施設が常備してあり、デザイン性もあって、利用もほとんどされていない「掘り出し物」の居抜きオフィスもあるようですので、不動産・仲介会社に、立地や利用人数、広さ、希望金額などの条件を伝えてピックアップしてもらうとよいと思います。
今回のコラムでは、セットアップオフィス・居抜きオフィスのメリット、利用する時に気を付けるべきこと、セットアップオフィスと居抜きオフィスとの違い、レンタルオフィスでのセットアップオフィスについて、お話したいと思います。
目次(1)セットアップオフィス・居抜きオフィスのメリット
(2)セットアップオフィスと居抜きオフィスとの違い
(3)利用時に気を付けるべきこと
(4)レンタルオフィスでのセットアップオフィス
(1)セットアップオフィス・居抜きオフィスのメリット
セットアップオフィスとは、事前に貸主側で内装工事を行い、受付、会議室などのオフィス機能が整っている状態で貸し出ししているオフィスのことをいいます。机・椅子等も全て揃えて利用出来る場合は、特に「フルセットアップオフィス」などといわれることもあります。
これに対して、
居抜きオフィスとは、前利用者がオフィスの内装・設備・什器・備品等を残したまま退去し、 前利用者の設置した会議室、内装、照明・コンセントなどの設備、什器などを承継して利用できるオフィスのことをいいます。
セットアップオフィスも、居抜きオフィスも、いずれも前利用者が使用していた内装、オフィス設備をそのまま利用することができますので、初期費用と時間を大幅に削減できることにメリットがあります。
通常の賃貸オフィスでは、「更地」の状態から、内装業者や電気工事・ネットインフラの業者を選定し、レイアウトを確定し、工事し、完成後に移転、晴れて利用開始となります。ケースバイケースですが、2~3ヶ月以上、時間がかかってしまいます。まっさらな状態からオフィスとしての機能を持たせるには金額もかなりかかりますし、このように利用開始までに時間がかかってしまいます。
セットアップオフィスや居抜きオフィスは、既に内装造作がありますので、オフィスの大幅なレイアウトなどは変更することが出来ませんが、初期の工事費用、設備費用を抑えることができ、業者選定も含む工事期間の時間の短縮が出来ることに大きなメリットがあるといえます。
セットアップオフィス・居抜きオフィスのメリット・利用開始時の内装、造作不要=初期費用を抑えることが出来る
・すぐに利用開始が可能で時間短縮が出来る
(2)セットアップオフィスと居抜きオフィスとの違い
では、セットアップオフィスと居抜きオフィスとの違いは、どこにあるのでしょうか。
セットアップオフィスでは、貸主側で内装工事、造作工事(リニューアル工事を含む)を行うため、新しくきれいな状態のものが多く存在します。また、什器等も利用者の意見で揃えることが出来る物件も多いため、利用希望者の意見が反映できる部分も多く存在します。
一方、居抜きオフィスでは、前利用者の状態を「そのまま」引き継ぐため、前利用者の「個性」「こだわり」のある内装、什器などを許容しなければなりません。また、セットアップオフィスは、貸主側の内装工事があるため、その費用は賃料に反映されていることもあるので、セットアップオフィスよりも賃料が安い場合が多いといわれています。
(3)利用時に気を付けるべきこと
居抜きオフィスの方で、特に注意すべきことは、前利用者の状態を「そのまま」引き継ぐため、内装や設備が利用に耐えうるものか、故障などはないか、状態を確認し、性質・性能を充たしているか、十分に確認する必要があります。せっかくコスト削減のために居抜きオフィスを選んだのに、高額な修理費用がかかってしまっては本末転倒になってしまいますね。
セットアップオフィス、居抜きオフィス共に共通する注意点は、どのような状態で退去するか、「原状回復の条件について」確認する必要があります。居抜きオフィスでは、前利用者の原状回復義務を引き継ぐ場合が多いようです。セットアップオフィスでは、利用開始前に締結する契約に従いますので、契約内容をよく確認する必要があります。
(4)レンタルオフィスでのセットアップオフィス
通常のレンタルオフィスでは、貸出する入居者用の個室のサイズ・価格が決まっており、利用希望者は自己の希望するサイズ・価格に適するオフィスを選ぶことが通常です。
最近では、利用希望者の要望に寄り添ったセットアップオフィスタイプの区画も用意されているレンタルオフィスも存在しています。①空間だけ用意して、什器の選定、内装などを利用者が自由にカスタマイズできるタイプ、②受付・会議室など既に共有の施設の用意があり、利用する個室をセットアップとして貸し出しているタイプ、③フロアまたは一区画を広く貸し出し、専用の入り口(受付)も用意できるタイプなど様々なタイプが存在します。
レンタルオフィスならではのセットアップオフィスの利点があります。
リモートワーク・テレワークの推進により、利用頻度や利用人数も頻繁に変わってきている現在では、人数の増減 に対応しなければなりません。レンタルオフィスでは、複数のバリエーションのある部屋を用意していますので、人数の増加または減少に柔軟に対応できます。これにより、住所を変更することなく、同じレンタルオフィス内で「部屋を変更する」ことによって余計なコスト負担を避けることが出来ます。
もう一つは、従来からある複合機などの設備に加え、最新のオフィス設備が備わっていますので、例えば、web会議室などはレンタルオフィスでは標準のサービス施設として用意されています。
オフィス移転の際は、是非、レンタルオフィスでの「セットアップオフィス」の利用も考えてみてはいかがでしょうか。