レンタルオフィス利用料は経費計上できる?勘定科目の選び方も紹介

2023年3月9日 2023年4月7日

貸事務所などを利用して事業を興した場合、その賃料は「地代家賃」として経費申告することが可能です。 ではレンタルオフィスを利用した場合、同じようにその費用を経費計上することはできるのでしょうか? 今回は、レンタルオフィスの利用料の経費計上の可否や、勘定科目の選び方、経費計上する際の注意点について解説します。

レンタルオフィスの利用料を経費として計上できるかどうかは、オフィスの用途によって異なります。

レンタルオフィスを事業に利用している場合は、その利用料を経費として計上することが可能です。 たとえば、レンタルオフィスを事務所として借りて業務を行ったり、レンタルオフィス内の会議室で事業に関連したディスカッションを開く場合などです。レンタルオフィスを事務所としている場合、自宅からオフィスまでの交通費も交通費として経費に算入することができます。また、事務所は別に構えていても、テレワークやリモートワークとしてレンタルオフィスで業務を行った場合は、利用料を経費として計上できます。 どんな形であれ、レンタルオフィスを業務として利用していれば、賃料を経費として計上し、申告することが可能です。

そもそも経費とは、事業所得を得るために使用するお金のことを指します。 そのため、事業に関係のない用事でレンタルオフィスを利用した場合、その費用を経費として計上することはできません。 たとえばレンタルオフィスを私用の打ち合わせで利用したり、趣味で行っている動画編集の作業に使ったりした場合の賃料は経費として認められません。
確定申告では課税所得を求める際、事業所得から経費を差し引いて計算します。所得税は事業所得に一定の税率を乗じて求めますので、経費が多ければ多いほど節税になりますが、本来なら経費にならない私的利用のレンタルオフィス利用料金を計上することは脱税行為に該当します。所得税法第238条第1項および法人税法第159条第1項では、偽りその他不正の行為によって所得税を免れたり、還付を受けたりした場合は十年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処すると定めています。[注1] 知らずに経費計上してしまった場合でも、申告漏れがあったとみなされ、過少申告加算税を支払わなければならないので要注意です。
[注1]e-Gov法令検索「所得税法」
[注1]e-Gov法令検索「法人税法」

事業主は、確定申告書およびステークホルダーに提示する財務諸表を作成するために、業務で発生した取引を分類して記録する「仕訳」という業務を行っています。この分類に使われるのが「勘定科目」で、収益・費用・資産・負債・純資産の5つに区分されます。レンタルオフィスの利用料は「費用」の項目に該当しますが、費用の中にもさらに複数の勘定科目があり、取引の内容に応じて分類する必要があります。レンタルオフィス利用料の勘定科目は、利用した時の用途や支払った料金の内容によって異なりますので、仕訳する際は注意すべきです。 ここではレンタルオフィス関連の費用を経費計上する際の主な勘定科目をケース別に紹介します。

毎月支払うレンタルオフィス利用料の勘定科目は、利用したオフィスのタイプによって「地代家賃」と「貸借料」の2つに分かれます。地代家賃とは土地・建物を借りる際に支払う賃料のことを指します。
一方、貸借料とは、土地や建物、機械などを借りる際に支払う費用を意味します。 意味が似ているので混同されがちですが、「地代家賃」と「貸借料」は土地・建物を借りるにあたって土地・建物賃貸借契約を締結しているかどうかが分類のポイントになります。個室タイプの場合、賃料を支払うことによって建物を利用する権利を得る建物賃貸借契約を締結するのが一般的ですので、地代家賃に分類されます。 一方、オープンスペースの一画を借りて業務を行う場合は土地・建物賃貸借契約は結ばず、利用契約のみを交わすのが一般的ですので、貸借料に分類されます。

レンタルオフィスを借りる際に支払う入会費は「諸会費」に分類されます。 諸会費は原則として非課税区分となりますが、業務に使わなければ発生しない支出とみなされた場合は課税対象となります。 一方の事務手数料は、会社を経営する上で発生する手数料などを区分する「支払手数料」に該当します。

貸し会議室の利用料は、スペースを利用した目的によって区分されます。 クライアントや顧客、あるいは社員との打ち合わせに利用した場合は「会議費」、社員研修のために利用した場合は「研修費」として分類します。

レンタルオフィスの多くはコピー機や複合機を設置しており、料金を支払うことで自由に利用できます。 コピー機の利用料は消耗品費の中でも、事務関係の備品を管理するために用いる「事務用品費」に区分されます。

レンタルオフィス利用料を経費として計上する際に注意したいポイントを3つご紹介します。

前項でレンタルオフィス利用料を経費計上する際の主な勘定科目をご紹介しましたが、実のところ、勘定科目の選び方に関する絶対的なルールというものは存在しません。実際、レンタルオフィス利用料を地代家賃ではなく貸借料として計上したり、コピー機の利用料を消耗品費としてまとめて計上するケースもあります。そもそも経費における勘定科目は、いつ・何に・どのくらいの金額を使ったのかをわかりやすく整理するのが主な目的となります。後から帳簿を見返した際、取引内容が明白であれば、勘定科目選びで過度に神経質になる必要はありません。ただし、一定のルールのもとに仕訳を行わないと、帳簿を見返した時に混乱する原因となります。たとえば同じ用途で使用したオープンスペースの勘定科目を、先月は「貸借料」としたのに、今月は「地代家賃」として計上するなど、分類に揺れが生じるのはNGです。 表記にブレがあると税務調査で指摘される可能性もありますので、基本的には同じ勘定科目を使用しましょう。

事業主は、帳簿と取引に関して作成・受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(白色申告者は5年間)保存する義務があります。[注2] 仕訳を終えた後も、レンタルオフィスを利用した際に発行されたレシートや領収書は捨てずに保管しておきましょう。
[注2]国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
[注2]国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

確定申告では、事業所得から経費を差し引いて課税所得を計算するので、できるだけ多くの経費を計上した方が節税になります。ただし、事業と関係のない費用を計上して所得税を減らすのは脱税行為にあたるので、レンタルオフィスの利用料金を仕訳する際は、事業に関連した用途だったかどうかをしっかり確認してから経費計上するようにしましょう。

レンタルオフィスを事業目的で利用した場合は、その料金を事業経費として計上できます。 経費計上する際は、支払った金額の内容やオフィスの用途に応じた勘定科目に仕訳しましょう。 なお、私的利用した場合のレンタルオフィス利用料金は経費として計上できないので注意が必要です。

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