オフィス縮小によるメリット・デメリット|失敗しないための方法も

2023年7月13日


近年、オフィス規模の見直しを検討する企業が増えています。テレワークを導入していて、オフィスの縮小を考えている企業は多いのではないでしょうか。オフィス縮小はコロナ以降のニューノーマルな働き方にも合っており、さまざまなメリットがあります。一方でデメリットもあり、縮小した場合の課題解決も図らなければなりません。

今回はオフィスを縮小する流れが広まっている背景から、オフィス縮小のメリット・デメリット、失敗しないための方法までを解説します。



オフィスの縮小を検討することは、近年の企業経営における主流な動向となっています。

参考として、株式会社ザイマックス不動産総合研究所が公表した調査結果を紹介します。


【コロナ禍収束後の面積の意向(2022年1月調査)】

拡張したい 6.00%
縮小したい 19.50%
変更を検討していない 62.00%
分からない 12.40%

(出典:ザイマックス総研の研究調査「働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査

2022年1月」/https://soken.xymax.co.jp/2022/03/03/2203-greatertokyo_workstyle_survey_2201/)


オフィスの拡張を希望する企業が6.0%に対し、縮小を希望する企業は19.5%と上回っていました。コロナ禍収束後であっても、オフィスの縮小を検討する企業は一定数存在していることが分かります。

オフィス縮小が多くの企業で進められるようになった背景には、2019年に施行された「働き方改革法」と、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」が挙げられます。

企業は働き方改革によって、長時間労働の是正や多様な働き方の推進に意識を向ける必要性が生じました。特に多様な働き方の実現は、オフィス改革とセットで語られることが多く、企業にとってオフィスの在り方を見直す機会となっています。また、2020年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大では、外出自粛への対応としてテレワーク導入を進める企業が急増しました。

結果として、ワークスペースとしてのオフィスの稼働率は低下し、労働現場の実情に合わせてオフィスの縮小を検討する企業が増加しています。


オフィス縮小は単にオフィスの規模を小さくするだけではなく、社員のモチベーション向上や業績アップにつながるさまざまなメリットがあります。縮小すべきかどうかで悩んでいる方は、どのようなメリットがあるかを押さえておきましょう。

オフィスを縮小するメリットを3つ紹介します。

オフィス縮小をきっかけとして、サテライトオフィス・フリーアドレスの導入やテレワーク推進を行うことで、社員に新しい働き方を提供できます。育児や介護で忙しい方や、オフィスと自宅が遠く離れている方も、新しい働き方で勤務できるようになるでしょう。また、オフィス自体も縮小する際にレイアウト変更が必要となるため、オフィスで勤務する方の希望に合わせたレイアウト導入もできます。

結果として、社員の離職率低下が期待でき、優秀な人材の確保にもつながる点がメリットです。

広いフロア面積に対して稼働率が低いオフィスは、賃料や光熱費が無駄にかかってしまいます。基本的にフロア面積が小さくなれば賃料も安く抑えることができ、オフィスを縮小するとオフィス賃料を削減可能です。

また、縮小したオフィスでは、デスク・椅子といったオフィス家具やプリンタ・電話などの備品を設置をする数も少なくなります。将来的に備品を買い替える際のコストが抑えられる点もメリットです。削減できた経費をオフィス環境の整備や社員への手当支給といった形で還元すれば、社員のモチベーションアップも期待できます。

オフィス縮小を実施する過程では、従来のオフィスで存在していた無駄なスペースをなくすため、業務内容の見直しなどを行う必要があります。無駄なスペースをなくす取り組みの一例が、書類のペーパーレス化です。

従来は紙媒体で保管していた書類を、電子データとしてサーバーやクラウド上に保管することで、書類の保管場所を削減できます。電子データはパソコンからいつでも閲覧でき、データの整理や抽出も容易となって、以降の業務が効率的になるでしょう。

オフィス縮小によって業務の合理化が進み、業務効率化・生産性向上につながるメリットがあります。


オフィス縮小はメリットばかりではなく、いくつかのデメリットも存在します。デメリットも把握した上で、自社にとってメリットとデメリットのどちらが大きいかや、デメリットの対応策を考えましょう。

ここからは、オフィスを縮小する3つのデメリットを紹介します。

オフィスを縮小する際は、現在のオフィスから新しいオフィスに移転したり、備品などを撤去したりする必要があります。移転に伴う一時的なコストや手間が発生する点がデメリットです。

移転に伴うコストとしては、下記のような費用が挙げられます。

退去・縮小にかかる費用 入居にかかる費用
● 原状回復費用 ● 敷金や礼金などの契約費用
● 備品などの搬出費用 ● 内装工事費用
● 不用品の処理費用 など ● 搬入費用 など

また、オフィスの移転・縮小は、計画してすぐに実行できるとは限りません。

準備期間に余裕を持たせて、進行中の業務への影響が少ないタイミングで実行しましょう。

オフィスの縮小後は、新しいオフィス内で行える業務量は以前よりも少なくなります。一部の業務は在宅やサテライトオフィスなどで行ってもらう必要があり、オフィス外における環境整備を進めなければなりません。

オフィス外における環境整備としては、通信機器の配置やオフィス外にも対応した勤怠管理システムの整備、新しいセキュリティ対策の構築などが挙げられます。テレワークを行う社員向けのガイドライン整備も必要です。

縮小に合わせてテレワークを導入する企業にとっては、コストや手間のかかるオフィス外の環境整備がデメリットとなるでしょう。

オフィスを縮小した場合、オフィス勤務かオフィス外勤務かによって社員が二分されます。社員のワークスペースが分散されることで、社員同士が対面する機会が少なくなり、社内コミュニケーションが希薄化しやすくなる点がデメリットです。 社内コミュニケーションの希薄化は、チームワーク低下や情報の共有不足を招き、業務効率・生産性の低下につながるケースもあります。

オフィスを縮小する際は、社員同士のコミュニケーションを取りやすい体制の整備も同時に行いましょう。ビデオ通話やチャットなどを導入すると、オフィスの内外に分かれていてもリアルタイムに交流できます。

最後に、オフィス縮小を成功させるための3つのポイントを解説します。

●オフィス縮小の目的をあらかじめ明確にしておく

経費削減や多様な働き方の支援など、オフィス縮小の目的は企業によって異なります。オフィス縮小の目的をあらかじめ明確にしておき、目的達成ができる計画を立案しましょう。 目的が明確であれば、自社に合った移転先オフィスの候補を絞り込めます。社員に対しても目的や計画をきちんと説明することで賛同を得やすくなります。

●長期的な視点でオフィス縮小の必要性を検討する

オフィスを縮小すると、人員増加や大規模な設備導入が難しくなるケースがあります。自社の事業計画などに影響が出ないよう、長期的な視点でオフィス縮小の必要性を検討しましょう。

●移転後のワークスタイルについて検討する

オフィス縮小を成功させるためには、オフィス移転後のワークスタイルについて検討することも大切です。

例を挙げると、社員の誰がオフィス勤務を行い、誰がオフィス外で勤務するかといった人員配置を決める必要があります。オフィス外との連絡体制や勤怠管理、公平な人事評価の体制も整備しなければなりません。

3つのポイントを押さえることにより、オフィス縮小の具体的な計画が立てられ、準備から移転までをスムーズに進められるでしょう。

まとめ

働き方改革やテレワーク推進の流れにより、オフィス縮小を検討する企業は多くなっています。移転や環境整備に一時的なコスト・手間は発生するものの、新しい働き方の提供ができ、将来的なコスト削減や業務効率化にもつながる点がオフィス縮小のメリットです。

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