オフィス緑化のメリット5選|導入時におさえておくべきポイントも
2023年12月14日 2023年12月12日
オフィスの環境を整備するにあたり、オフィス内に観葉植物などの「緑(グリーン)」を取り入れることを検討している企業も多いでしょう。オフィス緑化にはさまざまなプラスの効果があると言われていますが、具体的にどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。
当記事では、オフィス緑化の概要やオフィスの緑化によって得られる5つのメリットについて解説します。オフィス緑化を導入する際のポイントも併せて確認し、職場環境の改善を図りましょう。
1. オフィス緑化(オフィスグリーン)とは?
オフィス緑化(オフィスグリーン)とは、従業員が働くデスク周辺や受付、会議室などのオフィス内に、観葉植物や花をはじめとするグリーンアイテムを取り入れる取り組みのことです。以前からオフィス内に植物を取り入れている企業は少なくありませんでしたが、最近は「働き方改革」の面からもオフィスの緑化が注目を集めるようになりました。 働き方改革の目的の1つは「労働生産性の向上による労働力不足の改善」です。植物には、ストレス軽減や緊張緩和の効果があるとされています。労働環境に植物を取り入れることで従業員のストレスが緩和すれば、労働生産性の向上にもつながるでしょう。 実際に、環境省の調査ではオフィス緑化により「モチベーション向上」「生産性・集中力の向上」「リラックス効果」といったプラスの効果を実感している方も多く見られました。オフィス緑化は、従業員が快適に業務を遂行するために非常に有効な施策と言えるでしょう。
(出典:農林水産省「花のチカラ 緑のチカラ」/https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/pdf/27_leaflet.pdf)(出典:環境省「オフィス緑化に関する優良事例調査 報告書/https://www.biodic.go.jp/biodiversity/private_participation/health/greenoffice_report.pdf)
2. オフィス緑化がもたらす5つのメリット
オフィス緑化にはさまざまな効果があり、結果として下記のような多くのメリットを会社全体にもたらすことが期待されます。
ここでは、上記の5つのメリットについて詳しく解説します。
2-1. ストレスの軽減
オフィスに植物を取り入れるメリットの1つとして、従業員のストレスを軽減する効果が期待できることが挙げられます。 東京理科大学の研究によると、植物が適切な場所に配置された生活環境では、脳内のα(アルファ)波が増加することが報告されています。α波は精神の安定性を示す脳波であり、自律神経の1つである副交感神経が優位に働く際に多く現れるものです。 α波が増幅し副交感神経が優位に働いている状態では、血圧の低下や筋肉の緊張緩和、心拍数の減少などが起こり、心身ともにリラックスした状態になります。オフィスに植物を取り入れることで従業員のストレスが緩和され、リラックスした状態で業務に取り組めるようになるでしょう。業務効率や生産性の向上も期待できます。
(出典:空気調和・衛生工学会論文集「観葉植物の生活環境に対する影響評価 : 環境デザインのための基礎的研究」/https://www.jstage.jst.go.jp/article/shase/26/80/26_KJ00006791690/_article/-char/ja/)2-2. 目の疲れの緩和
近年のIT機器の進化により、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどの機器を使用した業務(VDT作業)を行う機会も増加傾向にあります。しかし、VDT作業を長時間行う従業員の中には、慢性的な目の疲れを感じている方も少なくありません。 従業員の眼精疲労を緩和する方法の1つとして、オフィスに植物を置くことが挙げられます。愛媛大学が行った調査によると、VDT作業の途中や作業後に植物を見ることにより、目の疲れが緩和され、眼精疲労が回復することが報告されています。 目の疲れは、頭・首・肩のコリや全身の不調を引き起こしかねません。パソコン作業が多いオフィスにおいては、オフィスの緑化が重要な眼精疲労対策となるでしょう。
(出典:植物工業学会誌「観葉植物を見ることがVDT作業に伴う視覚疲労に及ぼす影響」/https://www.greenleafips.com/wp-content/uploads/2020/06/47_138.pdf)2-3. コミュニケーションの活性化
オフィス緑化によって従業員のストレスが軽減され、リラックスした状態で業務に取り組めるようになれば、オフィス全体が従業員にとって快適に過ごせる空間になります。従業員の緊張感が和らぎ、互いに声をかけやすい雰囲気になれば、従業員同士のコミュニケーションも活性化するでしょう。 従業員同士のコミュニケーションが盛んに行われるようになると、従業員間の関係性がより良好になることが期待できます。より密な連携も可能になるため、業務効率や生産性の向上、新たなイノベーションの創出にもつながるでしょう。
2-4. オフィス内の空気の浄化
多くの従業員が働くオフィスでは、十分な換気が行われていなければ、人の呼吸によって二酸化炭素濃度が高くなるおそれがあります。 室内の二酸化炭素濃度が高くなると、頭痛や不快感といったシックビルディング症候群の症状が現れたり、認識能力や集中力の低下が見られりする可能性もあるため注意が必要です。 植物は空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成の働きによって空気中に酸素を放出します。オフィス内に植物を置くことにより、室内の二酸化炭素濃度を適度に低下させてくれるでしょう。 また、植物は蒸散によって空気中に水蒸気を放出するため、適度な加湿効果も期待できます。
(出典:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準の検討について」/https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000771215.pdf)(出典:厚生労働科学研究成果データベース「第3章 シックハウス症候群」/https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2015/154061/201525012A/201525012A0007.pdf)
2-5. 生産性・創造性の向上
オフィスの緑化には、従業員の心身のストレス・疲れを軽減し、コミュニケーション面・衛生管理面でも快適なオフィスを実現する効果が期待できます。 リラックスした状態で快適に仕事ができる環境が整えば、従業員の幸福度や満足度が高まり、業務にも前向きに取り組めるようになるでしょう。生産性や業務効率の向上も期待できます。 また、社内コミュニケーションが活性化することにより、多様な意見・アイデアに触れる機会が増えると考えられます。従業員の創造性が向上し、新たなプロジェクトの創出にもつながるでしょう。
3. オフィス緑化を導入する際のポイント
オフィス緑化をうまく導入するためには、次の4つのポイントを押さえておくことが大切です。
ここでは、上記の4つのポイントについて詳しく解説します。
3-1. あらかじめ予算を決定しておく
植物の値段は、種類(品種)や大きさなどによって大きく異なります。植物本体だけでなく、鉢やプランター、肥料、栄養剤などの初期コストもかかることを押さえておきましょう。 また、オフィス緑化は初期コストだけでなく、その後の植物の維持管理にも費用がかかります。ランニングコストも踏まえた上で、オフィス緑化にかける予算を事前に決めておきましょう。
3-2. 導線を踏まえた配置にする
植物をオフィス内に配置する際には、仕事の邪魔にならないよう動線を考慮したレイアウトにすることが大切です。オフィスの床に植物を配置すると移動の妨げになる場合には、次のような方法で配置してみましょう。
- ✅棚やデスクの上に小さな植物を置く
- ✅天井から吊るす
- ✅壁に設置する
- ✅パーティションとして活用する
- ✅床に芝を敷く
植物のレイアウトに迷った場合には、オフィス緑化に詳しい専門家に相談することもおすすめです。自社に適したレイアウトを考え、従業員が快適に過ごせるオフィスを整備しましょう。
3-3. 手入れのしやすい植物を選ぶ
オフィス内の植物を美しい状態で維持するためには、定期的なメンテナンスが必要になります。特に専門の業者にメンテナンスを委託しない場合は、従業員の本来の業務を妨げないよう、社内で管理しやすい植物を選ぶことが大切です。
- ✅葉が落ちにくい
- ✅水やりの階数が少なくて済む
- ✅日陰でも育てやすい
- ✅成長が穏やかで大きくなりにくい
- ✅虫がつきにくい
これらの特徴を満たす植物には、「サンセベリア」「アロエ」「パキラ」「モンテスラ」などがあります。実物を確認した上で、自社の雰囲気に合ったものを選ぶようにしましょう。
3-3. 定期メンテナンスを徹底する
植物は生き物であるため、定期的なメンテナンスを怠ると弱ったり枯れたりする恐れがあります。オフィス内の植物が弱ってしまうと見た目も悪くなるため、オフィスのイメージが悪化しかねません。また、弱ってしまった植物を回復させるにはコストもかかります。
オフィス内に設置した植物には、定期的に水や栄養剤を適量与えるようにしましょう。葉についたホコリをふき取ったり、枯れ枝・枯れ葉や虫などを取り除いたりするなど、植物の生育を妨げるものを除去することも大切です。
オフィス緑化の維持管理担当者を明確に決め、定期的な手入れを徹底するようにしましょう。
4. まとめ
オフィス緑化には、ストレスの軽減や目の疲れの緩和、コミュニケーションの活性化などさまざまなメリットがあります。業務効率化や生産性・創造性の向上にもつながるため、積極的にオフィス内に植物を取り入れましょう。 オフィス緑化を導入する際には、初期コストとランニングコストがかかることを踏まえた上で予算を決定し、オフィス内での手入れが容易な植物を選ぶことが大切です。動線を考慮したレイアウトを心がけ、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。