クリエイティブオフィスとは?導入メリットと実現方法を徹底解説!
2023年11月20日 2023年11月19日
近年、従業員の創造的な活動・表現を企業が促す方法として「クリエイティブオフィス」が注目を集めています。クリエイティブオフィスは従業員が働きやすく、企業にとっても多くのメリットがあるオフィスのあり方です。
今回はクリエイティブオフィスの基礎知識・クリエイティブオフィス導入により促せる行動とメリット・クリエイティブオフィスを実現するための方法を詳しく解説します。
1. クリエイティブオフィスとは?
2. クリエイティブオフィスが促す「12の知識創造行動/SECIモデル」
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2-1.【1】Socialization(共同化)
2-2.【2】Externalization(表出化)
2-3.【3】Combination(連結化)
2-4.【4】Internalization(内面化)
4.クリエイティブオフィスの実現方法
5.まとめ
1. クリエイティブオフィスとは?
クリエイティブオフィスとは、従業員が快適かつ機能的に働けるよう支援し、かつ知識創造の誘発を促すオフィスのことです。
クリエイティブオフィスという概念は、最近になって誕生したものではありません。経済産業省は、2007年からクリエイティブオフィスの導入を推進しています。近年はフリーアドレスやサテライトオフィスといった多様なオフィスのあり方が広く受け入れられ、クリエイティブオフィスも改めて注目を集めるようになりました。
クリエイティブオフィスの例としては、視界を遮る壁や仕切りがなく、観葉植物やモダンアートを飾ったオフィスが挙げられます。
ただし、クリエイティブオフィスは単なるおしゃれなオフィスではありません。従業員の感性を刺激し、知識創造行動によって組織全体の創造性・生産性向上を実現することを目的としています。
2. クリエイティブオフィスが促す「12の知識創造行動/SECIモデル」
クリエイティブオフィスが従業員に対して促す知識創造行動は、4つの要素からなる「SECIモデル」で定義されています。具体的には1つの要素につき3種類、合計で12種類の行動があり、行動ごとに想定する人数やコミュニケーションの密度などが異なる点がポイントです。
ここからは、SECIモデルの4要素について、それぞれの具体的な知識創造行動を紹介します。
2-1. 【1】Socialization(共同化)
Socialization(共同化)は、複数人の従業員がオフィスを共同で使用し、互いに刺激し合う行動です。下記に挙げる3つの知識創造行動があります。
オフィスの通路を回遊型にして従業員が歩き回れるようにしたり、くつろげるリフレッシュスペースを用意したりすることで、従業員同士が接する機会をつくれるでしょう。 また、オフィス全体が見渡せる構造にすると従業員が孤独を感じにくくなり、互いの業務状況把握にも役立ちます。
2-2. 【2】Externalization(表出化)
Externalization(表出化)は、オフィスの従業員同士が取る意識的なコミュニケーション行動です。下記の3つの行動が該当します。
オフィス内にミーティングスペースを設置すると、従業員同士の話し合いやブレストを促すことができます。絵や比喩表現を用いた発展的なディスカッションをしてもらうには、ホワイトボードやノート・モニターの設置がおすすめです。
2-3. 【3】Combination(連結化)
Combination(連結化)は、コミュニケーションを通して得られたアイデアや発見を発展させる行動です。分析や討議のように、アイデアをまとめるための具体的な行動が挙げられます。
Combination(連結化)の行動を促すには、従業員が集中できる環境が必要です。周囲の視線や音を遮断できる集中ブースや、気兼ねなく討議ができるミーティングスペースを用意しましょう。
2-4. 【4】Internalization(内面化)
Internalization(内面化)は、従業員個人が知識・経験を獲得するための行動です。下記に挙げる行動を取ることで、アイデアや発見を実用的な知識に変換します。
気軽に使える広い作業スペースがオフィスにあると、Internalization(内面化)の行動を促しやすくなるでしょう。
また、従業員が試したり実践したりする内容に合わせて、必要なアイテムや製品を提供できる環境が求められます。
3.クリエイティブオフィスの主な導入メリット3選
クリエイティブオフィスの導入には、主に3つのメリットがあります。
メリット(1)新たなアイデアの創出を促進できる
クリエイティブオフィスは従業員の知的創造性や感性に働きかける環境が整えられており、新たなアイデアの創出を促進できます。普段は接点のない部門・部署の従業員同士がコミュニケーションを取れるようになり、従業員が新たな価値観や発見をできる機会が作れるでしょう。
従業員にとって働きやすい環境であるクリエイティブオフィスは、企業ブランドの向上にも寄与します。優秀な人材がクリエイティブオフィスに魅力を感じるなど、人材採用の点で役立ちます。
メリット(2)従業員の業務効率化・モチベーション向上につながる
多くのクリエイティブオフィスはオフィス全体を見渡せる構造となっていて、従業員同士が互いの業務状況を簡単に把握できます。業務上のコミュニケーションやフォローをしやすく、従業員の業務効率化・モチベーション向上につながる点がメリットです。
オフィスの中に気軽に使えるミーティングスペースがあれば、必要なタイミングでチームが集まって打ち合わせもできます。業務の課題や問題点も素早く報告・共有が可能であり、チーム単位でのプロジェクトを円滑に進められるでしょう。
メリット(3)社内コミュニケーションが活性化する
クリエイティブオフィスは社内コミュニケーションの活性化にもつながります。従業員の世代や役職を超えたコミュニケーションが促進されることで、企業文化の浸透や業務に役立つ知識・技術の継承が進み、企業全体の組織力が強化されます。
また、近年のテレワーク普及促進により、テレワークで働く従業員とオフィスで働く従業員のコミュニケーション不足に悩む企業は少なくありません。クリエイティブオフィスで従業員のコミュニケーション手段も多様化できれば、働き方改革における課題解決にも寄与できます。
4.クリエイティブオフィスの実現方法
クリエイティブオフィスの実現には、オフィス空間の設計や通信デバイスの活用など、企業はさまざまなポイントを押さえることが重要です。オフィスを実際に使用する従業員の協力も不可欠と言えるでしょう。
最後に、クリエイティブオフィスを実現する際の3つのポイントを紹介します。
4-1. 工夫を凝らした空間設計
従業員の知識創造行動を促すには、オフィスの空間設計に工夫を凝らす必要があります。フリーアドレスの導入や各種スペースの配置が工夫の例です。 フリーアドレスの導入により、従業員は自分の働きやすい場所を選んで仕事ができます。チームや部署に縛られない人間関係が生まれ、社内コミュニケーションの向上につながります。 スペースについては、従業員が休憩できるリフレッシュスペースや、打ち合わせに使えるミーティングスペースの設置がおすすめです。スペースの利用状況が一目で分かるように、見渡しの良さも考慮しましょう。
4-2. ICTツールの活用
クリエイティブオフィスでは、同じチームのメンバーが離れた場所で作業をしたり、異なる部署の従業員と連絡をしたりするケースがあります。従業員の円滑なコミュニケーションを支援する手段として、ICTツールの活用が欠かせません。
社内SNSやグループウェアなどのツールを導入すると、従業員が必要なときにリアルタイムでコミュニケーションを取れます。テレワークで働く従業員ともコミュニケーションを取りやすくなり、企業の働き方改革を進められます。
4-3. 従業員への周知
従業員の中には、クリエイティブオフィスを単なるおしゃれなオフィスと捉える方もいます。クリエイティブオフィスの機能を活用してもらうには従業員への周知が大切です。
まずはクリエイティブオフィスを導入した目的を従業員と共有したうえで、クリエイティブオフィスの考え方を説明しましょう。導入したクリエイティブオフィスの機能とともに、12の知識創造行動についても伝えると、従業員の自発的な活用が期待できます。
5.まとめ
クリエイティブオフィスとは、従業員の知識創造行動を促し、業務における創造性や生産性向上につなげるためのオフィスです。社内コミュニケーションの活性化ができ、働き方改革の課題解決につなげられる点もクリエイティブオフィスのメリットとなっています。紹介した3つのポイントを参考に、クリエイティブオフィスの導入をぜひ検討してみてください。