オフィスにおけるBCP対策|オフィス選びのポイント・環境整備の方法

2023年7月10日

新型コロナウイルスの感染拡大が起きた2020年以降、企業のBCP対策が重視されるようになりました。BCP対策は企業経営はもちろん、社員が業務を行うオフィスにおいても導入すべき考え方と言えます。

企業経営者の方でも、BCPとはそもそも何か、オフィスにおいてBCP対策をどのように進めればよいかが分からない方は多いでしょう。

今回は、オフィスにおけるBCP対策の進め方やオフィス選びのポイント、環境整備の方法などを詳しく紹介します。


BCP(事業継続計画)とは、企業が緊急事態に見舞われた場合にも事業継続ができるよう、手段や対応方法などをあらかじめ決めておく計画のことです。

近年は地震や豪雨・洪水といった自然災害の発生、新型コロナウイルス感染症の流行など、企業の経営リスクとなる事象が頻発しています。企業が万が一緊急事態に遭遇した際、十分な備えができていなければ事業継続ができず、最悪の場合は倒産する可能性もあるでしょう。

企業はBCP対策をしておくことで、緊急事態の際にも被害を最小限に抑えて、被害の早急な回復や事業継続ができます。

社員が働く場所であるオフィスに対してもBCP対策は必要です。オフィスにおけるBCP対策を進めることで、緊急事態が発生したとしても社員やデータを守り、事業継続を図れます。

オフィスにおけるBCP対策の進め方を、5つのステップに分けて解説します。

STEP(1)基本方針の決定

まずはBCP対策の基本方針を決定します。自社の経営理念と照らし合わせながら、オフィスにおけるBCP対策で何を守りたいかといった目的を明確にしましょう。例としては「社員や顧客を守る」「業務維持により取引先からの信用を高める」が挙げられます。

STEP(2)社内体制の整備

BCP対策を実現・推進する社内体制としてプロジェクトチームを立ち上げます。BCP対策は全社的に進める必要があるため、チームのメンバーは部門横断で集めましょう。

STEP(3)優先事業・事前案の策定

自社が展開している事業について優先順位をつけ、緊急時に優先して復旧すべき事業を決定します。優先事業の決定後は、事業ごとの緊急時における課題・リスクを洗い出し、事前対策の手段を策定します。

STEP(4)基準・体制の整備

「どのような事態でBCPを発動するか」の基準を設定します。緊急事態で事業が被るリスクを想定し、適切な条件でBCPを発動できるようにしましょう。BCP発動後に速やかに対策を進められるよう、緊急事態対策本部などの体制も整備する必要があります。

STEP(5)社内共有・ブラッシュアップ

BCP対策の全容が策定できたら、社内全体に共有します。単に情報を伝えるだけではなく、定期的に研修や訓練を行い、BCPの取り組みを根付かせることが大切です。新しいリスクが発生するなど、情勢が変化した場合は適宜更新・ブラッシュアップも必要となります。

計画的に策定することで、自社に合ったオフィスのBCP対策が実現できます。

オフィスにおけるBCP対策は、オフィス選びのときから始まっています。オフィスによっては特定のリスクに対応できなかったり、BCP対策そのものに適していなかったりするケースもあるため、ポイントを押さえて選びましょう。

BCP対策に適したオフィスを選ぶときのポイントを5つ紹介します。

オフィスビルの耐震性は、地震が発生したときの被害や復旧に影響します。耐震性は「新耐震基準」をクリアしているかどうかをチェックしましょう。

新耐震基準では建物に対して、震度6強~震度7程度の揺れを受けても倒壊・崩壊するおそれがないことを求めています。新耐震基準の施行年は1981年であり、工事期間として2年を加えた 1983年以降に竣工したビルであれば、基準を満たしている可能性が高いと言えます。

オフィスビル自体の防災対策がどのくらい充実しているかは、ビル管理会社によって異なります。下記のようなポイントで、防災対策の充実度をチェックしてください。

●非常用の食料や水の備蓄量は十分か
●非常時の対応マニュアルが作成されているか
●防災訓練や館内放送などの定期的な実施があるか
●避難通路や非常口は整備されているか など

防災対策が十分でないポイントについては、自社のBCP対策で備えておく必要があります。

近年では比較的新しく建設されたビルや大型のビルを中心に、蓄電池や非常用自家発電設備といった施設が備えられています。非常用電源などによる電力供給が整備されていると、自然災害や計画停電などで電力供給が停止する場合にも安心です。

非常用電源施設がないオフィスでは、ビル管理会社と交渉した上で、自分たちで蓄電池や発電機を導入する必要があります。

オフィスが抱えるリスクは、オフィスビルの周辺環境によっても左右されます。周辺環境の把握には、自治体が発行するハザードマップの活用がおすすめです。

ハザードマップには、自然災害が発生した場合にどのエリアでどのような被害が予測されるか、避難場所や防災施設はどこに存在するかが記載されています。ハザードマップから読み取れるリスクに対し、十分な備えができるオフィスを選びましょう。

新型コロナウイルス感染症の流行以降、オフィスの空調・換気性能が重要視されています。オフィスは多くの人が出入りし、長期間滞在する場所であるため、万が一の事態を想定して空調・換気性能もチェックしましょう。

換気設備のフィルター機能や、換気ダクト内に設置されているダンパーの機能、開閉できる窓の数や位置などがチェックポイントとなります。

BCP対策の実効性を高めるには、緊急事態に対応できるオフィス環境を平常時から構築する必要があります。

最後に、BCP対策を意識したオフィス環境のつくり方を、3つのポイントに分けて解説します。

●テレワークを導入する

テレワークとは、情報通信技術を活用して、オフィスから離れた場所で働くワークスタイルのことです。テレワークの導入は、オフィスにおけるBCP対策の強化につながります。

自然災害などの緊急事態が発生した場合、被害の規模によっては社員がオフィスに通勤できなくなる可能性があります。テレワークを導入していれば、自宅などのオフィスから離れた場所でも働くことができ、業務体制の維持が期待できるでしょう。

●安否確認の体制を強化する

BCPを発動する緊急事態が発生した場合は、初動として社員の安否確認を行い、行うべき対応の指示を出します。BCP対策の実効性を高めるには、安否確認の体制を強化することが重要です。

一般的な安否確認ではメールや電話が用いられます。しかし、緊急時にはサーバーや回線が混雑してつながりにくくなる可能性が高く、安定した安否確認の手段としては適していません。安否確認システムの活用など、専用のシステムを導入する方法もあります。

●活動拠点を分散する

企業の活動拠点が本社の1つのみに集中していると、緊急事態が発生した場合に被害規模が大きくなり、事業継続が困難になります。万が一の際には本社の事業機能を別の場所へとスムーズに移動できるよう、活動拠点を分散させましょう。

活動拠点を分散する際は、分散先の拠点にも本社と見劣りしないオフィス機能を備えておく必要があります。レンタルオフィスは設備一式が揃ったオフィスを借りられて、本社とは別の活動拠点としてすぐに利用が開始できるためおすすめです。

まとめ

緊急時において企業の事業継続を図るBCP対策は、オフィスに対しても必要です。オフィスにおけるBCP対策を実施する際は、オフィス選びやオフィス環境のポイントを押さえつつ、紹介した5つのステップに沿って進めましょう。

活動拠点を分散する方法としてレンタルオフィスの利用を考えている方は、「クロスコープ」にご相談ください。クロスコープの基幹オフィスはBCP対策に優れており、緊急時においても事業継続を図れるさまざまな機能を備えております。