2023年2月27日 2026年8月14日

最近はベンチャー企業やスタートアップ企業を中心に、レンタルオフィスやシェアオフィスを利用して起業したり業務を行ったりする企業が増えてきています。
レンタルオフィスとシェアオフィスは用途や目的が似ているのでしばしば混同されがちですが、それぞれに特徴がありますので、利用する際は両者の違いをきちんと把握しておく必要があります。
今回はレンタルオフィスとシェアオフィスの違いやメリット・注意点、選ぶ時のポイントなどについて解説します。
1. レンタルオフィスとシェアオフィスの違い
2.レンタルオフィス・シェアオフィスと他のオフィス携帯との違い
3.レンタルオフィスのメリット・注意点
4.シェアオフィスのメリット・注意点
5. レンタルオフィスとシェアオフィスのどちらを選ぶべき?
6.レンタルオフィスとシェアオフィスに関するよくある質問 7.まとめ
1.レンタルオフィスとシェアオフィスの違い
「レンタルオフィス」と「シェアオフィス」は混同されやすい形態ですが、それぞれに明確な特徴があります。
レンタルオフィスは個室を契約する形式で、自社だけの独立した空間を確保可能です。一方、シェアオフィスは複数の企業や個人が共有スペースを利用する形式で、フリーアドレスやコワーキングスペースとも呼ばれます。
そのほか「設備と利用スタイル」「料金体系とコスト面」「セキュリティとプライバシー」「業務効率・集中環境」も細かく異なるため、それぞれの違いを理解して適切な施設を選ぶことが重要です。
ここでは、レンタルオフィスとシェアオフィスの違いについて、詳しく紹介します。
| 比較項目 | レンタルオフィス | シェアオフィス |
|---|---|---|
| スペース携帯 | 壁で仕切られた個室(専有) | 共有・フリーアドレス |
| 月額料金目安 | 1名 月3万~15万円程度 | 月数千円~数万円程度 |
| 初期費用 | 入荷金・保証金などあり | 不要プランが多い |
| セキュリティ | 施錠可・入退室管理有り | オープンで弱い |
| プライバシー | 確保しやすい | 確保しいくい |
| 集中環境 | 静かで集中向き | 雑音あり・交流向き |
| 法人登記・許認可 | 対応しやすい | 不可の場合あり |
| 向いている人 | 複数名・機密業務・許認可業種 | 個人・少人数・コスト重視 |
1-1. 設備と利用スタイルの違い
設備と利用スタイルの最も大きな違いは、個室を専有するか、共用スペースを分け合うかにあります。レンタルオフィスは壁で仕切られた個室を自社専用に使えるのに対し、シェアオフィスは複数の利用者が同じ空間を共有します。
シェアオフィスで一般的なのは、空いている席を自由に使う「フリーアドレス制」です。固定席を設けずに席を回すことで一人あたりのスペースを小さく抑えられるため、共用を前提とした料金や設備につながります。逆にレンタルオフィスは、一区画を丸ごと自社で押さえるからこそ、部屋の使い方を自分たちで決められます。
また、レンタルオフィスでは机や椅子、キャビネットが最初から備え付けられている施設が多く、契約後すぐに業務を始められる点が特徴です。内線電話やインターネット回線、複合機まで用意されている施設もあり、荷物を運び込むだけで開業できる手軽さがあります。個室のため、資料を広げたまま退社したり、周囲に気兼ねなくチームで打ち合わせを開いたりできる点も専有ならではの強みです。
一方のシェアオフィスは、オープンな空間にデスクが並び、Web会議用のブースや共有ラウンジ、複合機やドリンクバーといった共同利用の設備が充実しています。設備を利用者みんなで分け合うため、一人では持ちきれない環境を低い負担で使える点が魅力です。ただし混雑時には席やブースが埋まることもあり、使いたい設備を確実に確保できるとは限りません。
契約後すぐに動きたい場合やチームで籠もって作業したい場合にはレンタルオフィス、身軽に必要なときだけ使いたいのであればシェアオフィスというように、利用スタイルから選びましょう。
1-2. 料金体系とコスト面の違い
料金体系は、共用か専有かの違いがそのまま月額に表れます。共用スペースを複数人で分け合うシェアオフィスは、一人あたりのコストを低く抑えやすい形態です。
料金の目安は、レンタルオフィスが1名で月3万〜15万円程度、シェアオフィスが月数千円〜数万円程度です。シェアオフィスには利用した時間分だけ支払う「ドロップイン」もあり、1日数百〜数千円程度で使えるプランが多く見られます。毎日は通わない働き方であれば、月額会員ではなくドロップインを選ぶことで、さらに費用を抑えることも可能です。
個室を占有するレンタルオフィスは、その分だけ月額が高くなる傾向があります。受付や電話代行、清掃といったサービスがグレードによって料金に上乗せされるため、同じ人数でも施設によって金額に差が出ます。月額に加えて契約事務手数料や保証金がかかる場合もあり、初期費用は入会金と保証金(月額の1〜3ヶ月分)が目安です。ただし家具や備品は備え付けのため、机や椅子を別途購入する費用はかかりません。
月額の安さだけで比べると、契約時にかかる初期費用や、退去までの利用期間を見落としがちです。数名のチームで長く使うのであれば、席ごとに料金がかさむシェアオフィスより、個室のレンタルオフィスのほうが割安になるケースもあります。事業フェーズと必要な設備を踏まえ、初期費用まで含めた総額で比べて選びましょう。
1-3. セキュリティとプライバシーの違い
セキュリティとプライバシーの差は、空間が閉じているか開いているかから生まれます。士業やコンサルのように顧客情報や機密資料を扱う業種では、この差がそのまま形態選びを左右するでしょう。
レンタルオフィスでは鍵付きの個室を使えるため、書類やパソコンを施錠して保管でき、情報漏洩のリスクを抑えられます。入退室管理システムや監視カメラを備えた施設も多く、誰がいつ入室したかを記録として残せます。個室の中であれば、機密性の高い商談も周囲を気にせず進められ、契約書や顧客リストを机に出したまま席を外しても人目に触れません。
一方、シェアオフィスでは利用者全員が出入りする共用空間のため、パソコンの画面や書類がほかの利用者の目に触れやすくなります。少し席を離れたすきに画面をのぞかれる可能性もあり、離席のたびに画面を閉じるといった自衛が欠かせません。電話やWeb会議では会話が周囲に聞こえる可能性もあり、顧客リストなど機微な情報を扱うのであれば注意が必要です。
情報漏洩のリスクとプライバシーの守りやすさを業務内容と照らし合わせ、自社に適した形態を選びましょう。
1-4. 業務効率・集中環境の違い
業務効率と集中環境の違いは、周囲の視線や物音をどこまで遮れるかに表れます。
レンタルオフィスは完全な個室のため、話し声やキーボードの打鍵音、人の出入りといった集中を妨げる要素が視界と耳に入りにくい環境です。視界に人の動きが入らず、電話や雑談の声も届きにくいため、一つの作業に長く集中しやすいでしょう。企画書の作成や執筆、数字の分析のように思考を深める業務では、レンタルオフィスの静かな環境が力を発揮します。
シェアオフィスはオープンな空間で他業種の利用者と顔を合わせるため、会話から情報や刺激を得やすい反面、人によっては周囲の物音が気になることもあります。近くの席の電話やオンライン会議の声が入ると集中が途切れやすく、繁忙時間帯ほど雑音は増えがちです。その代わり、休憩スペースでの何気ない会話から仕事のヒントや人脈が生まれることもあり、新しいアイデアを外との交流から得たい場面では開かれた環境がプラスに働きます。
一人で深く集中したい場合にはレンタルオフィス、交流から発想を広げたいのであればシェアオフィスというように、働き方に合わせて選びましょう。
2.レンタルオフィス・シェアオフィスと他のオフィス形態との違い
オフィスの形態は、レンタルオフィスとシェアオフィスの2つだけではありません。住所だけを借りる形態から、自社で一棟を構える形態まで、コストと自由度に応じた選択肢があります。 ここでは、バーチャルオフィス・コワーキングスペース・一般賃貸オフィスとの違いを紹介します。
2-1. バーチャルオフィスとの違い
バーチャルオフィスは、住所・電話・郵便の受け取りといった機能だけを借りる形態で、実際に働く執務スペースは持ちません。月額は数百円〜5,000円程度と各形態のなかで最も安く、法人登記や名刺への住所利用ができるため、起業初期や副業のスタートに向いています。
自宅の住所を公開せずに事業を始められる点も、個人で活動する人には大きな安心につながります。一方で執務スペースを持たないため、日々の作業場所は自宅やカフェなどで別に確保する必要があり、常駐や来客対応には不向きです。
自宅での作業が中心で住所だけが必要な場合にはバーチャルオフィス、人が常駐して来客対応もあるのであればレンタルオフィスが適します。作業の実態が要るかどうかで、住所機能だけのバーチャルオフィスと執務環境を持つレンタルオフィスを分けて選びましょう。
2-2. コワーキングスペースとの違い
コワーキングスペースは共用の空間で働く点でシェアオフィスに近い形態ですが、利用者どうしの交流やイベントを重視した会員制のサービスが多く見られます。セミナーや交流会、コミュニティマネージャーによる利用者どうしの引き合わせを通じて、仕事につながる出会いが生まれやすい環境です。
フリーランスやスタートアップが集まりやすく、情報交換や協業のきっかけをつかめる点が強みです。一方で固定席や個室は基本的になく、席は毎回変わるため、専有性は低くなります。荷物を置いたままにできなかったり、混雑時に静かな席を選べなかったりする点は、集中作業を優先する人には物足りません。
人脈づくりや短時間の利用が目的の場合にはコワーキングスペース、自社専用の落ち着いた空間が要るのであればレンタルオフィスというように、交流の機会を取るか、専有性と集中環境を取るかで使い分けましょう。
2-3. 一般賃貸オフィスとの違い
一般賃貸オフィスは、自社で物件を借り、内装・家具・通信環境まで自前でそろえる従来型の形態です。レイアウトから設備まで自由に作り込んだ拠点を構えられる反面、初期費用は大きくふくらみます。
敷金・礼金や仲介手数料に加えて、内装工事や什器の購入費もかかり、初期費用の相場は賃料の6〜12ヶ月分にのぼることも少なくありません。開業までに数ヶ月かかるうえ、退去時には原状回復の費用も発生します。設備が整ったレンタルオフィスなら、こうした初期投資と準備期間を大きく圧縮できます。
長期にわたって大人数の専用拠点を構える場合には賃貸オフィス、低コストで早く開業したいのであればレンタルオフィスが有利です。初期投資と自由度を取るか、コストと立ち上げの速さを取るかで判断しましょう。
3.レンタルオフィスのメリット・注意点
レンタルオフィスとシェアオフィスの違いを知るために、レンタルオフィスのメリットや注意点を把握しておきましょう。
3-1. レンタルオフィスのメリット
レンタルオフィスには、さまざまなメリットがあります。ここでは、レンタルオフィスのメリットについて紹介します。
個室空間で業務に集中しやすい
レンタルオフィス最大のメリットは、完全に仕切られた個室空間で業務に集中できる点にあります。周囲の視線や雑音が遮断されることで、外部からの影響を最小限に抑えられます。
シェアオフィスのように不特定多数の人が出入りする空間では、話し声や電話の音、人の動きなどが気になってしまいがちです。しかし、レンタルオフィスでは自分のペースで業務を進められるため、思考を途切れさせることなく目の前の作業に集中できます。
たとえば、顧客対応や契約書の作成、企画書の執筆といった、高い集中力と静かな環境が求められる業務が多い場合には、レンタルオフィスが適しているといえるでしょう。また、チームでの作業でも、個室ならメンバー同士が気兼ねなく議論でき、効率的なコミュニケーションが図れます。
周囲に左右されず自社の業務に専念できる環境を求める場合には、レンタルオフィスが適しています。
セキュリティ性が高い
レンタルオフィスは、セキュリティ性の高さも大きな強みです。特に、機密情報を扱う企業やフリーランスの方にとって、安心して業務に取り組める環境は非常に重要です。
レンタルオフィスでは個室に鍵が設置されていることに加え、建物全体のセキュリティ設備が整っています。そのため、部外者が無断で立ち入るリスクを低減し、情報漏洩を防ぐことができます。シェアオフィスのようなオープンな空間では、PC画面や書類が他者の目に触れる可能性があるため、機密情報を扱う業務は避けた方がよいでしょう。
このように、物理的なセキュリティ対策が充実しているため、機密情報を守りながら安心して業務を進めたい場合にはレンタルオフィスが適しています。
電話・Web会議に対応しやすい
リモートワークが普及した現代において、電話やWeb会議は日々の業務に欠かせないツールです。
レンタルオフィスは個室であるため周囲の雑音が入りにくく、クリアな音声でやり取りができるため電話・Web会議に適しています。シェアオフィスでは周囲の話し声や環境音が入り込みやすく、相手に声が届きにくかったり、会話内容を聞かれたりするリスクがあります。
たとえば、クライアントとの重要な商談やチームメンバーとの遠隔での打ち合わせも、レンタルオフィスなら周囲を気にせず落ち着いて実施できるでしょう。また、多くのレンタルオフィスには高速なインターネット回線が完備されているため通信環境も安定しており、スムーズに会議を進められます。
オンラインでのコミュニケーションが多い場合には、レンタルオフィスの方が利用しやすいといえます。
登記や許認可に対応しやすい
レンタルオフィスは、法人登記や事業の許認可取得をスムーズに行いやすい点もメリットです。レンタルオフィスが登記や許認可に対応しやすい理由は、「独立性のある事務所」として認められやすいためです。
たとえば宅地建物取引業の免許では、他社や生活空間と明確に区切られ、継続的に業務を行える事務所であることが要件とされ、オープンなシェアオフィスでは満たせないケースもあります。建設業許可でも、独立して業務を行える事務所を最低1つは構えている必要があり、区画が曖昧なフリーアドレスの席では要件を満たしにくいでしょう。
しかし、レンタルオフィスでは信頼性の高い施設を利用することで、企業の信用力を担保しやすくなり、新規事業の立ち上げもスムーズに進行しやすくなります。許認可申請が必要な場合でも、独立した事務所としての証明がしやすく、円滑な手続きが期待できます。
このように、レンタルオフィスは事業の信頼性を高め、事業拡大に必要な法的要件を満たす上でも有効な選択肢だといえます。
3-2. レンタルオフィスの注意点
レンタルオフィスを利用する際には、知っておくべき注意点もあります。ここでは、レンタルオフィスの注意点を紹介します。
利用料金が高くなりやすい
レンタルオフィスは、シェアオフィスに比べて月額料金が高くなる傾向があります。専有の個室空間や家具、インターネット回線などの設備があらかじめ整備されており、その維持管理費や立地条件の価値が料金に反映されるためです。
特に駅近や都心の物件では、利便性の高さと引き換えにコストが上昇します。 たとえば、1〜2名利用でも都心の好立地では、月額利用料が十数万円になることも珍しくありません。起業初期や売上が安定していない段階では、固定費が資金繰りの負担になる可能性があります。
契約前には月額費用だけでなく、敷金・保証金・更新料・オプション費用なども含めた総コストを試算し、事業計画に組み込んでおきましょう。
空室が少ない場合がある
人気エリアや交通アクセスが良好な物件では、レンタルオフィスの空室が出にくいという課題があります。 利便性・設備・セキュリティが整った物件ほど需要が集中し、募集開始後すぐに埋まってしまうケースが多いためです。
特に、条件に優れたレンタルオフィスは事前に予約待ちリストが作られており、即入居が難しい場合もあります。たとえば、オフィス移転を急いでいる企業や、プロジェクト開始に合わせて短期間で拠点を構えたい場合には、空室待ちで予定が遅れる可能性も考慮しておかなければなりません。
リスクを避けるには、希望条件に優先順位をつけ、複数の候補物件を同時並行で検討することが有効です。また、運営会社と密に連絡を取り、空室情報を早期に入手できる体制を整えておくとスムーズに契約できる可能性もあります。
4.シェアオフィスのメリット・注意点
次にシェアオフィスのメリットと注意点を解説します。レンタルオフィスとの違いを明確にするためにも、それぞれ確認してみてください。
4-1. シェアオフィスのメリット
シェアオフィスにも、さまざまなメリットがあります。ここでは、シェアオフィスのメリットを紹介します。
料金が安くなりやすい
コストを抑えてオフィスを利用したい場合には、シェアオフィスの利用がおすすめです。
一般的にシェアオフィスや同じエリアや設備条件でもレンタルオフィスよりも安価に設定されている傾向があり、初期費用が不要なプランも多くあります。共用スペースを複数人で利用する仕組みであるため専有面積が小さく、その分運営コストが低く抑えられます。
たとえば、都心の一等地であっても月額数万円で利用できるケースもあり、敷金・礼金・内装費などの初期投資も不要です。特に事業初期は固定費を抑えることで資金をマーケティングや開発に回せるメリットが大きいといえるでしょう。
シェアオフィスを利用することで、資金効率を高めつつ事業成長に必要な投資を優先できる環境が整います。
1名向けのプランが充実している
少人数や個人利用に特化したプランが豊富なのも、シェアオフィスの強みです。
フリーアドレス制やドロップイン(一時利用)など、1人用に最適化されたサービス形態が多く、必要なタイミングだけ柔軟に利用できます。固定席を契約しなくても、空いている席を自由に選べるため、通勤日数や業務予定に合わせたコスト管理が可能です。
たとえば、週の半分は自宅作業、残りは外部で打ち合わせを行うフリーランスにとって、固定費をかけずに必要な日だけ利用できるのは大きなメリットだといえるでしょう。
シェアオフィスを利用することで働く場所や時間を自由に設計し、業務効率と生活のバランスを取りやすくなります。
他業種との交流がしやすい
人脈形成や情報交換を重視する場合、シェアオフィスは非常に有効な環境です。
シェアオフィスはオープンな空間で多様な業種の利用者が集まり、自然な形で交流が生まれやすい構造になっています。施設によっては、名刺交換会や勉強会、ランチミーティングなどの交流イベントが定期的に開催され、ビジネスのきっかけを得やすくなります。
たとえば、デザイナーが同じ施設内のエンジニアと協業して新サービスを開発するなど、偶発的な出会いが新しい案件やパートナーシップにつながることもあるでしょう。
シェアオフィスを活用することで、オフィス利用そのものが営業・広報活動の一環となり、事業の拡大に直結する可能性が高まります。
拠点展開に向いている
複数都市や地域で活動する場合、シェアオフィスを利用することで、拠点を展開しやすくなります。
利用者登録だけで、全国にある拠点を使うことができるシェアオフィスは少なくありません。中には、日本国内だけでなく海外に拠点を持っているシェアオフィスもあります。複数の拠点が利用できれば、出張や新規営業の際に、移動先でオフィス環境を即座に確保できます。
たとえば、東京を拠点とする企業が大阪や福岡での営業活動を強化する場合、出張先のシェアオフィスを活用すれば会議室や作業スペースを低コストで利用可能です。
シェアオフィスを利用することで固定拠点を増やすよりも低リスクで事業エリアを広げられ、機動力の高い営業活動を展開できます。
4-2. シェアオフィスの注意点
シェアオフィスを利用する際には、知っておきたい注意点もあります。ここでは、シェアオフィスの注意点を紹介します。
セキュリティ・プライバシーが守られにくい
機密情報を扱う業務では、シェアオフィスの利用について慎重に検討しなければなりません。
シェアオフィスはオープンスペース主体のため、PC画面や紙資料が第三者の視線に入りやすく、盗難や紛失のリスクも高まります。また、荷物を置いたまま席を離れる場合も、自己管理が基本です。
たとえば、顧客リストや契約書などの重要書類を頻繁に扱う業種では、物理的な施錠ができる個室型のレンタルオフィスの方が安全です。
シェアオフィスを利用する場合は、スクリーンフィルターの装着やデータ暗号化、貴重品の持ち歩きなどの対策を行いましょう。
周囲の音が気になりやすい
集中作業や静かな環境が必要な業務では、シェアオフィスのオープンな構造が不利になる場合があります。
シェアオフィスは、周囲の利用者の会話や電話、出入りの足音など、業務に直接関係ない音が入りやすい環境です。一時利用者の入退室が多い施設では、特に音による集中力の低下が起こりやすくなります。
たとえば、プレゼン資料や提案書など、長時間集中して作成する作業を行う場合は、ノイズキャンセリングヘッドホンや会議室の短時間利用を組み合わせるといった工夫が必要になるでしょう。
許認可・登記には不向きなことも
法人登記や特定業種の許認可申請において、シェアオフィスは条件を満たせない場合があります。
個室がない場合には「独立した事務所」として認められず、法的要件をクリアできないケースもあります。特に建設業や士業のように、事務所の独立性が審査項目になる業種では注意が必要です。
たとえば、建設業許可申請では、事務所が他者と区分されていることが条件の1つです。スペースがパーテーションで区切られた程度のシェアオフィスでは、不可とされる場合があります。
事業開始後に別のオフィスへ移転する必要が生じるリスクを回避するためにも、契約前に管轄機関や専門家へ要件確認を行いましょう。
5.レンタルオフィスとシェアオフィスのどちらを選ぶべき?
レンタルオフィスとシェアオフィスはそれぞれ特徴、メリット・デメリットが異なるため、用途や目的に合わせて選ぶ必要があります。ここではレンタルオフィスとシェアオフィスそれぞれの利用に向いている人の特徴をご紹介します。
5-1. レンタルオフィスが向いている人
レンタルオフィスが向いているのは、複数の社員とまとまって働きたい人です。フリーアドレスのシェアオフィスでは混雑時に席が離れて社員がばらばらに座ることもありますが、専用の個室であれば同じ空間で顔を合わせ、声をかけ合いながら効率よく業務を進められます。ホワイトボードに書き出しての打ち合わせや、資料を広げての共同作業を周囲を気にせず行える点も魅力です。
加えて、機密情報を扱う業種や住所と空間で対外的な信用を高めたい人にも適しています。顧客情報を扱う士業やコンサル、来客や商談が多くチームで常駐する事業では、施錠できる個室と一等地の住所がそのまま取引先からの信頼につながるでしょう。応接に使える会議室が付いた施設を選べば、来客時の印象も整えられます。
許認可が必要な事業も、独立した事務所を要件とする建設業などではレンタルオフィスが無難です。専有性・信用・許認可のいずれかが必要であれば、レンタルオフィスを選びましょう。
5-2. シェアオフィスが向いている人
シェアオフィスが向いているのは、予算を抑えたい人や、1〜2名でのデスク作業が中心の人です。利用料金がレンタルオフィスより安く設定されているため、手元資金が限られるフリーランスや個人事業主でも、固定費を抑えながら起業できます。仕事量に波がある時期でも、身の丈に合った負担で拠点を持てます。
シェアオフィスの強みは1名から利用でき、立地の選択肢が幅広い点です。人脈や交流を重視する人、複数の拠点を気軽に使い分けたい人にとっては、共用ならではの出会いと展開のしやすさがメリットになるでしょう。各地方で同じ系列の拠点を使えるサービスもあるため、働く場所を固定したくない人と相性が良い形態です。
特に開業直後で固定費を軽くしたい時期や、決まった場所に縛られず動きたい働き方にも合います。コスト・身軽さ・交流のいずれかを優先するのであれば、シェアオフィスを選びましょう。
5-3. 失敗しないオフィス選びのチェックポイント
オフィス選びで確認しておきたいのは、立地・契約期間・拡張性・登記や許認可の可否・総コストの5点です。どれか1つでも事業の要件に合わないと、契約後の移転や追加費用につながりやすくなります。
たとえば立地は取引先や自宅からの通いやすさで見て、契約期間は最低利用期間や解約予告の時期まで確認しましょう。増員の予定があるのであれば同じ施設内で部屋を広げられる拡張性を、許認可が必要な業種であれば登記の可否を優先するというように、重視する順番は事業フェーズによって変わります。総コストは月額だけでなく、初期費用やオプション料まで含めて見積もることが欠かせません。
これら5つの観点に自社の優先度をつけたうえで複数の候補を比べ、契約後のミスマッチを防ぎましょう。
6.レンタルオフィスとシェアオフィスに関するよくある質問
レンタルオフィスとシェアオフィスには、料金や登記など契約前に迷いやすい点があります。ここでは、両者について特によく寄せられる質問に答えます。
6-1. レンタルオフィスとシェアオフィスはどちらが安い?
基本料金は、共用型のシェアオフィスのほうが安く、月数千円〜数万円が目安です。ただし個室のプライバシーや対外的な信用ではレンタルオフィスが優れているため、料金だけでなく用途に合わせて選びましょう。
6-2. シェアオフィスでも法人登記はできる?
登記に対応したプランもありますが、個室がないと「独立した事務所」と認められず、許認可で不利になる場合があります。建設業や士業のように事務所の独立性が要件となる業種では、個室のレンタルオフィスが無難です。
6-3. 個人事業主やフリーランスでも借りられる?
どちらも1名から利用でき、個人事業主やフリーランスでも契約できます。少人数で立地の選択肢が広いのはシェアオフィス、専用の空間と信用を求めるならレンタルオフィスが向いています。
7.まとめ
レンタルオフィスとシェアオフィスは、借りられるスペースや利用料金などに違いがあります。 個室を借りられるレンタルオフィスはやや料金が割高になりますが、周囲の視線や音を気にせず業務に集中できるところが利点です。 シェアオフィスはセキュリティ性の低さや音、視線などは気になりますが、そのぶん安い料金で利用できるところがメリットです。 それぞれにメリットやデメリットがありますので、両者の違いをよく理解した上で自分に合った方を選びましょう。
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