起業家解体新書(株式会社ザ・スリービー)

2010年6月4日

起業家解体新書 VOL.1

株式会社ザ・スリービー
代表取締役 石田 和靖(いしだ かずやす)
昭和46年東京生まれ。会計事務所勤務の際、中東~東南アジアエリアの外国人経営者の法人を多く担当。その後2003年に現社設立。2009年12月に東京六本木に念願の、世界経済の情報発信基地「ワールドインベスターズカフェ」オープン!
起業そして辛い時期を乗り越えて自分のスタイルを貫くことが大事
―本日はよろしくお願いいたします。
 石田: よろしくお願いします。
―まず最初に起業した理由からお聞かせいただけますか?
 石田: はい。一番のきっかけは、海外からの情報をブログに載せたところ、それで食べていけるくらいの収入になったから、というところですかね。
―起業するお気持ちはもともとあったのですか?
 石田: ありました。元々会計事務所で働いている時は、自分のお客さんが経営者ばかりだったので、自分も、この人達と対等な立場にならないと、まともなコンサルティングは出来ないのではないかと思っていました。
―今の仕事で起業するというのは元々お考えにありましたか?
 石田: あまり具体的なことは当時考えていなかったですが、日本と世界を行ったり来たりできるような仕事がしたいなとは強く思っていました。
―そうなると、まさにピッタリですね。先ほどの話で、ブログで生活出来る様になったとありますが、詳しくお話頂けますか。
 石田: 会計事務所で働いていた時の顧客が外国人経営者ばかりだったのです。当時は海外の金融やビジネスなんて眉唾ものでしたが、自分には生の情報が入ってきました。今となっては誰もが知っていますが、ドバイや香港などの最新の金融情報です。そこで、手に入れた情報を、備忘録としてブログに記載していたのです。
―何年くらい前のことですか?
 石田: 情報に興味を持ち始めたのは10年以上前。ブログに書き始めたのは5年位前のことですね。
―その頃はまだまだ、海外の金融情報は日本には少なかったんですね?
 石田: ほとんど無いですね。皆無と言っても良かった。しかも私が手に入れるのは、生の投資家の声ですからね。
別にこのブログで稼ごうとか、そういうつもりは全く無かったのですが、あれよあれよと、アクセス数が伸びていったんです。
―仕事をしながら、ですよね?
 石田: そうです。会計事務所で働きながらでした。そのうちに、そのブログをまとめて本にしたのですが、そうすると今度は取材依頼などが来るようになって。
―ますます、そちらが忙しくなってきた?
 石田: その通りです。当時勤めていた勤務先の会議室を勝手に使って個人の取材などを受けていたんですが、そんなことをしてたら、やはり周りに気も使いますし。ちょっと居辛くなってきて(笑)
―それで、すぐに独立を?
 ええ。その時にやっていたブログが最初に言った、生活費を稼いでいたブログです。その時は、このブログと本の印税で何とかやっていけるんじゃないか、と思っていました。半ば勢いです。
―オフィスを六本木に決めたのは何か理由がありますか?
 石田: 最初は家でやろうと思って、しばらく家でやっていたのですが、どうにも切り替えが出来なくて(笑)
オフィスを探し始めて、銀座や日本橋にもレンタルオフィスはあったのですが、なんとなく自分の空気と合わない。
実は昔から”6”という数字が自分のラッキーナンバーで、クロスコープを見つけた時には、ここだ!と思いましたね。
―実際に六本木で仕事をしてみていかがですか?
 石田: 立地は抜群ですよね。駅からも近いし。何より、飲食店も豊富。みなさん、六本木の飲食代は高いと思ってるかも知れませんが、そんなことは全く無い。むしろその辺の繁華街より競争が激しいから、こちらのほうが安いかも知れない。言うこと無しです。
―ありがとうございす(笑) ではオフィスを手に入れて起業もして、まず何をされましたか?
 石田: 価値観を共有できる投資家をさらに集めよう、と思いました。集める、というとちょっと語弊があるかも知れません。仲間作りと言った方がいいかも知れない。
―仲間作りですか?
 石田: そうです。投資家、というのは結構孤独なのです。日本では、投資、というとやはりどこかダークなイメージが付きまといます。金融の世界は難しくて怖い世界だと思われているのです。
―確かにそうですね。日本では投資よりも貯金が主流ですし。
 石田: その通りです。ですので、投資家というのは仲間が欲しいのです。特に海外の金融を知っている投資家というのは、なかなか居ない、居ても表に出てこない。
―なるほど、仲間を集める、と言ってもどのようにして集めたのでしょうか?
 石田: ワールドインベスターズSNSというのを作りました。それも完全招待制の。
―完全招待制にしたのは何か理由があるのですか?
 石田: はい。完全招待制は重要なポイントで、誰でも登録できる形だと、やはり情報の正確性が欠けてきます。
金融、その上海外ですので、サイトの信用性が第一だと考えたのです。
―しかし、それだと会員数はあまり伸びませんよね?
 石田: そうですね。正直会員数も伸びないし、このSNSが売上げを上げてくれるわけではなかった。ここから一年くらいが一番辛かったですね。
―それでも招待制を貫いた?
 石田: はい。それが今に繋がっています。
―現在の会員数はどのくらいですか?
 石田: 約6,000名です。
―6,000!それは凄いですね!そのSNSをやっていてどういったメリットがありますか?
 石田: まず何と言っても、仲間が増えた(笑)これは大きいです。今まで知り合うことが無かった方とたくさん知り合えましたし、オフ会も頻繁に行われています。
―しかも、皆さんが信頼出来る情報を持っているわけですね。
 石田: その通りです。中には海外で生活していて直にその情報に触れている方もいらっしゃいますからね。
―思い出に残るオフ会などはありますか?
 石田: そうですね。昨年、海外でオフ会をやってみたのですが、これが50名ほど集まって盛り上がった。投資家の皆さんは本当にアクティブでアグレッシブです。非常に盛り上がりました。
―ツアーではなくオフ会? 現地集合ですか?
 石田: そうです(笑) 現地集合、現地解散。オフ会の会場を海外にしてみた、というだけです。今では海外オフ会コミュニティまで存在するほどになりました。
―昨年の7月にワールドインベスターズTVを開設されましたよね?
 石田: はい。有料の会員制TVになります。これは、海外に行きたいけど中々行けない、という意見がSNSの中で多く聞かれて、それなら、これだけ生の情報があるんだから、これをTVにして流せばいいじゃないか、ということになって。
―主な番組はどういったものですか?
 石田: 現地の生の投資情報をお伝えしています。現地の投資家へのインタビューや、証券会社の情報なども流しています。
―普通では手に入らない情報ばかりですね。
事業拡大に向けた運命の出会い 不況の今こそビジネスチャンス
―さて、近々カフェもオープンするとか。どういったコンセプトのカフェなのですか?
 石田: ズバリ、「世界の経済や投資環境」をコンセプトにしたカフェです。
―「世界の経済や投資環境」がコンセプトといいますと・・・・?
 石田: 日本での金融、投資、というのはやはり怖いというイメージが付いてきてしまいます。私達は、それを少しでも取っ払っいたいのです。その入り口として、カフェを開くことにしました。
―そもそもなぜカフェにしようと思ったのですか?
 石田: カフェの良いところは、気軽に入れて、時間を過ごせるところです。そこで、例えばカフェにおいてある雑誌を投資情報の雑誌にしたらどうか、TVを投資情報にしたらどうか、と思ったんです。
また、投資家仲間も自分の情報を広げたいけど、なかなかそういう場所が無いと悩んでいました。それならばと思いまして。
―なるほど。面白いですね。準備は着々と進んでいるのですか?
 石田: 着々ですね。先日、オープン前にイベントをしたところ、2日間で200名以上の方に集まって頂きました。定員120名程で考えていたので、驚きましたね。
―それだけ、海外投資が身近なものになってきているのかも知れないですね。
 石田: そうですね。それと同時に、海外投資情報を欲している人も増えてきているのでしょうね。
―元々、こういったカフェを開きたいというのは考えにあったのですか?
 石田: いつかやりたいとは思ってました。でも5年後くらいだろうねとスタッフとも話していたのです。
―それが急にオープンに至った経緯は?
 石田: オープンする場所にトラベルカフェがあったのですが、ここの契約が11月で切れるという話を頂きまして。
―それは凄い偶然ですね。
 石田: ええ。以前より、横浜市前市長の中田さんや横浜市の方々と国際化に向けて活動をしているのですが、その中に、官民コラボレーションを推進する部署があるのです。ここの会合にトラベルカフェを運営しているインストアメディア社の役員の方がいらっしゃいまして、カフェの話をしていたら、それならば!ということに。しかもここの住所が六本木六丁目六門ビル。住所は「6揃い」です。ここに私が開かなかったら誰がやるんだと(笑)
―それもまた凄い偶然でしたね(笑)
 石田: でも、ここからが大変で(汗)話を頂いたのが7月。オープンが12月なので、半年も無い。始めるにしても、自分のところでやるだけじゃあ、あまりにも費用がかかるので厳しい。
―スポンサーを集めなくてはいけない。
 石田: そうです。そこで金融機関や証券会社など400社ほどリストアップしました。ですが、我々の少数精鋭の小さな会社ではとても回りきれない。そこでまずは大手、しかも信用力のあるところに入ってもらおうと考えました。
―なるほど。そうすることで、事業自体に信頼が生まれるわけですね。
 石田: そうです。ここでまた偶然なのですが、実はニューヨーク証券取引所の駐日トップと元々友人でして、話を持っていくと、色々な側面から私のコンセプトに共感してくれました。さらに、クレディセゾンさんにも共感していただき、協力していただけることになりました。
―いきなりビッグネームが揃いましたね。最終的には何社の協力を得たのですか?
 石田: 12社に声をかけて、最終的には、NYSE、クレディセゾン、suprefund、ひまわり証券、NEW-S証券、イニシアスター証券の6社に決まりました。
―錚錚たる面々ですね。しかも50%の確率で承諾を頂いたわけですね。
 石田: これはもう運が良かった。最初から大手に声をかけた事も功を奏しました。
―12月のオープンに向けて、磐石の布陣が整いましたね。
 石田: ここからが一番忙しい時期なので、オープンするまでは気を抜かずに頑張ります。
―さて、話題を変えまして、日本の起業家が減少していることについては、どうお考えですか?
 石田: 不況の今こそチャンスなのに、勿体無い。今はリスクをとって何かをするのを皆恐れています。ということは、誰もやらないんです。周りを見ると、みな萎縮しています。ならばやったもん勝ちです。私のやっていることも、景気が良かったら大企業同士でたくさんお金を使ってコラボしているはずです。景気が悪いから小さなところはチャンスなんです。
―起業をして良かったと思いますか?
 石田: もちろんです。会いたい人に会えるし、普通に働いてたら会えなかった人に会えます。
―起業するにあたって、何かアドバイスや心構えがあれば教えて下さい。
 石田: そもそも日本人は自分の価値に悲観的過ぎます。海外からみた日本人がどれだけアドバンテージがあるか知らないのです。日本の技術や、日本人のホスピタリティの高さは、海外から高く評価されています。起業をして一人でも多くの人に世界に向かって仕事をして欲しいですね。
―最後に同じ起業を志す方に一言。
 石田: 仕事は人脈です。人脈を作るには、自分の夢を語ることです。100人に夢を話せばその内1人~2人は必ず同意してくれます。その数が多いほど成功に近づきますし、信念を持って続けていれば、一つのきっかけで世界が大きく広がっていきます。
起業をして世界を一緒に変えましょう。
株式会社ザ・スリービー
資本金:1000万円
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