日本と海外をつなぎ、ブランドの可能性を広げるインフロレッセンス株式会社
インフロレッセンス株式会社
井川様
・ご利用拠点:クロスコープ渋谷ネクストサイト
・入会時期:2025年8月~

海外ブランドの日本展開から、国内企業の海外進出まで支援
― まず、インフロレッセンス株式会社様の事業内容について教えてください。
(井川様)クライアント様によって内容はさまざまですが、現在は半分以上が海外企業のお客様です。海外ブランドが日本に上陸するタイミングや、すでに日本に展開されているブランド様が、いわゆる第2創業期や拡大期のようなタイミングでご相談をいただくことが多いです。もともと私自身のバックグラウンドがPRやマーケティングだったこともあり、当初はローンチPRのご相談が多くありました。ただ、そこから発展して、日本に新しく上陸する飲食ブランドの会社設立や物件リサーチ、契約サポート、飲食店舗の設計・施工に関するプロジェクトマネジメントや輸入・物流などで入らせていただくこともあります。海外企業側の立場に立ちながら、日本という独特なマーケットや商慣習がある場所に対してアドバイスを行い、プロジェクトを進行するお手伝いをしているというのが、現在の主な事業内容です。一方で、日系企業様の支援も行っています。日本企業が海外へ進出する際の店舗出店支援や、輸出に関するサポート、また国内で異業種から飲食や食物販の店舗を始めたいという企業様に対して、物件や店舗づくり、必要な方のご紹介などを含めて、アドバイザー的な立場で関わらせていただくこともあります。
ブルーボトルコーヒーでの経験を経て独立
― 会社を立ち上げられた経緯について教えてください。
(井川様)会社としては、この1月で丸4年が経ち、現在5年目になります。独立する直前ではブルーボトルコーヒーというコーヒーブランドで、日本上陸から7年半ほど勤めていました。その中で、日本の責任者を務めたり、アジア代表として他国への出店に関わったりと、さまざまな経験をさせていただきました。PRやマーケティングの領域の経験が長かったのですが、ブルーボトルでは初めて代表の立場として経営視点で事業に関わる機会も多く、本当に育ててもらったという感覚があります。当時はとても楽しく仕事をしていましたが、このまま一つの会社での経営経験だけでよいのか、自分自身もっと挑戦した方がよいのではないかと考えるようになりました。また、コロナのタイミングでアメリカから日本に戻ってきたことも大きなきっかけの一つです。ブルーボトル在籍中、最後の3年はカリフォルニアに住み、本国チームの一員として仕事をしていましたが、コロナ中、日本に帰国し最後は日本からアメリカの仕事をするような形で、昼夜逆転に近い生活をしていました。本国チームとしては戻ってきてほしいという前提もありましたが、自分のライフステージを考えた時に、アメリカに戻ることが現実的ではないと感じたこともあり、退職を決めました。その相談をした際に、業務委託として関わりを続けるという提案を受け、同時にこれまでのお付き合いのある方々からもお仕事の話をいただく機会があり、それであれば改めて自分できちんと会社を作ってやっていこうと考え、独立を決めました。
「花開く」を意味する社名に込められた想い
― 「インフロレッセンス」という社名には、どのような想いが込められているのでしょうか。
(井川様)社名は、実は自分で最初から考えていたわけではありません。ブルーボトルの創業者であるジェームス・フリーマン氏に相談をして、彼につけていただいた名前です。今も一緒に仕事をさせていただいており、とても親しくさせていただいている方です。もともとは、領収書などのことを考えると、もう少し短くて簡単な名前にしたいと思っていました。ただ、「インフロレッセンス」という言葉は、「ブルーム」や「ブロッサム」の語源にもつながるラテン語で、花が咲く、花開くという意味合いを持っています。私が関わる事業やプロジェクトが、花開いていく。そのお手伝いができるような会社になるといいのではないか、という想いを込めていただきました。せっかくそのような意味を込めていただいたので、それをそのまま社名にしました。自分自身が前職で多くの経験をさせていただいたように、今度は自分が関わるブランドやプロジェクトが、それぞれの市場でしっかり花開いていくように支えていきたいという思いがあります。

PRだけでなく、物件・契約・物流までニーズに合わせて伴走
― 海外ブランドの日本展開では、どのような範囲まで支援されているのでしょうか。
(井川様)私自身がすべての実務をできるというわけではありませんが、これまでの経験から、さまざまな業者様やパートナー企業様とのお付き合いがありますので、プロジェクトマネージャーのような形で間に入らせていただき、チームで動くことが多くあります。やはり飲食企業の支援が多いのですが、最近は食物販のブランドも増えています。例えば、最初はブランディングや新商品ローンチ、販路拡大の支援などのお手伝いをしていたブランド様が、日本の商慣習や流通の流れが独特で難しいということで、結果的に輸入や物流までご依頼いただくケースもありました。そういう意味では、当初想定していた業務範囲から、クライアント様のニーズに合わせてどんどん業務の幅が広がっているという感覚があります。一方で、自社内にチームをお持ちのクライアント様もいらっしゃいますので、その場合は週に1回アドバイザーとしてお話しさせていただくというケースもあります。逆に、実務を求められる場合は、物件契約の話を進めたり、税務・法務にまつわる内容であれば専門の士業の方に入っていただきながらサポートに入ることもあります。関わり方は、クライアント様の状況やリソースによって大きく変わります。
海外ブランド支援で大切にしていること
― 海外ブランドを日本で展開する上で、大切にされている考え方を教えてください。
(井川様)お受けする案件については、その会社やプロダクトに対して、私自身が共感できるかどうかを大切にしています。実際に一消費者としてそのブランドを楽しめるか、愛せるかという点は、とても重視しています。日本の中で話題にしていく、広げていくことを考えると、そのブランドやプロダクトが時流に合っているかということも重要です。一方で、海外企業様に対するサービスという意味では、文化の違いや商慣習の違いをどう丁寧に伝えていくかも大切になります。私自身、アメリカでも仕事をしていた経験がありますので、向こうの商慣習や考え方も多少なりとも理解しているつもりです。その立場から見て、日本市場で分かりづらく感じるであろう点や、ギャップに感じるであろう点を事前に丁寧に説明するようにしています。時には、海外側からすると「本当にそうなのか」と疑問に感じられることもあります。そのような時に、日本ではなぜそう考えられるのか、どのように進めるのが現実的なのかを説明しながら、最終的に目指したいゴールに向けて、日本市場ではどう進めるのがよいのかを導いていくことが、私たちがご提供できる価値だと思っています。
相談はテストマーケティング段階から可能
― どの段階から相談することができるのでしょうか。
(井川様)本当にさまざまなパターンがあります。例えば、商品のテストマーケティングのためにポップアップを実施することや、すでに店舗が決まっていて、あとはオープンに向けて話題を作りたい、盛り上げていきたいというタイミングで、ローンチPRをお手伝いさせていただくなどを、単発でお手伝いさせていただくこともあります。当然、長期的に年間でKPIを立て、事業の成長をサポートすることもあります。海外から日本に入ってくる場合でも、日本から海外へ出ていく場合でも、まだ方向性を検討している段階から、具体的に店舗や商品展開が決まっている段階まで、それぞれの状況に応じてご相談いただけると思います。

海外進出で大切なのは、リアルな市場理解とパートナー選定
― 日本企業が海外進出を考える際、最初の一歩として大切なことは何でしょうか。
(井川様)商材によっても異なりますが、やはりマーケット理解はとても重要だと思います。ご相談を受ける中でも、現地市場への理解が少し弱いと感じることがあります。実際のリアルな現場をどれだけ知った状態で計画できているかは、とても大切です。また、現地で誰と組むかというパートナー選定も非常に重要です。組み方を間違えることで、せっかく商品やサービスが良くても思ったように広がらなかったり、小さく終わってしまったりすることもあると思います。そのため、パートナー選定は慎重に進めた方がよいと感じています。土地勘がない、現地のことが分からないという状態で、限られた情報だけをもとに判断してしまうのではなく、いろいろな意見を聞ける状態を作っておくことが大事です。私たちとしても、そうした議論の場に入らせていただくことで、客観的な視点からお話しできることがあると思っています。海外進出は、勢いだけで進めるのではなく、現地の状況を理解し、自社の商品やサービスをその文脈にどう乗せるのかを考えることが重要です。
ブランドをそのまま伝えるのではなく、翻訳して市場に届ける
― 「ブランドを翻訳する」という考え方について、どのように取り組まれていますか。
(井川様)海外ブランドの場合、日本と海外で市場の成熟度や文化的な前提が大きく異なることがあります。例えば、現在お手伝いしているオーツミルクのブランドでは、日本市場ではまだオーツミルクの市場が小さく、植物性ミルクやヴィーガン、サステナビリティといった考え方への理解度や浸透度も、海外とは大きく違います。そのような状況では、単にブランドをローンチするだけでは十分ではありません。ブランドを広げる前に、カテゴリー自体を作っていくという意識が必要になります。スーパーに卸すだけではブランドは広がらないので、ブランド活動としてどのようなことができるのかを本国と話し合いながら進めています。逆に、日本から海外へ出すものとしては、日本酒のようなカテゴリーもあります。若い作り手の方々が新しく作ろうとしているお酒は、日本国内では古くからの商流があり、入り込みにくい面もあります。一方で、海外の方が新しい動きを作りやすい場合もあります。その場合、海外でどうPRしていくかを考え、そのコンセプトを逆に日本へ戻すことで話題性を作れるのではないか、といった議論をすることもあります。それぞれの国や市場の状況をきちんと説明した上で、ブランドが目指す世界をどう作っていくのかを考える。それが、私たちが考える「ブランドを翻訳する」ということだと思っています。
クロスコープを選んだ理由
― クロスコープ渋谷ネクストサイトを選ばれた理由を教えてください。
(井川様)今回オフィスを構えるのは初めてでした。もともとは自宅兼オフィスのような形で、自宅を登記していましたが、従業員も増えてきたタイミングでオフィスを探し始めました。場所としては、自分の家に近いところで探していたということもありますが、その中でクロスコープ渋谷ネクストサイトは、とても新しくて綺麗だったことが印象的でした。また、明るく開けた雰囲気があり、個人的にも働きやすそうだと感じました。オフィスを選ぶ上では、実際にそこで働く時の気持ちや、日々通いたいと思えるかどうかも大切だと思っています。その点で、空間が明るく、清潔感があり、開けた印象があったことは大きかったです。また、お気に入りのスペースとしては、3人で使える席があります。現在のチーム規模にも合っており、日常的に使いやすい場所だと感じています。
今後は自分たちで運営する事業にも挑戦したい
― 今後の事業展望について教えてください。
(井川様)これまでは、あまり営業活動をしてこなかったのですが、さまざまな方からのご紹介によって会社が広がってきました。現在のメインは、ブランドコンサルティングのような形で、多面的にお客様の事業やブランドをお手伝いすることだと思っています。一方で、もともとの創業時の思いとして、自分でいつか実事業をやりたいという気持ちもありました。今後も、他のお客様の事業をお手伝いすることは続けていきたいと思っていますが、それと並行して、自分たちが表現する場のようなものも持っていきたいと考えています。それが商品なのか、店舗なのかはこれからですが、何かしら自分たちで運営するものを持ちたいという思いがあります。これまでさまざまなブランドや店舗づくりに関わってきた経験を活かしながら、自分たち自身でも何かを形にしていければと考えています。
海外進出を考える国内企業へのメッセージ
― 海外進出を考えている国内企業へ、メッセージをお願いします。
(井川様)今はインバウンドで多くのお客様が日本に来ているタイミングでもありますし、日本製のものや日本のものは、海外でも非常に受け入れられている状況があると思います。せっかくの機会ですので、オンラインでもオフラインでも、自分たちの商品やサービスを外に出していくことには、とても可能性があると感じています。もし海外展開にトライしてみたいと思われているのであれば、早めにチャレンジしてみてもよいのではないかと思います。ブルーボトルにいた時にも感じていましたが、日本はオペレーションの丁寧さや商品のクオリティという点で、世界に誇れるものがたくさんある国だと思います。その良さをどう海外に出していくのかを設計できれば、どの国でも可能性はあるのではないでしょうか。少しでも挑戦してみたいと思う方がいらっしゃれば、恐れずにまず一歩踏み出してみてもよいのではないかと思います。
インフロレッセンス株式会社
インフロレッセンス株式会社様は、海外ブランドの日本展開や、日本企業の海外進出を支援する中で、単なるPRやマーケティングにとどまらず、物件、店舗づくり、商流、物流、パートナー選定まで、ブランドが市場に根付くための幅広い支援を行われています。印象的だったのは、「ブランドを翻訳する」という考え方です。海外で成功しているブランドをそのまま日本に持ち込むのではなく、日本市場の文化や消費者の理解度に合わせて、どのように伝え、広げていくのかを丁寧に設計する。その姿勢に、同社ならではの強みが表れていると感じました。また、社名に込められた「関わる事業やプロジェクトが花開いていくように」という想いの通り、インフロレッセンス株式会社様は、ブランドの可能性を引き出し、次の成長へつなげる存在であると感じます。クロスコープ渋谷ネクストサイトは、明るく開けた空間と働きやすい環境を通じて、同社のさらなる挑戦を支える拠点として、今後もサポートしてまいります。
https://inflorescence.co.jp/