【レンタルオフィス入居者向けコラム】短期前払費用の注意点

2010年9月21日

今回は短期前払費用について書きたいと思います。


<短期の前払費用>
前払費用で1年以内に提供を受ける役務にかかるものを支払い、
その額を継続してその支払の日の属する事業年度の損金の額に
算入しているときには、税務上、損金として認められます。

「支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの」とは、
たとえば、12月決算法人が翌年2月1日~1年分を年払い契約に従って
12月中に支払ったとしても、契約期間の末日が1年を超えていますから、
短期前払費用には該当しないことになります。
ただ、1日でも1年を超えたら一年以内と認められないという厳格な
取扱にはなっていないようです。


「前払費用」とは、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために
支出した費用で、期末においてまだ提供を受けていない役務に
対するものをいいます。

① 一定の契約に従って継続的に提供を受けること
② 役務提供の対価であること
③ 翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること
④ 現実にその対価として支払ったものであること

この4つの要件を満たすことが条件になります。


また、1年を超える場合、一年以内の部分は短期前払費用として損金に算入し、
超える部分についてのみ資産計上するという処理は認められません。


短期前払費用に関しての注意点を挙げておきます。

① 借入金を預金や有価証券等に運用する、
事務所や駐車場のいわゆる転貸にかかる地代家賃の支払いなど、
収益との対応させる必要がある費用に関して適用はありません。

② 支払手形の振り出しは、たとえ手形満期が到来していなくても
「支払った場合」に含まれると考えられます。

③ この通達の趣旨は、元々重要性の原則から課税上弊害が生じない範囲での
費用計上基準の緩和を図ったものですから、
この取扱を悪用し、形式的基準のみをクリアさせることにより、
支払いベースで一括費用計上をすることは認められませんので注意が必要です。

金額がいくらまでなら認められる等の明文規定は当然ながらありません。
また、その判断においては、金額だけではなく、
法人の財務内容に占める割合や影響等も含めて総合的に
考慮する必要があります。